【ブックレビュー】『ぼくは、かめ吉』(藤坂宏子)

ぼくは、かめ吉 (ことりのほんばこ)

内容紹介

三年二組で飼われているかめ吉は、三本足でした。去年の夏、池からうさぎ小屋へ出かけた時に、ねこにおそわれてしまったからです。夏休み、水槽がこわれてしまい、池に放されたかめ吉は、今年もうさぎ小屋へいく冒険に出かけます。

子どもたちのブックレビュー

小3・Rさん

考えてほしいこと

読む前に

  • あなたの学校では、どんな生き物を飼っていますか。あなたは、生き物の世話をしたことがありますか。
  • あなたは、生き物を飼ったことや、生き物を飼いたいと思ったことは、ありますか。また、生き物を飼うことに、自信がありますか。

読んだ後に

  • わたしたちは、なぜ、生き物を飼うのでしょうか。生き物を飼う理由をできるだけたくさん考えてみましょう。
  • もしも自分のクラスで、「生き物を飼おう」という提案があったら、あなたは賛成しますか。反対しますか。その理由も考えてください。

この本について

キーワード:生命 責任 

生き物を飼うためには、「責任」を持たねばなりません。それは、生き物の命の重みを感じて、その生き物と、まわりの人たちが豊かに生きられるように世話をするということです。

かめ吉のまわりには、かめ吉のためを思ってケンカする子、その場ではかわいがっても、夏休みにすすんで世話を引き受けようとはしない子、かめ吉の世話をすることになってどこか迷惑そうな職員室の先生、かめ吉を心配し、あたたかく見守る校長などさまざまな立場の人がいます。

読み手である子どもたちは、生き物をかわいいと思う気持ちに共感する一方で、その責任を負うことの難しさや、できれば責任を持ちたくないと思うことへ後ろめたさを感じることもあるでしょう。

命を預かることへの責任を自覚するためには、かめ吉が、他の多くと同じ「カメ」から、かけがえのない「かめ吉」としてとらえられるようになることが必要です。それは、自分とのかけがえのない「関係性」を築くことでもあります。

かめ吉の視点から描かれているこの物語は、飼われる生き物たちにも願いがあり、「人生」の喜びがあるのだということを、親しみをこめて知ることができます。

物語の主人公・かめ吉に寄り添うことで、子どもたちが、自分の身の回りにある、かけがえのない「関係性」について考えられることを願っています。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

カテゴリー: ブックレビュー

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