リテラでは、生徒一人ひとりの興味・関心に基づいた学びの成果を、様々な方と分かち合う場として、年に一度、『生徒作品発表会』を開催しています。
今回は、『進化の疑問』(K・Kくん 新小4)を掲載致します。動物が大好きなKくん。多種多様な生き物がどのように生まれたのか、小さな頃から疑問に思っていたそうです。今回の研究では、飼っていたドジョウを題材に「進化」について学んでいきました。
作品について
本人の振り返り
- これはどのような作品ですか?
- 動物の進化について調べた作品です。
- どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
- 動物が好きで、今、この世界にいる動物たちが、どのように生まれて進化してきたのか知りたかったからです。
- 作品づくりで楽しかったことは何ですか?
- すべての生物が1つの単細胞生物から進化したということを知って驚いたことが心に残りました。
- 作品づくりで難しかったことは何ですか?
- いろいろなことを研究したので、5分にまとまるのが難しかったです。もっと発表の時間が欲しかったです。
- 作品作りを通して学んだことは何ですか?
- 進化には様々なルートがあることがわかりました。
- 次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
- 発表の時、もう少し大きな声を出したいと思います。
- 来年、研究したいことはありますか?
- 進化について学ぶ中で、脳に興味を持ちました。
- この作品を読んでくれた人に一言
- 進化に興味が出た人は、もっと調べてみてください。
生徒作品
『進化の疑問』(K・Kくん 新小4)
この世界には、たくさんの生き物たちがいます。その生き物たちは、海から生まれました。そして、進化をして今の世界があります。でも、なぜ進化は起きたのか? そもそも、進化とはなにか? 進化の真っ最中の生き物はいるのか? 今回僕は、進化の疑問について研究してみることにしました。
研究は、この4冊の本を使って進めました。
まずは、僕の家で飼っているドジョウについて研究しました。なぜなら、このドジョウが、進化について考えるきっかけをくれたからです。こちらの動画をご覧ください。
水槽の奥からでてきたのは、4年前から飼っているオスのドジョウです。実は、奥にもう一匹います。
こちらの写真をご覧ください。2匹、仲良く並んでいます。奥のドジョウがメスです。メスは5年前から飼っています。
このドジョウは、幼稚園のドジョウつかみでもらいました。その時に、ドジョウが、ぬめぬめしていて手からするりと逃げ出して、地面をヘビのように動きながら逃げて行きました。その姿を見て、ポリプテルス・セネガルスという魚を、8か月間、陸で過ごさせるという実験を紹介していた番組を思い出しました。魚が陸で過ごすうちに、歩けるようになったのです。それで、もしかしたら、ドジョウも陸にいたら歩けるように進化するのではないかと思いました。
まず、ポリプテルス・セネガルスが歩く姿をご覧ください。
ポリプテルス・セネガルスとドジョウはよく似ています。例えば、体が細長く、くねくねと体をS字型に曲げながら移動するところや、少しの間、陸で活動できるところです。
でも、違いもあります。例えば、呼吸法です。ドジョウは、エラと腸と、皮膚で呼吸ができます。ポリプテルス・セネガルスは、エラと肺で呼吸します。また、食べ物も違います。ドジョウは赤虫、ミジンコなど小さな生き物を食べます。ポリプテルス・セネガルスは、肉食でカエルや昆虫、小魚を食べます。サイズも違います。ドジョウは12センチぐらいですが、ポリプテルス・セネガルスは、50センチにもなります。
このような違いが、なぜうまれるのか、僕は、それぞれの種類と進化の時期を調べてみました。まず、ポリプテルス・セネガルスは、ポリプテルス目という分類で、魚のなかで最も古く、両生類とぶんきしたグループです。
ドジョウはどうでしょうか? ドジョウは、コイ目なので、新しい種類に属しています。
ポリプテルス・セネガルスが歩いたのは、子どもの時に陸で生活させることで、鎖骨と肩甲骨が分類的に近い両生類の形に変化したからです。
このように、環境に適応した体になろうとする柔らかさ、そして、変化した形で留まろうとする力のことを可塑性と言います。子どものポリプテルス・セネガルスは、この可塑性を発揮して、陸に適応する体を作ったのです。
だから、ドジョウの子どもを陸で育てたら、可塑性を発揮して、ポリプテルス・セネガルスのように歩けるようになるかというと、そうはなりません。理由は、ドジョウは、分類的には、両生類とはほど遠いからです。また、呼吸法も、水や泥の中で暮らすために独特の進化をしているからです。
ところが、ドジョウのDNAを調べると、人間をふくむせきつい動物のなかで、進化の最先端にいるという研究があることを知りました。今後、ドジョウがどのように進化していくか楽しみです。
今回、進化についてたくさんのことを学びました。時間がなくて、すべては紹介できませんでしたが、最後に進化について、もっとも大切なことをお話しします。それは、地球上にいる生き物すべてが家族だということです。すべての生き物の祖先をたどると、38億年前に誕生した一個の単細胞生物にたどり着きます。
ぼくは、このことを知ったとき、驚きました。姿も、コミュニケーションの方法も違う生き物が、一つの細胞から進化して生まれたということが、未だに信じられないです。でも、進化があったからこそ、今、この世界にはいろいろな生き物がいます。ぼくは、いろいろな生き物がいるこの世界を面白いと思っています。今、ぼくは、9歳です。でも、ぼくが生まれてからの9年分の人生だけではなく、38億年前に生まれた細胞から続く生き物の歴史があるから、今ここにいるのです。ぼくは、これからも、命のつながりのことや、進化の不思議を学んでいきたいです。
これで発表を終わります。ありがとうございました。
- Sabina Radeva(2019). On The Origin of Species. Puffin. (サビーナ ラデヴァ 福岡 伸一 (訳). ダーウィンの「種の起源」: はじめての進化論 岩波書店)
- 渡辺 可久・広崎芳次(監修)(1992). 川のさかな 岩崎書店
- Anna Claybourne(2019). Amazing Evolution: The Journey of Life. Quarto publishing plc. (アンナ・クレイボーン 鹿田 昌美 (訳) 郡司 芽久 (監修). すごいぞ!進化: はじめて学ぶ生命の旅 NHK出版)
- 浅井 ミノル(1994). 水のいきものかいかたそだてかた 岩崎書店