リテラでは、生徒一人ひとりの興味・関心に基づいた学びの成果を、様々な方と分かち合う場として、年に一度、『生徒作品発表会』を開催しています。生徒たちは、発表会に向けた様々な準備を通して、実践的な発表の仕方を学んでいきます。
今回は、2019年3月に行われた「リテラ 生徒作品発表会」より、新小5 F・Iさん『動物の見ている世界』を掲載致します。
飼い猫・みかんちゃんはどんな世界に生きているのだろう。そんな疑問から、動物たちの見ている世界について調べていきました。
作品について
講師からのコメント
本人の振り返り
- これはどのような作品ですか?
- いろいろな動物の見ている世界について紹介しています。
- どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
- 飼っているねこがどんな世界を見ているか、不思議だったからです。
- 作品づくりで楽しかったことは何ですか?
- ねこのことを調べているときです。特に、明るさによって瞳の大きさが変わることに、驚きました。
- 作品づくりで難しかったことは何ですか?
- 調べた事をまとめる時が、とにかく難しかったです。
- 作品作りを通して学んだことは何ですか?
- 自分が今見ている世界だけが、正しいわけではないことです。
- 次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
- 本をたくさん読むことです。
- 来年、研究したいことはありますか?
- まだ決まっていません。
- この作品を読んでくれた人に一言
- みなさんも、動物の見ている世界について、考えてみてください。
生徒作品
新小5 F・Iさん 『動物の見ている世界』
私は、ねこをかっています。今8歳の、三毛猫です。名前は、みかんです。子猫の時、家の前で拾いました。私は、最近まで、みかんと、よく一緒に寝ていました。しかし、呼んでも、来る時と、来ない時があります。みかんは、一体、どんな世界に住んでいるのでしょうか。それが不思議だったため、動物の見ている世界について、調べてみました。
私は、ギョーム・デュプラさんの『動物の見ている世界』と、ガリレオ工房の『動物の目、人間の目』を読んで、研究を進めました。
まず、猫の見ている世界についてです。猫は近眼で、人間の5分の1程度しか見えません。また、赤い色を緑色から見分けることがほとんどできない、二色型色覚の動物です。物を立体的に見る能カは高いのですが、鼻先10センチメートルから75センチメートルの範囲しかはっきり見えません。見える範囲は、200度です。立体的に見える範囲は、90度から130度の間で、犬の2倍もあります。だから、猫は、獲物にかなり正確に飛びかかることができるのです。猫は、動きに対してとても敏感で、昼でも夜でも獲物を捕まえられます。薄暗がりにいる時や、緊張している時、ネコのひとみは丸いですが、昼間、強い日差しの元にいる時や、くつろいでいる時、ひとみは細くなります。夜行性であるネコの目は、わずかな光もとらえられる高い感度を持っているため、明るいところでは、目に入る光の量をとても少なくしているのです。
次は、ハトです。ハトの視野は、とても広く、300度以上見わたせます。中央の部分は、はっきりと立体的に見えます。ハトが、えさを求めて地面に目をこらすのは、この範囲です。視界の両がわは、動きを敏感に感じ取れます。危険が身に迫っていないかを確認する領域なのです。色を感知する能力が高いのは、網膜に、色のついた特別な油の粒があるためだと、考えられています。
次は、馬です。馬の目は、遠くのものが、よく見えるようにできています。目が、顔の側面についているので、自分のまわりを、ほぼすべて見わたせます。だから、背中にまたがった人のしぐさを見分けながら、自分の前にある障害物に気づくこともできるのです。前方65度の範囲は立体的に見えます。馬は、想像より大きな目を持っています。馬の眼球は、人間の2倍の大きさがあり、哺乳類の中で、もっとも大きい目を持つ仲間に数えられます。
ここからは、私たちとは、かなり違う世界を見ている生き物の紹介です。まずは、ヘビです。ヘビは、頭の前の方にあるくぼみに、熱を感知するさいぼうがあって、赤外線を見分けられます。この感覚は、半径1メートル以内でしか働かないとしても、やはり、獲物の体温から、その居場所を見つけ出せれば、夜間の狩りには、とても役立ちます。ねずみとまちがえて、白熱電球にとびかかったという実験もあります。カエルのような、体温の低い動物でも、周りとの温度差から見つかってしまいます。また、草の影にかくれても、赤外線は草を通り抜けるので、ヘビには透けて見えます。ヘビは、熱を見ているのです。
次は、コウモリです。コウモリの目は、ほとんど見えず、色もわかりません。コウモリは、人間と違って、耳で見ています。超音波を発して、はねかえってくるのを感知するのです。これを利用して、飛んでいる虫などを、捕まえることができます。真っ暗闇にあみがはってあっても、すきまを見つけて通りぬけることができます。超音波を使って、仲間同士で会話をすることもできます。
最後は、ミツバチです。ミツバチには、二つの複眼の他に、単眼という小さな目が三つあります。頭に三角形に並ぶ単眼は、方向を定めたり、飛行を安定させたりする役割をになっています。ミツバチの視力は、人間よりかなりおとっています。ただ、〇や×など、単純な形、特に、花のような星形は、よくわかります。ミツバチの視野は、360度です。時速25キロメートル前後で、風に揺れる花にとまるために、動きには、特に敏感です。花々は、人間には見えない色さいの模様を、虫や鳥たちに見せています。このような模様のおかげで、ミツバチは、自分たちが暮らす地域にある花を見分けることができます。花は、みりょく的な特徴を持つことで、花粉を運ぶすべての虫たちにとって、理想的なちゅうけいきちとなっています。花のがわから見ると、そのデザインや、みつの香りが、ハチや鳥をひきつけ、それによって、子孫を増やすことが可能になるのです。
この研究を通して、今、私が見ている世界だけが、正しいわけではないことを知りました。動物には、それぞれ、見ている世界があります。人間には見えないものを、見ている生き物もいます。みなさんも、今見えていない世界を、ぜひ想像してみてください。発表を聞いてくださって、ありがとうございました。