『音楽と絆』(M・Mさん 新高1)

リテラでは、生徒一人ひとりの興味・関心に基づいた学びの成果を、様々な方と分かち合う場として、年に一度、『生徒作品発表会』を開催しています。

今回は、『音楽と絆』(M・Mさん 新高1)を掲載致します。

音楽の魅力について、人と共有するところにあると考えたMさんは、「音楽とイメージのつながり」について研究することにしました。アンケートをとり、結果を分析したり、作り手の思いを調べたりしながら、音楽には人との絆が深める力があることを学びました。

その他の発表動画は、「2021年 生徒作品発表」をご覧ください。

作品について

本人の振り返り

これはどのような作品ですか?
音楽と人の心のかかわりについて考えた作品です。
どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
音楽は、なぜ人によって感じ方が違うのか、知りたかったからです。
作品づくりで楽しかったことは何ですか?
アンケート用に様々な音楽を調べたことです。
作品作りを通して学んだことは何ですか?
音楽は、人の気持ちを共感させたり、動かしたりすることができるということを改めて知りました。
次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
上手く言葉にするのが難しかったので、ボキャブラリーを増やしたい!!
来年、研究したいことはありますか?
美術作品・絵画等です。
この作品を読んでくれた人に一言
音楽とは、手紙のようなものです。また、人のきずなを深めたりもできます。だから、みなさんも、自分の好きな音楽を見つけて、人の輪を広げてみてください。

生徒作品

『音楽と絆』(M・Mさん 新高1)

私は、3年生最後の合唱コンクールで優勝することができました。合唱コンクールを通して音楽の楽しさを感じることができました。音楽の魅力とは、一つ一つの楽曲に物語があり、聞いてる人もそれを共有できるところにあると思います。私はよく家族と一緒にクラシックやポップスなどの曲を聴きます。白鳥の湖では、恋人を奪い合うシーンの激しさが伝わってくると話し合ったことがあります。音楽を聴いているとイメージが湧いてきます。それは人によって同じときもあれば、違うときもあると思います。だから、私は音楽とイメージのつながりについて調べたいと思いました。

私は曲に対する聞き手のイメージを調べるために、アンケートをとりました。五つの曲を聞いてもらい、それぞれのイメージに合う言葉を選んでもらいました。今回は、時間の都合でその中から、三つの結果について紹介します。私は、人によって感じ方が違うと思うので、選ばれる言葉はバラバラになると予想しました。

アンケートは、10歳から50歳までの方にご協力をお願いしました。女性が、80%、男性が、20%でした。

1つ目は、「イチゴホイップ」という題名です。作曲者ユウキさんは、「キュートなスイーツ系ポップス。甘い・さわやか・可愛い。ゲーム音楽BGM」とコメントしていました。私は、可愛くて楽しい曲だと思いました。アンケートでは、「好奇心」が70%でした。私が選んだ「可愛い」は、20%でした。私と同じ感じ方をした人もいたけれど、多くの人は、「好奇心」を選んでいました。私にとっては、意外な結果でした。

2つ目は、「OutofControl」という題名です。作曲者のシントーンさんは、デジタル感のあるミドルテンポでのヘヴィな楽曲だとコメントしていました。私は、かっこいい曲だと感じました。アンケートでは、「緊張感」が50%でした。私が選んだ「かっこいい」は、30%でした。この曲では、「何も感じない」と答えた方もいました。

3つ目は、「推理」という題名です。作曲者のマスクさんは、ホラー系BGM。探偵の推理パートをイメージして作ったとコメントしていました。私は、不思議な曲だと思いました。ジブリの『天空の城ラピュタ』で、ラピュタの内部に入った場面を思い出しました。アンケートでは、「不思議」が68.4%でした。私と同じ意見の方がグラフの大半を占めていました。

私は、人によって感じ方が違うと思うので、アンケートの結果はバラバラになると予想していました。しかし、どのアンケートでも半分以上の人が同じ言葉を選んでいました。このことから、音楽は、人の気持ちを共感させる力を持っていると考えました。

また、このアンケート全体の中で「なにも感じない」という回答は、1件しかありませんでした。このことから、音楽は人の気持ちを動かす力があると考えられます。

では、なぜ音楽は人の気持ちを共感させたり、動かすことができるのでしょうか? まず、私は、作曲者が自分の気持ちを音楽にして表現し、人に伝えるからだと考えました。例えば、「世界の終わり」というバンドのピアノを弾いている、Saoriさんが作った中学生用の合唱曲『プレゼント』には、「まだ今はつらい気持ちを抱えている人もいるかもしれないけど、この曲が皆さんにとっての一生の宝物みたいになってもらいたい。是非、歌詞の中でどこか好きなフレーズをみつけて大切にして欲しい」という思いが込められています。このように、人に思いを伝える点では、音楽は手紙のようなものかもしれません。

一方で、この曲にどんな思いが込められているかは分からないけれど、体が動いたり、気持ちが高鳴ったりすることがあるかもしれません。例えば、学校の給食の時間に流れるBGMを聞いて、名前も知らない曲なのに自然に足でリズムをとっていたことがあります。こうした音楽が自然に人の心には働きかけるところは、道端で金木犀のにおいがした爽やかな気分になったときや、友達とおしゃべりをして元気が出たときに似ています。

『図鑑心理学 ~歴史を変えた100の話~』によると、4万3千年前に象牙で作られたフルートが見つかっているそうです。つまり、音楽の始まりはとても古いことがわかります。そして、歌を歌うことは、初期の人間が最初の社会的集団の中で社会的絆を強めるための方法だと説明されています。つまり、音楽は、大昔から人の気持ちを動かしたり、共感させたりして、人の絆を強めてきたのです。そう考えると、私も学校の合唱コンクールを通して、クラスの仲間と絆が深まり、優勝することができました。今年私は、高校生になるので、これからも音楽を通して友達を作りたいと思います。

これで私の発表を終わります。聞いてくださってありがとうございました。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 生徒作品

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