【生徒作品】『変化球とマグナス力』(新中1 K・Yくん)


リテラでは、生徒一人ひとりの興味・関心に基づいた学びの成果を、様々な方と分かち合う場として、年に一度、『生徒作品発表会』を開催しています。生徒たちは、発表会に向けた様々な準備を通して、実践的な発表の仕方を学んでいきます。

今回は、2019年3月に行われた「リテラ 生徒作品発表会」より、新中1 K・Yくん『変化球とマグナス力』を掲載致します。

野球の変化球はなぜ曲がるのかと疑問に思ったKくん。目に見えない空気の力について、研究しました。

その他の発表動画は、「2019年3月 生徒作品発表会 発表動画一覧」をご覧ください。

作品について

講師からのコメント

マグナスコップの実験、うまくいきましたね。重力にさからって浮き上がる様子は、何度見ても不思議です。変化球の不思議さをきっかけに、空気の持つ働きについて、学ぶことができました。これからも、目に見えないものについても考え、世界をより深く理解していきましょう。

本人の振り返り

これはどのような作品ですか?
ボールが変化するのは、マグナス力という力が関わってるということを説明する作品です。
どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
なぜボールが変化するのか、気になったからです。
作品づくりで楽しかったことは何ですか?
マグナスコップの実験です。
作品づくりで難しかったことは何ですか?
マグナス力について理解することです。
作品作りを通して学んだことは何ですか?
目に見えないものについて考えることの大切さです。
次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
発表の際、身振り手振りをもう少し増やしたいです。また、正しく理解するために、自分で資料を見て調べたいです。
来年、研究したいことはありますか?
ゲームの仕組みです。
この作品を読んでくれた人に一言
聞いてくださって、ありがとうございます。

生徒作品

新中1 K・Yくん 『変化球とマグナス力』

皆さんは、キャッチボールをしたことはありますか? 僕は、放課後に、友達と、たまにキャッチボールをします。それから、よくテレビで、野球中継を見ます。その中で、投手が変化球を投げるのを見て、どうやったらボールが曲がるのか、疑問に思ったので、研究したいと思いました。

ボールを変化させないで投げた時、ボールには、あらゆる方向から、ほぼ等しい空気の圧力が加わります。これを、気圧といいます。しかし、それらの力が、お互いにほぼ釣り合ったまま、空気の中を進むので、ボールの進む方向は、変化しません。ボールに回転を加えると、ボールの周りの気圧に差ができて、進む方向が変化します。もし、自分から見て、右回りに回転を加えてボールを投げたとしたら、右側の空気の流れが速くなり、左側の空気の流れは遅くなります。空気は、流れの速い側では、気圧が低くなり、空気の流れの遅い側では、気圧が高くなる性質があります。その結果、ボールは、気圧の高い方から低い方に押されて、右側に曲がります。このように、ボールが回転することによって、周囲の空気の流れを変えて、その反作用としてボールが受ける力を、マグナス力といいます。マグナス力は、ボールの回転が速くなるほど大きくなり、速度が速くなるほど、大きくなります。

ぼくは、マグナス力を利用したマグナスコップを作り、実験をしました。プラスチックのコップ2個の底面どうしを付けて、テープでとめます。そして、輪ゴムを6個ぐらい繋げます。それを、マグナスコップのつなぎめのところで、手前側から奥に向かって、下回りに2回まわし、よく伸ばしてから放すと、発射されたコップが、空中で浮き上がります。

コップが浮き上がる原因は、「バックスピン」です。バックスピンとは、コップの上面が、進行方向と逆向きに向かう回転のことです。コップは、空気の力を受けない限り、重力の影響を受けて、放物線をえがいて自然に落下します。一方、強いバックスピンがかかったコップには、上向きにマグナス力がかかります。そのため、コップは、重力に逆らって浮き上がるのです。一流の投手のストレートは、打者に浮き上がってくるように感じられ、「伸びがある」などと言われています。伸びを生む原因は、マグナスコップの実験と同じ、「バックスピン」です。通常、上手投げの投手がストレートを投げると、自然にバックスピンがかかりますが、ストレートは、上向きのマグナス力によって、重力をある程度打ち消して、真っ直ぐに近い軌道を進む球なのです。

カーブボールは、代表的な変化球の一つです。カーブボールは、縦や斜めに鋭く曲がります。ボールには、バックスピンの逆の、「トップスピン」という回転がかかっています。トップスピンとは、ボールの上面が、進行方向と同じ方向に進む回転です。すると、マグナス力が、下向きに働き、ボールは急激に落ちます。投げる時に、手首の向きを変えることで、斜めに変化させることができます。

マグナス力を利用したマグナス風車が、新型風力発電として、開発されています。普通の風車の羽はプロペラ型ですが、マグナス風車は、パイプ型です。風が吹くと、それぞれのパイプが回り、マグナス力が働きます。そうすると、風車の羽根全体がより速く回り、より多くの電力を生み出します。

僕は、この研究を通して、ボールが変化する理由には、マグナス力が関わっていることを知りました。また、今回の研究では、空気の持つ力について理解するのが難しかったです。なぜなら、空気は、目に見えないから、イメージがしにくいのです。しかし、実験をしてみて、空気の働きについて感じることができました。これからも、目に見えないものについて考えることを、大事にしていきたいです。

これで発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 生徒作品

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