『コロナと鉄道』(K・Yくん 新中3)

リテラでは、生徒一人ひとりの興味・関心に基づいた学びの成果を、様々な方と分かち合う場として、年に一度、『生徒作品発表会』を開催しています。

今回は、『コロナと鉄道』(K・Yくん 新中3)を掲載致します。
鉄道が大好きなK君。このコロナ禍で人々の移動が自粛される中、鉄道会社はどのような状態に陥っているのかを調べていきました。

その他の発表動画は、「2021年 生徒作品発表」をご覧ください。

作品について

本人の振り返り

これはどのような作品ですか?
コロナ禍における鉄道会社の状況をまとめた作品です。
どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
僕が鉄道のことが好きで、現在のコロナ禍の鉄道の経済状況が気になったからです。
作品づくりで楽しかったことは何ですか?
各鉄道会社が何千億円、何百億円の赤字になっていることを知って驚きました。
作品作りを通して学んだことは何ですか?
鉄道は存続しているだけでも利用者側にとってメリットがあるということを学びました。
次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
発表の時、視線を聞いている人に向ける時間を長くしたいです。
来年、研究したいことはありますか?
鉄道関連の事です。
この作品を読んでくれた人に一言
鉄道がコロナの影響で大赤字になっており、危機的状況に陥っていることを知ってほしいです。

生徒作品

『コロナと鉄道』(K・Yくん 新中3)

僕は、鉄道が大好きです。僕が思う鉄道の魅力は、そこからしか見られない景色や、鉄道の快適さです。それに、他の交通機関にはない、時間通りに運行する点や、目的地まで速く到着するという点が、素晴らしいと思います。しかし、そんな大好きな鉄道に、悲劇が起こりました。2020年、新型コロナウイルスの感染が拡大しました。感染を避けるため、外出が自粛され、鉄道に乗る人が少なくなりました。そのため、現在、鉄道会社は、危機的な経済状況に陥っています。ぼくは、大好きな鉄道を少しでも助けたいと思い、コロナウイルスの影響について調べてみることにしました。

まず、現在の鉄道各社の状況についてです。JR東日本は、2021年3月期、すなわち、2020年4月から2021年3月までの連結損益を、4500億円の赤字とする見通しを発表しました。また、ぼくの好きな東武鉄道は、連結最終損益が270億円の赤字になりそうだと発表しました。さらに、小田急電鉄も、最終損益が343億円の赤字になるとの見通しを発表しました。感染の拡大が続けば、これ以上の損失も考えられます。

では、乗客は、どのような不安を感じているのでしょうか。2020年9月、野村総合研究所が、全国の20代から60代、2074人に、鉄道利用に関するアンケート調査を実施しました。その結果、約8割が、公共交通機関でも、特に、鉄道の車内に不安を感じていることがわかりました。不安を感じた理由としては、手で触れるものが多いことや、乗客が守るべきルールがわからないこと、また、ルールの不足や不徹底、混雑状況が乗車するまでわからないこと、さらに、混雑緩和の対策が不足していることなどが挙げられました。そして、今後、利用したい移動手段としては、鉄道は半減していることがわかりました。乗客は、鉄道をコロナの感染リスクが高いと考えており、鉄道を利用しない人が増えていくと考えられます。

たくさんの利用客が気にしているコロナ対策ですが、鉄道各社はどのような対策を行っているのでょうか。2020年7月、鉄道連絡会は、新型コロナウィルス感染症対策に関するガイドラインを策定しています。鉄道各社は、基本的な対策として、駅、車内、店舗などの消毒を定期的に行うことや、車内の換気や駅員のマスクの着用を進めています。また、接触を避けるための対策も進めています。各社、フェイスシールドや飛沫防止パネルやシートの設置、コイントレイの活用などの対策をしています。JR東日本は「新幹線eチケット」や「タッチでGo!新幹線」、「モバイルSuica」などと言ったチケットレス化・モバイル化の追求によって、非接触に対応したビジネスを拡大しています。混雑状況が乗る前に確認できるサービスも行っています。小田急電鉄や東武鉄道など各社は、インターネットでその時の混雑状況を見られたり、特急列車の座席を予約できたりするサイトを開設しています。しかし、まだ解決できない不安もあります。たとえば、消毒や換気が本当にされているのか、どのくらいされているのか、乗客にはわかりません。そうした不安をなくすために、対策の状況をよりわかりやすく公開していくことが求められます。

しかし、コロナ感染への不安を和らげるためには、鉄道各社の対策だけでは不十分です。私達乗客側も、車内でルールを守れば、感染リスクを抑えることができます。国土交通省からは、鉄道を安心してご利用いただくためのお客様への3つのお願いが出されています。

まず、車内ではマスクを着用し、会話は控えめにすること。次に、車内換気に対する理解と協力。さらに、混雑する時間帯・車両を避けることです。これらの指針を守ることで、感染リスクは、低くなると考えられます。

今後、さらにリモートワークが進むことが予想されます。鉄道の利用者数は、元通りにはならないと考えられます。しかし、鉄道は、社会にとって欠かせない公共機関です。鉄道会社がずっと存続することが、利用者にとってのメリットとなります。鉄道会社は、利用者の安心につながるサービスを提供し、自らの持続可能性を追求していくことが求められます。

これで、発表を終わります。聞いてくださって、ありがとうございました。

参考文献—

  • 佐野則子(2020). コロナ禍における鉄道利用に関する意識と「近場」に着眼した事業の可能性について 野村総合研究所 NRIグループ 新型コロナウィルス対策緊急提言 第51回
  • 鉄道連絡会(2020). 鉄軌道事業における新型コロナウィルス感染症対策に関するガイドライン 第2版
  • 京急電鉄(2020). 京急の従業員向け新型コロナウイルス感染・熱中症予防対策 全駅係員にフェイスシールドを配備 京浜急行電鉄(KEIKYU) ニュースリリース. Retrieved from https://www.keikyu.co.jp/company/news/2020/20200619HP_20031EW.html
  • 小田急電鉄 ロマンスカー. 新規予約/購入(ロマンスカー@クラブ会員)オンライン予約のご案内 Retrieved from https://www.odakyu.jp/romancecar/booking/club/guide/pc/purchase/
  • 鉄道ファン(2019). 東武, 3月9日からSL「大樹」座席指定券のインターネット購入・予約サービスなどを開始 鉄道ニュース Retrieved from https://railf.jp/news/2019/03/08/061000.html
  • 小田急電鉄Webサイト. 新型コロナウィルス感染拡大予防の取り組み Retrieved from https://www.odakyu.jp/safety/covid19/
  • 国土交通省. 鉄道を安心してご利用いただくためのお客様への3つのお願い 鉄道利用者の皆様へ(新型コロナウィルス感染症対策の利用者受け情報)Retrieved from https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_fr1_000062.html
この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

タグ: ,
カテゴリー: 生徒作品

リテラ言語技術教室について

menu_litera