【ブックプロジェクト】「気持ちの贈り物」×「賢者の贈り物」(小5 A・T)

賢者の贈り物 (オー・ヘンリーショートストーリーセレクション 4)

本の紹介

クリスマスのプレゼントを買うために、自分のいちばん大切な宝物を手放してしまう夫婦の物語です。

ブックプロジェクトのテーマ

この作品は、リテラの「ブックプロジェクト」で制作されたものです。ブックプロジェクトのコンセプトは、「つながる読書」。本・人・体験と自分をつなげながら、作品づくりに取り組んできました。詳しくは「ブックプロジェクトが始まりました」をご覧ください。

小学5年生のA・Tさんは、発表会で「スパイ」について研究しました。ブックプロジェクトのテーマも当初は「人をだます」からはじまり、「秘密」「サプライズ」とよりテーマを絞った後、最後は「プレゼント」となりました。
人を思う贈り物。大切なのは、物自体ではないのかもしれません。プレゼントを通し、人のつながりについて考えています。

作品の紹介

「気持ちの贈り物」
小5 A・Tさん

私は、O・ヘンリーさんの『賢者の贈り物』を読んで、贈り物には気持ちがとても重要なことを知りました。

二つの宝を持った、仲の良い貧しい夫婦がいました。宝のひとつは、夫のジムが持っている、鎖がない金時計。もう一つは、妻デラの亜麻色の髪です。ある年のクリスマス・イブ、デラはジムのために、自分の宝物である亜麻色の髪を売って、宝物の金時計に合うチェーンを探し、ようやく立派な懐中時計用のチェーンを見つけました。一方、ジムは、自分の宝物であるチェーンのない金時計を売って、デラの髪に合う二種類の飾り櫛を見つけました。ジムとデラは、イブの夜、お互いにその贈り物をしますが、もう意味はありませんでした。でも、自分の大切なものを犠牲にして、このような贈り物を交わした二人こそが、誰にもまして賢い賢者なのです。

私も、同じような、心のこもったプレゼントをもらったことがあります。三月一日。この日は、私のたん生日でした。私は朝、ふつうに学校に行きました。すると仲の良い友だちに「ありさ、たん生日おめでとう」と言われ、たん生日カードをもらいました。私は、家族からはもらえるかな、と思いました。でも、多分、みんないそがしいし、百パーセント無理だと思いました。家に帰ると、お母さんがいました。お母さんはいつもと同じだったので、やっぱりそうだよね、と少しがっかりしました。弟もいつもと同じで、二階でねていると聞きました。まあ、それほど期待はしていませんでした。その時、弟が一階におりてきました。ねむそうな目でした。けれど、目が合うと、「そうだ、そうだ」とかいだんを急いでおりてきて、私に緑色の手の平くらいのものをわたしてきました。
「はい、これあげる」
笑って言った後、「ママ、アイスー」と、いつもの感じにもどりました。お母さんが、「颯太郎が手づくりでふうとうから作ってくれたよ。中身見てごらん。おもしろいよー、フフフ」と言いました。中を見ると、百四十円入っていました。

私が弟にもらった封筒は、折り紙をセロハンテープでとめただけのものでした。中に入っていたのも、それほど大した金額ではありません。でも、封筒をわざわざ手作りしてくれたこと、自分のお小遣いからくれたお金だったことを知って、とっても嬉しく思いました。 高価な封筒に高額な金額が入っているものよりも、百倍嬉しかったです。その封筒とお金は、使わないようにしようと思いました。

贈り物というものは、 相手が作った時、また、物を買う時、相手のことを思う気持ちをこめることが一番大事だと思いました。気持ちがこもっていれば、どんなものでも一番嬉しいと思います。

今、私は逆に、贈り物をお父さんに渡そうと思っています。贈り物は、巾着袋です。外側は紺色で、内側は水色と白のチェック柄です。お父さんのために、手作りしています。遅れてしまっているので、急がないといけません。お父さんが来たら、すぐにぬっている針などの裁縫道具を隠します。バレないようにして、おどろかせたいからです。早く完成させて、巾着袋を贈りたいです。

この本について

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

タグ: ,
カテゴリー: ブックレビュー, 生徒作品

リテラ言語技術教室について

menu_litera