【生徒作品】『トルクとスピード』(新小6 K・Kくん)


リテラでは、生徒一人ひとりの興味・関心に基づいた学びの成果を、様々な方と分かち合う場として、年に一度、『生徒作品発表会』を開催しています。
2020年は新型コロナウィルスの影響により、教室での発表となりましたが、生徒たちは、発表会に向けた様々な準備を進めてまいりました。

今回は、新小6 K・Kくん『トルクとスピード』を掲載致します。

ミニ四駆が大好きなKくん。どうすればより速いタイムが出せるか試行錯誤する中で、トルクとスピードの関係について、もっと詳しく知りたくなりました。そこで、今回の研究では、実験を通してトルクとスピードの関係を解明することにしました。

その他の発表動画は、「2020年 生徒作品発表 発表動画一覧」をご覧ください。

作品について

本人の振り返り

これはどのような作品ですか?
気になっていた、トルクとスピ一ドの関係を研究した作品です。
どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
自分の気になったことを研究し、わかったことを、みんなに伝えたかったからです。
作品づくりで楽しかったことは何ですか?
実験の結果をまとめることです。
作品づくりで難しかったことは何ですか?
スピードの実験で使うコース作りに失敗してしまったことです。
作品作りを通して学んだことは何ですか?
失敗してもあきらめないことです。
次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
研究の全体を意識して、順序を考えることです。
来年、研究したいことはありますか?
その時また考えます。
この作品を読んでくれた人に一言
ご清聴ありがとうございました。

生徒作品

新小6 K・Kくん『トルクとスピード』

ぼくは、車が好きです。大人になったら、トヨタ86やランドクルーザーを運転したいという夢があります。去年、ぼくは、エコカーについて調べました。エンジンの構造について知り、ギアの大きさが違うと何が変わるのだろうと、疑問に思っていました。

去年の今頃、お父さんがタミヤのラジコンを買ってくれました。ラジコンが好きだったので、タミヤ本社を訪れました。その際、ミニ四駆を買ってもらいました。そこから、ミニ四駆も好きになりました。ミニ四駆の魅力は、実際に自分でセッティングができることです。まるで、本物の車をいじっている気持ちになれます。これまでの趣味は途中で飽きてしまいましたが、ミニ四駆は、大人になっても、続けられそうな気がしています。ある日、ミニ四駆の本を読んでいると、ギアを変えられる事を知りました。そこで、ギアを変えれば、気になっていたギアの大きさによる変化がわかると思い、今回、ギア比によるトルクとスピードの研究をすることにしました。

まず、ギア比について説明します。ギア比とは、例えば、3.5:1と表されます。これは、モーターが3.5回回ると、タイヤが1回転するという意味です。みなさんの中には、変速機つき自転車に乗ったことがある人もいると思います。漕ぎ始めや坂道では、パワー、つまりトルクが必要です。ペダルを軽くし、たくさん回すことで、タイヤに力を伝えます。この時、ギア比は大きくなっています。たとえば、タイヤを1回まわすために、ベダルを0.53回、回す必要があります。この状態のギアを「ローギア」と呼びます。しかし、スピードがついてくると、ローギアのままだと、足の回転が間に合わなくなります。速度を上げるには、ペダルを重くし、タイヤに効率よく力を伝える必要があります。この時、ギア比は小さくなります。この状態のギアを「ハイギア」と呼びます。タイヤを1回まわすために、ベダルを0.19回回すだけでよくなります。

今回、ぼくは、ミニ四駆のギア比を変えて、スピードとトルクの関係を調べる実験をしました。スピードは5メートルのコースでタイムをはかり、トルクは、角度を変えられる坂道ではかる計画でした。しかし、このはじめの実験は、失敗してしまいました。原因3つあります。1つは、コースが手作りであったことです。段ボールで作った短いパーツをつなげたため、コースの壁がでこぼこになってしまいました。ミニ四駆はピッタリと壁に沿って走るので、壁がでこぼこだと、コースのなかでミニ四駆が揺れてしまいます。また、コースをガムデープで固定したために、その上を走るタイヤが、滑ってしまいました。もう1つは、タイムの計測しかたです。ぼくが、スタート地点にスタンバイして、ミニ四駆を走らせると同時に、先生が、ストップウォッチを押します。しかし、ぼくと先生の動きには誤差があったのではないかと思います。また、ゴールした時に、タイムをぴったり止めることが難しかったと先生が言っていました。人間なので、どうしても、動きに誤差が生じてしまいます。さらに、5mという短いコースでは、ギアによるタイムの変化自体が、100分の1秒単位になります。だから、人間から生まれてしまう誤差があると、正確なタイムが測れません。3つめに、坂道が歪んでしまったことです。そのため、正確な角度をはかることができませんでした。以上が、僕の考えた失敗原因です。

失敗した原因を考え、それをもとに、新しい実験を考えました。まず、スピードは、家にあるコース使って実験することにしました。家にあるコースは、20mの周回コースです。また、タイムの計測を、手動から、アプリにしました。この結果、より正確に、スピードの違いをはかることができました。

実験の様子です。これが結果です。最も速かったのは、3.5:1のギア比でした。一番遅かったのは、11.2:1のギア比でした。ギア比が小さいほど速度が速く、大きくなるにつれ、遅くなることがわかりました。

次に取り組んだのは、トルクの実験です。後輪駆動にしたミニ四駆を、立てたキッチンばかりに当て、押す力を計測しました。実験の様子です。数値は目まぐるしく変わりますが、その中から一番大きな値を記録しました。これが結果です。ギア比が大きいほうが押す力が強く、ギア比が小さくなるにつれ、押す力が弱くなることがわかりました。

スピードと押す力の結果を並べたものです。ギア比が小さいものは、スピードが速いのですが、押す力、つまりトルクが弱いことが分かります。一方、ギア比が大きいものは、スピードは遅いのですが、トルクが強いことがわかりました。

この研究を通して、ギア比の大きさによって走行の特性が変わるため、コースによってギア比を変えることが大切であると学びました。また、実験は失敗することもあるけれど、あきらめずに新しいやり方を考えることが、成功につながる道であることも学びました。ぜひ、みなさんも、身の回りのものにどんなギアがついているか、調べてみてください。

これで発表を終わります。聞いてくださって、ありがとうございました。

参考サイト—

ミニ四駆(タミヤの公式サイト) https://www.tamiya.com/japan/mini4wd/index.html

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 生徒作品

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