【2015読書感想文特集】『はこぶ』(低学年向け課題図書)

はこぶ

それぞれの課題図書の紹介と考えるポイント、声がけのヒントなど、読書感想文に役立つ情報を、順次公開しています。

内容の紹介

あなたは、物を運ぶ時、どうしていますか? 軽くて小さなものなら、手で運べますね。では、たくさんのものや、重いものを運ぶ時はどうするでしょうか。入れ物に入れたり、誰かと一緒に運んだり、車輪のついた道具を使ったりすれば、楽に運べます。この本には、物だけでなく、人を運ぶ乗り物もたくさん出てきます。「はこぶ」ための知恵と工夫の歴史が学べる絵本です。

読む前の下ごしらえ

考えてほしいこと

読む前に、次のことを考えてみましょう。

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  • あなたの目の前に、リンゴが一つあります。あなたはどうやって運びますか? 数が増えたらどうしますか? 遠くの人に届けたいときはどうしますか?

読んだ後に

読み終わったら、次のことを考え、書いてみましょう。

考えるヒント

  • 乗り物は、今と昔では、ずいぶん変わりました。上の絵写真は馬車、下の写真は車です。比べてみましょう。
Amandajm - 2007

Amandajm – 2007

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  • 馬車と車で、同じところはどんなところですか?
  • 馬車と車で、ちがうところはどんなところですか?
    • それぞれ、何の力で動きますか?
    • それぞれ、どのように走る方向を変えますか?
    • スピードを上げたり、スピードを落としたりするにはどうしますか?
  • あなたが使っているランドセルを観察し、教科書やノートを運ぶために、どのような工夫がされているか考えてみましょう。
NKBC - 2013

NKBC – 2013

  • なぜこの大きさなんだろう? : もっと大きかったらどうなる? もっと小さかったらどうなる?
  • なぜ革やビニールでできているんだろう? : 布でできていたらどうなる? 木でできていたらどうなる?
  • なぜこの形なんだろう? : 三角形や丸い形だったらどうなる? 背負うためのベルトがなかったらどうなる?

保護者の方へ

上記の「考えるヒント」を参考に、対話をしながらアイデアを拡げてください。アイデアのメモをたくさん作り、並べ替えながら、感想文の構成を練りましょう。

ページいっぱいに描かれた、運ぶための道具や乗り物は迫力満点。縄文時代から現代まで、進化する様子が、人々の服装や暮らしとともに描かれています。子どもたちに、社会を支える大切な「はこぶ」仕事を身近に感じてもらえるでしょう。

関連サイトとして「一般社団法人運輸振興協会「みんなののりもの」」があります。陸・海・空で活躍する乗り物の紹介や、人や物を運ぶ「運輸」の歴史についても掲載しています。また、「のりもの博物館」では、地域の乗り物博物館がさがせます。

読書感想文を通して考えてほしいテーマ

  • 道具と人の営み

声がけのヒント

物語とは違い、登場人物の紹介や、あらすじを書く必要はありません。1ページ1ページ、ゆっくりとページをめくりながら、驚いたこと・気になったことを、付箋を使いながらメモしましょう。本に登場した乗り物に乗った思い出や、出会った人との交流など、自分の体験をたくさん書けるとよいでしょう。絵本のページには、道具や乗り物の名前は入っていません。本を読みながら、道具や乗り物の名前や成り立ち、使い方などが気になったら、一緒に調べてみましょう。

構成について

構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。

「誰に、何を伝えたいか」

  • ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
    • 誰に……例)家族、友人、先生
    • 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
  • 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。

文章の構成

  • 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
  • 【はじめ】
    • この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
  • 【なか】
    • 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
    • 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
      • 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
      • 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
      • 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
      • 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
    • 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
  • 【おわり】
    • 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。
読書感想文の書き方・文例について、より詳しくは「テーマを考えてから書こう! ~読書感想文のコツ」をご覧ください。
この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: ブックレビュー

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