『動物とイメージ』(新小6 D・Y君)


リテラでは、生徒一人ひとりの興味・関心に基づいた学びの成果を、様々な方と分かち合う場として、年に一度、『生徒作品発表会』を開催しています。

今回は、『動物とイメージ』(新小6 D・Y君)を掲載致します。

動物が好きな新小学6年生のD君は、昔話や絵本の中に描かれる動物のイメージと、アンケートを通して得られた動物のイメージを比較し、時代によって変わる動物のイメージの変化を探りました。

その他の発表動画は、「2022年 生徒作品発表」をご覧ください。

作品について

本人の振り返り

これはどのような作品ですか?
今と昔とでの動物のイメージの違いや、なぜその動物にそのイメージが定着したのかなどがが分かる作品です。
どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
なぜ動物に対してそのイメージが定着したのかが気になったからです。
作品づくりで楽しかったことは何ですか?
動物に対してアンケートに答えて下さった方々の動物に対してのイメージが知れて楽しかったです。
作品作りを通して学んだことは何ですか?
動物のイメージが今と昔で変わっていること、なぜ動物に対してあるイメージが定着したのか、アンケートの作り方などを学んだ。
次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
アイコンタクトを後半になるにつれて意識するのを忘れていったので次は、意識することを忘れないようにしたいです。
来年、研究したいことはありますか?
今はまだ研究したいことがありませんが、動物について「なぜ?」と思ったことを調べていこうと思います。
この作品を読んでくれた人に一言
この作品を読んでくれてありがとうございます。たくさんの人に動物のイメージについて知っていただければ、うれしいです。

生徒作品

『動物とイメージ』(新小6 D・Y君)

小さい頃から、僕はよく上野動物園にいっていました。ぼくは、どの動物もみんな大好きでした。もちろん、今でも動物が好きです。

ところが、最近、ある疑問が思い浮かびました。それは、動物の持つイメージについてです。サルは頭がいい、キツネはずるい、たぬきはまぬけといったイメージが、なぜあるのか疑問をもちました。どうして動物に対して、そのようなイメージがついたのか、また、一匹の動物に対してポジティブとネガティヴ、両方のイメージがあるのが不思議でした。

そこで、今回の研究では、動物のイメージについて研究をすることにしました。僕はイヌ、ネコ、カメ、ネズミ、タヌキ、ウサギ、ウマについて調べました。動物が出てくる昔話を読み、登場する動物のイメージを考えました。それから、アンケートを作成して、回答していただいた人たちの持つ動物のイメージについて考えました。

今回の発表では、時間の都合で、二つの動物について紹介します。

まずはイヌのイメージについてです。

僕はイヌが登場する昔話を二冊読みました。『桃太郎』でのイヌは、主人が使命を果たすのを手伝ってくれる存在です。『はなさかじい』でのイヌは、恩を返す律儀(りちぎ)な存在でした。

次にイヌについてのイメージをアンケートで調べました。その結果「かわいい」「かっこいい」「人を助ける」が多かったです。

イヌの好き嫌いについてのアンケートでは、イヌを好きな人が多いことが分かりました。

昔話とアンケートを比べると、どちらも、人を助けるというイメージが多くありました。「かっこいい」「かわいい」は、昔話にはありませんでしたが、自分にはそのようなイメージがありましたし、アンケートでも多く見られました。

イヌは、昔は狩りのときに協力したり、番犬となってくれたりと頼もしい存在だったため、「人を助ける」というイメージが定着していったのだと思います。一方、現在、イヌはペットとして飼われることが多いので、「かっこいい」や「かわいい」というイメージが増えているのだと考えられます。

次は、ネズミのイメージについてです。

僕はネズミが登場する昔話を五冊読みました。たとえば、『十二支の干支』でのネズミはずる賢い存在でした。また、『歯医者のチュー先生』では賢く、知恵を働かせてピンチを切り抜ける存在です。『14ひきのピクニック』でのネズミは、好奇心旺盛な存在でした。

次にネズミについてのイメージをアンケートで調べました。きたない、好奇心旺盛、かわいい、賢いが多かったです。

ネズミの好き嫌いのアンケートでは、ネズミを嫌いな人が多いことが分かります。

昔話とアンケートを比べると、昔話では、賢いというイメージが多かったです。この賢さにはずる賢さと、知恵を働かせてピンチを切り抜ける賢さの二つがありました。これはネズミが農場などで畑を荒らし、人間が罠などを使ってもなかなか捕まらないことによるものだと考えられます。ずる賢さは、人間側からの立場、知恵を働かせてピンチを切り抜ける賢さは、ネズミに共感する立場からだと考えられます。

一方アンケートでは、きたないが特に多く、好奇心旺盛、かわいい、賢いが多かったです。これは、昔話ではノネズミが、アンケートではドブネズミのイメージがあると考えられます。昔は農地などが多く、ノネズミがたくさんいたけれど、いまでは都会化が進みドブネズミが多くなったからだと思います。好奇心旺盛、かわいいや賢いは、昔話やトムとジェリーなどのネズミが出てくる物語から連想するイメージだと考えられます。

この研究を通して動物のイメージは昔と今とで変化していることがわかりました。なぜなら人と動物の関わり方が変わったからだと考えられます。昔は野山に動物が住んでいて、ときどき人里に現れて農作物を荒したりすることを迷惑に感じたり、かしこさを感じたりしていたのだと思います。一方、今ではペットとしてかわいがる存在になったり、都市にいる不衛生な動物というイメージに変化したのだと考えられます。

今回は紹介できませんでしたが、他にも分かったことがたくさんあっておもしろかったです。

これで発表を終わりにします。聞いてくださってありがとうございました。

参考文献— (書籍へのリンクはAmazonのアフィリエイトリンクです)

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

カテゴリー: 生徒作品

リテラ言語技術教室について

menu_litera