それぞれの課題図書の紹介と考えるポイント、声がけのヒントなど、読書感想文に役立つ情報を、順次公開しています。
内容の紹介
2014年のソチオリンピックのスキージャンプで銀メダルに輝いた葛西紀明選手。七回のオリンピックに出場し続け、レジェンド(伝説)と呼ばれるようになった彼の半生を描いたドキュメンタリーです。
読む前の下ごしらえ
考えてほしいこと
読む前に、次のことを考えてみましょう。
- 葛西選手が活躍している映像を見てみましょう。
- あなたは、何をしている時が一番好きですか? また、何をすることにやりがいを感じていますか。
- あなたには夢や将来の目標がありますか? あれば、それを達成するために何をしなければならないか、具体的に書いてみましょう。わからなければ、調べてみましょう。また、まだ夢や将来も目標がない人も、将来どんな暮らしをしたいか、また、どんな人たちの役に立つ仕事をしたいか、考えてみましょう。
読んだ後に
読み終わったら、次のことを考え、書いてみましょう。
考えるヒント
- 葛西選手の活躍の裏側には、葛西選手自身の努力と、たくさんの人々のサポートがありました。
- 葛西選手自身の性格や努力はどのようなものでしたか。見習いたいところはどこですか。
- 下川ジャンプ少年団を支える人々のつながりや、練習場の環境はどのようなものでしたか。感心した考え方はありますか。
- 葛西選手を支えたご家族の愛情や努力はどのようなものでしたか。なぜ葛西選手のためにがんばれたのだと思いますか。
- 以上をまとめた上で、今の自分に大切だと思うことを書いてみましょう。特に、「人とのつながり」について考えてみてください。
保護者の方へ
上記の「考えるヒント」を参考に、対話をしながらアイデアを拡げてください。アイデアのメモをたくさん作り、並べ替えながら、感想文の構成を練りましょう。
2014年、葛西選手が銀メダルを獲得した時のニュース映像を覚えていらっしゃる方も多いと思います。スキージャンプ競技の第一線で活躍し続け、「レジェンド」と呼ばれるようになった葛西選手ですが、その半生は、決してなだらかなものではありませんでした。一途な思いと懸命な努力、夢を具体的な目標として感じることのできる下川町の環境とそれを支える人々、何より、どんな時も葛西選手を励まし、勇気づけてくれる家族の愛情があってこそ、困難に耐え、メダルを得ることができたのでした。
スポーツ選手に限らず、人はひとりで生きることはできません。ましてや、大きな目標に挑み、現実のものとするためには、多くの人のサポートと、「この人になら夢を託せる」と思わせる、ひたむきさが必要です。葛西選手は、メダルに満足することなく、次のオリンピックに向けて今も努力を重ねています。その姿は次世代の選手たちや子どもたちに、大きな勇気を与えています。
読書感想文を通して考えてほしいテーマ
- 将来の目標と生き方
- 人とのつながり
声がけのヒント
子どもたちにとって、将来の目標など、まだまだわからないと思います。そうした場合、遠くを見るのではなく、今、自分の好きなことや、やりがいを感じることを探してみましょう(もし、好きな事も、やりがいを感じることもないという場合は、自分の生活スケジュールや家庭・学校の環境などを見直すきっかけになるかもしれません)。葛西選手は多くの人に支えられて成長してきましたが、それは、葛西選手が多くの人を支えていることの裏返しです。自分のしたいことは、誰に支えられ、また、誰を支えていくのでしょうか。自分の夢や目標・好きなことと、「人とのつながり」を重ねて考えてみてください。
構成について
構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。「誰に、何を伝えたいか」
- ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
- 誰に……例)家族、友人、先生
- 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
- 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。
文章の構成
- 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
- 【はじめ】
- この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
- 【なか】
- 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
- 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
- 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
- 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
- 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
- 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
- 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
- 【おわり】
- 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。