【生徒作品】『命と心』(M・Tさん 新小4)


リテラでは、生徒一人ひとりの興味・関心に基づいた学びの成果を、様々な方と分かち合う場として、年に一度、『生徒作品発表会』を開催しています。

今回は、『命と心』(M・Tさん 新小4)を掲載致します。
命と心、どちらもハートマークで表せることに疑問を持ったMさん。命と心は、何が同じで、何が違うのだろう。ふとした疑問は、アンケート調査や、私たちの進化、そして感情についての研究に発展していきました。

その他の発表動画は、「2021年 生徒作品発表」をご覧ください。

作品について

本人の振り返り

これはどのような作品ですか?
命と心は、どちらもハートで表すことができることから、どこが違い、どこが同じなのかを調べました。
どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
同じハートマークで表せることが、ふしぎだったからです。
作品づくりで楽しかったことは何ですか?
「心は、どこにありますか」と聞くと、アメリカ人は頭をさし、日本人は心臓や胸をさすということに驚きました。
作品づくりで難しかったことは何ですか?
脳や心理学について調べた時に、初めて聞く言葉があったのが難しかったです。
作品作りを通して学んだことは何ですか?
悲しみ、怒り、恐れ、驚き、嫌悪は脳の大脳辺縁系で生まれ、喜びは大脳皮質の前頭連合野で生まれることです。
次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
ハートは、「愛」や「好き」、「命」や「心」といったさまざまなイメージがあるので、使うときは気をつけたいです。
来年、研究したいことはありますか?
人によって性格が違うのはなぜかを調べたいです。
この作品を読んでくれた人に一言
みなさんも「ふしぎ」だと思ったことは調べてみてください。

生徒作品

『命と心』(M・Tさん 新小4)

皆さんは、この画像を見て何を思い浮かべますか。

命、心、他にもいろいろあるかもしれません。私は、このハートが、命とも言えるし、心とも言えることが気になりました。命と心、どこが同じで、どこが違うのでしょうか。今回の研究では、命と心について調べてみました。

私は、命と心について調べるために、アンケートをとることにしました。答えてくださったのは、男性6名、女性14名、合計20名の人でした。アンケートに答えてくださった方、ご協力ありがとうございました。

先ほどのハートマークを見て、何をイメージしたのかを答えてもらいました。「心」や「命と心」という回答が多かったです。やはり、「命」と「心」は、両方、ハートで表せることがわかりました。その他、「愛」や「好き」といったイメージもありました。

次に、心はどこにあると思いますか、という質問をしました。すると、心臓という答えが一番多く寄せられました。私は、心と心臓は、別々のところにあると思っていたから、この結果に驚きました。理由を聞くと、「体の中心のイメージだから」、「きんちょうしたりするとドキドキするから」、「漫画などで、うれしい時にむねに手をあてるから」といった回答がありました。私は、ドキドキしたり、嬉しい時に、心が「動いた」と言うことがあるので、確かにそうだなと思いました。なお、「心はどこにありますか」と聞くと、アメリカ人は頭をさす人が、日本人は心臓や胸をさす人が多いという報告もあります。なぜちがうのか、ふしぎに思いました。

さらに、命と心はどこが同じだと思いますか、という質問をしました。すると、「生きていればどちらも存在する」「なくては生きていけないもの」「大切なものだということ」「その人自身で状態を変えることができること」「目に見えないこと」「他の人との関わりで豊かになること」といった回答がありました。命と心には、たくさんの共通点があるのだと思いました。

最後に、命と心はどこがちがうと思いますか、と質問しました。すると、「命は生きること、心は感じること」「命は一度失ったら取りもどせないけど、心は取りもどせる」「命には終りがあるけれど、心は生き続けると感じる」といった回答がよせられました。ここから、命は「生きること」や「体」に関係するイメージが強いということがわかりました。

地球が誕生してから数億年もの間、生命はいませんでした。火山の噴火と小惑星の衝突がたえまなく起こり、今よりもはるかに温度が高かったからです。

生き物がいない惑星に、自然に生命が現れるなんて不思議なことです。おそらく最初の生き物は小さかったはずです。最初の生命は現在のバクテリアのように、単細胞生物だったと考えられています。

いったん生命が誕生すると、進化が始まり、さまざまな種が誕生しました。

生き物には、大きな爪、鋭いとげ、飛ぶ能力など自分が生き残るために役に立つ特徴を進化させます。人間の場合、最も生き残りに役立つのは、知性です。人間は、頭の良さと、集団で活動する能力を進化させることで、生き残ってきたのです。

人間は、賢いですが、脳の大きさは、世界最大ではありません。世界最大の脳はマッコウクジラで、ビーチボールと同じ大きさです。しかし、知能に関していえば、重要なのは、脳の大きさだけではありません。人間の脳は、人間と同じぐらいの大きさの体を持つ動物の平均よりも、はるかに大きいのです。

脳のしわも大切です。思考するときには、脳の表面にある大脳皮質が使われます。この部分のしわが多いほど、表面積が大きくなり、脳細胞が多くなります。賢い動物は、脳のしわが多いのです。

こうして、脳が発達するとともに、心も複雑になっていきました。喜び・驚き・怒り・悲しみ・おそれ・嫌悪の6つが、基本の感情と考えられています。感情は、表情、姿勢、体の動きや声の出し方、調子など、いろいろな行動で表されます。

見たり聞いたりしたものは、脳の大脳辺縁系に伝えられ、そこで感情が生まれると考えられています。情報は大脳皮質に伝わり、体の変化が起こります。喜びは、大脳皮質の前頭連合野で生まれると考えられています。しかし、心については、まだわからないことも多くあります。

命と心は、わたしたちの脳でつながっているのです。しかし、命と心の関係は、人によって考え方がちがうので、いろいろな正しさがあるのだと感じました。ぜひみなさんも、命と心について考えてみてください。

これで発表を終わります。聞いてくださって、ありがとうございました。

参考文献— (リンクはAmazonのアフィリエイトリンクです)

  • Anna Claybourne(2019). Amazing Evolution: The Journey of Life. Quarto publishing plc. (アンナ・クレイボーン  鹿田 昌美 (訳)  郡司 芽久 (監修). すごいぞ!進化: はじめて学ぶ生命の旅 NHK出版)
  • Tom Jacksonk(2018). Psychology which represents one title in the series called : Ponderables : 100 Discoveries that Changed History. Worth Press Ltd, Shelter Harbor Press Ltd.(トム・ジャクソン 清水寛之(監訳・訳) 井上智義(監訳・訳). 図鑑心理学~歴史を変えた100の話~ ニュートンプレス)
  • 松村讓兒・唐澤真弓・池谷裕二・渡辺博・遠藤秀紀・牛木辰男(2018). 小学館の図鑑NEO 13 人間 いのちの歴史 小学館
この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 生徒作品

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