『動物と癒やし』(S・Sさん 新中3)

リテラでは、生徒一人ひとりの興味・関心に基づいた学びの成果を、様々な方と分かち合う場として、年に一度、『生徒作品発表会』を開催しています。

今回は、『動物と癒やし』(S・Sさん 新中3)を掲載致します。
動物が大好きな中学2年生のSさん。飼っているハムスターのお世話をしたり、可愛らしい動物の動画を見たりすると、なぜ心が癒されるのか不思議に思い、研究のテーマにしました。

その他の発表動画は、「2021年 生徒作品発表」をご覧ください。

作品について

本人の振り返り

これはどのような作品ですか?
動物を見ると癒される理由がわかる作品です。
どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
動物を見るとなぜ癒されるのかと不思議に思ったからです。
作品づくりで楽しかったことは何ですか?
スライドの写真選びです。
作品づくりや発表で難しかったことは何ですか?
本の文章を要約してまとめることです。
作品作りを通して学んだことは何ですか?
動物を飼うことの三つの利点や、オキシトシンについて学びました。
次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
身近な疑問をテーマにしたいです。
この作品を読んでくれた人に一言
ぜひ動物を飼ってみてください。

生徒作品

『動物と癒やし』(S・Sさん 新中3)

ある日、夕食が終わった後、家族で動物のテレビを見ていた時のことです。色々な動物が紹介されていて、私は「可愛い」や「癒される」と思っていました。弟も、可愛いと声に出して言っていました。私はふと、どうして動物は可愛いのだろう、動物を見ていると「癒された」と思うのはなぜだろうと、不思議に思いました。

まず、癒される理由として、動物の可愛さがあげられると思います。小さいところ、毛がフワフワしているところ、目がくりくりしているところなど、動物にはたくさんの可愛いところがあります。特に可愛いのは動物の赤ちゃんです。そして、人間の赤ちゃんも可愛い姿をしています。実は、赤ちゃんの顔には、可愛いと感じる秘密が隠されています。赤ちゃんの顔の特徴として、大きな頭、丸い顔、広くひらけた額、低い位置にある大きな目、小さな鼻や口などあります。こちらは、心理学者ローレンツの「乳児図式」です。

人間の赤ちゃんに見られる特徴は、動物の赤ちゃんにも共通して見られます。はっきりとした理由はまだわからないそうですが、人間の赤ちゃんも、動物の赤ちゃんたちも、大切に育ててもらえるように、保護者に「かわいい」「守ってあげたい」といった気持ちにさせる特徴を持っているのではないかとローレンツは考えたそうです。

次に、動物と触れ合うと癒される理由についてです。私は、以前ハムスターを飼っていました。名前は「らい」です。

飼い始めた理由は、妹が学校の習字で賞を取って、ご褒美にハムスターを飼いたいと言ったからです。私たち家族はみんな、らいに癒されました。ペットと暮らすとどのような良い事があるのか、こちらの書籍で調べてみました。

動物が人にもたらす効果には、三つの種類のよいことがあるそうです。一つ目は、心への影響です。これは、動物といて「楽しい」や「必要とされていて嬉しい」というポジティブな気持ちになることです。私は、らいが、頭は隠しているのにお尻を出して寝ている姿を見て、面白いという気持ちになりました。

二つ目は、人間関係への影響です。これは、動物が、人と人との間をつなぐ役割があるということです。私は、らいを通して友達と仲良くなり、その友達もハムスターを飼い始めました。三つ目は、体への影響です。動物の体をなでたり、逆に自分の手や顔を動物になめてもらうことで、リラックス効果が得られます。私も、らいが顔を出してきた時、頭を撫でると、温かくて気持ちがよかったです。

最近の研究では、ペットと一緒にいたり、なでたりすることで、リラックスしているかどうかを、脳波から測定したり、オキシトシンホルモンの量を計ることで調べる研究が行われるようになったそうです。オキシトシンは、間脳にある脳下垂体から分泌され、出産や母乳が出るのを助けるホルモンです。しかし、女性だけが持っているではなく、年齢や性別を問わず、このホルモンを持っています。オキシトシンホルモンは、「幸せホルモン」や「愛情ホルモン」とも呼ばれています。幸福感、愛情を感じる効果があり、他者と信頼関係を育んでいくのに必要なホルモンだと言われています。犬と飼い主が1時間触れ合ったあと、オキシトシンの量を計ってみると、両方ともに高い数値が出たそうです。「ペットと暮らすといいことがある」「動物と関わるのは人にとってよい効果がある」ということを証明する結果となりました。動物が苦手だな、飼うのはハードルが高いなと感じている人を説得するのに、効果があるかもしれません。

もう一つ、動物と触れ合うことで得られる効果があります。それが、「マインドフルネス」です。マインドフルネスとは「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、囚われのない状態で、ただ見ること」と定義されています。これは、「ここに生きる、今の経験に注意を向ける」ということです。しかし、人は雑念に支配されやすく、「今ここ」に集中するのは簡単なことではありません。人は過去を悲しみ、未来に不安を抱くとき、「今ここ」を生きることができません。不安や恐怖に、心も体もおおわれてしまいます。ここで、改めて、可愛い動物の姿を見た時や触れ合ったときのことを思い出してください。ペットや動物と関わっていると、何も考えず心地よい気持ちなることが多かったのではないでしょうか? 私も、らいを見ていた時には、嫌なことを忘れられましたし、なでているとリラックスした気持ちになれました。動物は、過去を振り返ったり未来に思いをはせたりはしません。今を生きています。そうしたペットと交流することで、一緒に暮らしている家族もまた、「今ここ」に視線を集中させやすくなります。そして、ペットとの暮らしは「大切な今を生きること」、マインドフルネスを教えてくれるのかもしれません。

今回の研究で、動物を飼うと心や体も癒され、人間関係にもいいことがあるとわかりました。実は、私はアレルギーがあるので、犬や猫を飼うことはできません。でも、大人になってアレルギーが治ったら飼いたいです。皆さんも、嫌なことがあったときや、ストレスを感じたときは、ぜひ動物と触れ合ったり、動画を見て癒されてください。

これで発表を終わります。ありがとうございました。

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この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 生徒作品

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