リテラでは、生徒一人ひとりの興味・関心に基づいた学びの成果を、様々な方と分かち合う場として、年に一度、『生徒作品発表会』を開催しています。生徒たちは、発表会に向けた様々な準備を通して、実践的な発表の仕方を学んでいきます。
今回は、2019年3月に行われた「リテラ 生徒作品発表会」より、新小6 S・Yくん『マンガのできた理由とその影響』を掲載致します。
マンガが大好きなYくん。マンガの歴史や、私たちに及ぼす影響について研究しました。
作品について
講師からのコメント
本人の振り返り
- これはどのような作品ですか?
- マンガは、芸術を広げるために生まれました。私たちは、マンガから、モデリングによって良い影響と悪い影響どちらも受けるため、よく考えて読まないといけません。
- どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
- ジョジョを読んで、マンガがどんなものなのか、気になったからです。
- 作品づくりで楽しかったことは何ですか?
- テーマ選びで、どんな発表にするのかをいろいろ考えることが楽しかったです。
- 作品づくりで難しかったことは何ですか?
- マンガの歴史を短く要約するのが難しかったです。
- 作品作りを通して学んだことは何ですか?
- マンガが芸術を広めるために生まれたということや、私たちがいろいろな影響を受けてしまうことです。
- 次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
- マンガを読む時に、悪い影響を受けないように注意しないといけないと感じました。
- 来年、研究したいことはありますか?
- 生命が、なぜ生まれて、どのようなしくみをもっているのか。
- この作品を読んでくれた人に一言
- たとえマンガでも、影響を受けてしまう事があります。
生徒作品
新小6 S・Yくん 『マンガのできた理由とその影響』
皆さんは、マンガが好きですか。ぼくの好きなマンガは、『ジョジョの奇妙な冒険』です。ぼくは、ジョジョなら、かん単に一さつ読んでしまいます。
マンガは良いものだという意見もあれば、悪いものだという意見もあります。そこで、ぼくは、マンガがどのように生まれて、どんな影響があるのかについて知りたくなったので、マンガについて調べ始めました。
まず、マンガがどのように生まれたのかについて、調べました。江戸時代には、「略画式」という、マンガのルーツになる描き方がありました。その特徴は、円のパーツなどで構成されている描き方であることです。これは、ミッキーの描き方と似ています。ミッキーも、同じように、もとになる円などを線で結んで、できています。江戸時代の「略画式」から、ミッキーの描き方にいたるまでの間に、その二つを結ぶものがあります。それが、大正アヴァンギャルドです。アヴァンギャルドの目的は、王様や貴族などの人が、自らの権威(けんい)を示すために、芸術家に、自分の肖像画を描かせるような芸術ではなく、一般市民が、芸術品を味わえるような芸術を作ることです。そのいったんとして、「誰にでもかけるかき方」を作ってできたのが、ミッキーなどの近代マンガです。これは、大正アヴァンギャルドの運動に参加していた、田河水泡さんが描いた『のらくろ』です。やがて、キャラクターに、よりリアリティーのある肉体や内面が産まれ、現代のマンガになっていきました。このように、誰でも楽しめる芸術を広めるために、マンガは生まれました。
それでは、マンガのもたらす影響について、考えてみます。まず、マンガの良い影響について、ぼくは次のようなものが思いつきました。1つ目は、「楽しめる」ということです。マンガを読んでいると、そのマンガの物語に入りこんだように、夢中になれます。2つ目は、「夢を持たせる」ということです。たとえば、ヒーローもののマンガを、子どもが読んで「かっこいい」と思ったり、「自分もこうなりたい」など、夢を持ったりすることがあると思います。3つ目は、「影響を受けて何かを始める」ということです。たとえば、プロサッカー選手の川口能活(よしかつ)さんや、バスケットボールの五十嵐 圭(いがらし けい)選手は、『キャプテン翼』や『スラムダンク』に影響されて、サッカーやバスケットボールを始めたと語っています。4つ目は、「マンガを知っている人と話が広がる」ということです。ぼくも、あまり話さなかった人と、ジョジョの話で盛り上がって仲よくなったことあります。そのようにして、話が広がったり仲よくなったりする事があると思います。5つ目は、「楽しみながら何かを知る事ができる」ということです。実際にぼくは、『まんがでわかるまんがの歴史』で、楽しみながら、マンガの歴史を学びました。他にも、マンガで描かれた、さまざまな分野の入門書が、数多くあります。
次に、マンガの悪い影響としては、次のようなものが思いつきました。1つ目は、「時間をうばう」ということです。ぼくは、マンガなら、かん単に一さつ読んでしまいますが、そうすると、すぐに時間がすぎてしまいます。2つ目は、「暴力をふるう真似をする」ような危険性があるということです。暴力的なマンガを読んで、その技などをまねして、誰かにあたって、ケンカになることもあると思います。3つ目は、「命を軽く見てしまう」ようになる危険性があるということです。暴力的なマンガに慣れてしまうと、人が傷つくことや、命の重みについて、簡単に考えるようになり、大事にできなくなるかもしれません。
このように考えると、マンガの良いところと悪いところが、裏返しになっているものがあります。たとえば、「楽しめる」と「時間をうばう」は、おなじことの裏表です。マンガが楽しければ、読みすぎてしまい、時間をうばうことになってしまいます。「夢を持たせる」、「何かを始める」ようになることと、「命を軽く見てしまう」、「殴ったりする真似をする」ことも、そうです。心理学では、モデリングという考え方があります。モデリングとは、他人の行動やその結果を観察する事によって、観察した人の行動に変化が生じることです。つまり、モデリングによって、良い影響と悪い影響のどちらも受けるということです。一方、「マンガを知っている人と話が広がる」と「楽しみながら何かを知ることができる」は、マンガの持つ良い特徴と言えます。
この研究を通して、ぼくは、マンガの歴史を知りました。また、マンガには、良い影響もあれば、悪い影響もあることがわかりました。みなさんも、自分にどのような影響があるか考えながら、マンガを読んでみてはいかがですか。
これで、ぼくの発表を終わります。聞いてくださって、ありがとうございました。