内容の紹介
ジュールズ・シャーマンは、鉱物が好きな女の子。お姉さんはシルヴィ。だれよりも早く走れるようになることが望みです。ジュールズとシルヴィは、幼いころ亡くしたお母さんの思い出を大切にしながら、仲良くくらしていました。ところが、シルヴィは、パパから行くことを固く禁じられていた森の奥の「奈落の淵」へ行き、命を落とします。悲しみにくれるジュールズは、一匹の子狐と出会い、心を通わせながら、それまで知ることのなかった姉の思いを知ることになります。
読む前の下ごしらえ
考えてほしいこと
読む前に、次のことを考えてみましょう。
- あなたには、心からかなえたい願いがありますか。
- もしあるなら、それはどんな願いですか。
- もしないなら、あなたは、そうした強い願いを持ちたいと思いますか。理由も含めて考えましょう。
合わせて知りたい
- シルヴィが着ているTシャツにかかれているジョイナーについて知りましょう。
フローレンス・グリフィス=ジョイナー(Florence Griffith Joyner, 1959年12月21日 – 1998年9月21日)は、アメリカ・ロサンゼルス出身の陸上競技選手。陸上競技における女子100m(10秒49)、200m(21秒34)の世界記録を2016年現在も保持しています。(wikipediaより)
- 作中に登場するピューマの写真を見てみましょう。
読む
読む時は、印象に残った場面や不思議に思った場面など、「心が動いたところ」にふせんを貼りながら読みましょう。書く時の材料になります。
また、できれば、家族や友だちと、同じ本を読んでみましょう。自分と違う感想や考え方を知ると、感想文の内容がより深いものになります。
準備する
気持ち
本を読んで感じた気持ちをことばにするのは、なかなか難しいものです。読み終わったら、次の「気持ちについて考えよう」シートを印刷して、感じた気持ちに丸をつけてみましょう。対話のヒントになります。
体験
読書感想文では、本の内容と自分の体験を結びつけることが大切です。自分の体験が思いつかない場合は、このページの「考えるヒント」を参考にして、本のテーマについて誰かに聞いたり、調べたり、新しく何かをしてみたりするとよいでしょう。
考えるヒント
- シルヴィの切なる願い(心からかなえたい願い)は、どんな願いでしたか。
- サムの切なる願いは、どんな願いでしたか。二つあります。
- 切なる願いがなかったジュールズも、切なる願いを持つようになりました。
- それは、どんな願いでしたか。
- なぜ、それを願うようになったのですか。
- その願いがかなうことにどんな意味がありますか。
- シルヴィの切なる願いには、どんな意味がありましたか
- あなたにも、切なる願いはありますか。
- それは、どんな願いですか。
- なぜ、その願いをかなえたいのですか。その願いをかなえることにどんな意味がありますか。
- あなたは、大切な人を亡くしたことがありますか。
- そうした経験のある人は、その事実と、どのように向き合っていますか。(思い出すことがつらくて苦しいときは、無理に思い出す必要はありません。)
- そうした経験のない人は、もしもあなたの大切な人が亡くなってしまったら、どんな思いになるでしょう。どんなふうに暮らすでしょう。想像してみてください。
- ハーレスのおばさんは、スピリット・アニマルは人知のおよばない理由で他の何者かを助けるために生まれると話していました。
- この物語の結末では、だれが、どのように、なにによって助けられたのでしょうか。
- あなたは、ジュールズとセナをめぐる結末について、どのような印象を持ちましたか。良い結末だと思う。/良い結末だとは思わない。 その他、考えたことをまとめておきましょう。
保護者の方へ
上記の「考えるヒント」を参考に、対話をしながらアイデアを拡げてください。アイデアのメモをたくさん作り、並べ替えながら、感想文の構成を練りましょう。
読書感想文を通して考えてほしいテーマ
- 大切な人の死
- 切なる願い
この本について
大切な人の死とどのように向き合うか。重いテーマですが、死とはだれもがさけることのできない普遍的なテーマです。あとがきで、この本の訳者・吉井知代子さんは、「悲しみを経験した人にとっては、この結末が悲しみをやわらげる一助となれば幸いです。」としめくくっています。ジュールズがシルヴィの死をどのように受け止めたのか、結末の意味について考えてみましょう。そして、決して埋めることのできない喪失感をやわらげるものが一体どのようなものか、考えてみましょう。
この物語では、だれもが「切なる願い」を持っています。(はじめ、切なる願いを持っていなかったジュールズも切なる願いを持つようになります。)この物語で描かれる「切なる願い」は、どれもがその個人だけで完結したものではありません。願いは、たとえ個人的なように見えても、自分ではないだれかとつながり、関わりあっています。みなさんが、強い願いや思いを持っているなら、その願いや思いと関わりのある人(あるいは人々)について、考えてみましょう。
合わせて読みたい
『悲しい本』
愛する息子を失った一人の男の悲しみを描く絵本です。どうしようもない悲しみを抱えながら、それまでとは全く変わってしまった人生と男は向き合い続けます。
『クロニクル千古の闇1 オオカミ族の少年』
オオカミ族少年トラクは、巨大なクマの姿をした悪霊に襲われた父親との誓いを守り、〈天地万物の精霊〉が宿る山を目指します。道連れはオオカミの子。紀元前4000年の森を舞台にしたファンタジーです。作者は、考古学や、アメリカ先住民や、イヌイット、日本のアイヌなど、さまざまな民族に関わる文化人類学、フィールドワークを通して物語の世界を描いています。
構成について
構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。「誰に、何を伝えたいか」
- ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
- 誰に……例)家族、友人、先生
- 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
- 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。
文章の構成
- 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
- 【はじめ】
- この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
- 【なか】
- 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
- 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
- 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
- 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
- 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
- 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
- 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
- 【おわり】
- 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。
2017年 その他の課題図書
随時追加していきます。
2017年 夏期講習
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