内容の紹介
ある日、ゆうたに、ふしぎな手紙がとどきます。
かかれていた場所に行ってみると、そこにあったのは、「きもちぎんこう」。ゆうたの通帳は、本当の気持ちとちがうことをしてしまった時に入ってくる「うそきもち」の黒いコインでいっぱいでした。
銀行の番頭さんは、このまま黒いコインがいっぱいになったら、いい心が消えてしまうと言います。
読む前の下ごしらえ
考えてほしいこと
読む前に、次のことを考えてみましょう。
- あなたは、最近、いじわるしたり、されたりしましたか? そのときの気持ちを、思い出してみましょう。
- あなたは、最近、誰かに優しくしたり、されたりしましたか? そのときの気持ちを、思い出してみましょう。
読む
1~2年生、また、本によっては3年生も、読み聞かせをしましょう。ゆっくり、一緒に楽しんでください。読みながら、また、読み終わった後、内容について話し合い、出てきたことばを付せんに書いていきましょう。
準備する
気持ち
本を読んで感じた気持ちをことばにするのは、なかなか難しいものです。読み終わったら、次の「気持ちについて考えよう」シートを印刷して、感じた気持ちに丸をつけてみましょう。対話のヒントになります。
体験
読書感想文では、本の内容と自分の体験を結びつけることが大切です。自分の体験が思いつかない場合は、このページの「考えるヒント」を参考にして、本のテーマについて誰かに聞いたり、調べたり、新しく何かをしてみたりするとよいでしょう。
考えるヒント
- あなたのきもちの通帳があったら、中はどうなっていると思いますか?
- どのきもちが多いと思いますか?
- どのきもちが少ないと思いますか?
- 自分のきもちについて、振り返ってみましょう。
- 「きもちについて考えよう2(リテラ)」を印刷してください。
- きもちの横に、最近、どんなときにそのきもちになったか、メモしてみましょう(全部のきもちについて書く必要はありません)。
- たまったよい気持ちは、どうしたらほかの人にわけてあげられるでしょうか。
- わるい気持ちがたまるのを、どうしたらふせぐことができるでしょうか。
保護者の方へ
上記の「考えるヒント」を参考に、対話をしながらアイデアを拡げてください。アイデアのメモをたくさん作り、並べ替えながら、感想文の構成を練りましょう。
読書感想文を通して考えてほしいテーマ
- 優しさ
- 人とのつながり
- 勇気
- 成長
- こころ
この本について
子どもたちは、成長するにつれ、自分の中に、様々な自分がいることに気がつきます。
楽しみたい自分、サボりたい自分、優しくしたい自分、いらいらしている自分……。頭ではわかっているけれど、心はなかなか思うようになりません。
本当の自分の気持ちと違う「うそきもち」に従ってしまった時、物語に出てくる「きもちぎんこう」の通帳のように、私達の心にも、黒い「うそきもち」コインが溜まっていきます。
自分を変えるには、勇気が必要。その一歩が積み重なって、新しい自分をつくっていきます。
子どもたちにとって、自分自身を考える対象にするのは、なかなか難しいものです。ましてや、目に見えず、常に変化していく気持ちであればなおさらです。このページで紹介した気持ちの表の中にも、まだよくわからない「気持ち」があるかもしれません。
しかし、ことばでくくることで、それについて考えることができるようになります。今回の読書感想文では、ぜひサポートと対話をしてあげつつ、「気持ち」について考えてみてください。
合わせて読みたい
ぼうしやですてきな想像のぼうしをもらったミリー。街行く人たちの頭の上にも、すてきなぼうしが見えてきます。想像することの素晴らしさが伝わってくる本です。
構成について
構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。「誰に、何を伝えたいか」
- ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
- 誰に……例)家族、友人、先生
- 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
- 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。
文章の構成
- 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
- 【はじめ】
- この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
- 【なか】
- 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
- 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
- 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
- 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
- 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
- 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
- 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
- 【おわり】
- 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。