内容の紹介
秋山璃在(あきやま りある)は、スポーツも勉強もできて、学年のだれからも好かれる人気者。一方、幼なじみの飛鳥井渡(あすかい わたる)は、リアルと比べられるのがいやになり、いつからかリアルをさけるようになります。小学5年の春、同じクラスになったリアルと渡は、転校生の美少年、サジに出会い、互いに向き合っていきます。
読む前の下ごしらえ
考えてほしいこと
読む前に、次のことを考えてみましょう。
- あなたは、自分をどんな人だと考えていますか。
- 友だちは、あなたをどんな人だと思っていると思いますか。
- あなたが考えている自分と、友だちや他の人が考えている自分(あなた)がちがうと感じたことがありますか。
合わせて知りたい
- 作中に登場するラピスラズリの写真を見てみましょう。
読む
読む時は、印象に残った場面や不思議に思った場面など、「心が動いたところ」にふせんを貼りながら読みましょう。書く時の材料になります。
また、できれば、家族や友だちと、同じ本を読んでみましょう。自分と違う感想や考え方を知ると、感想文の内容がより深いものになります。
準備する
気持ち
本を読んで感じた気持ちをことばにするのは、なかなか難しいものです。読み終わったら、次の「気持ちについて考えよう」シートを印刷して、感じた気持ちに丸をつけてみましょう。対話のヒントになります。
体験
読書感想文では、本の内容と自分の体験を結びつけることが大切です。自分の体験が思いつかない場合は、このページの「考えるヒント」を参考にして、本のテーマについて誰かに聞いたり、調べたり、新しく何かをしてみたりするとよいでしょう。
考えるヒント
◆渡がリアルをさけるようになったのは、どうしてですか。(P.18)
◆渡たちは、アルトたちがサジの悪口を言っているのを聞いてしまいます。(P.140)
- 渡は、アルトをどんな人だと思っていますか。
- スーパータカミヤでのリアルの話から、アスカたちは、アルトのどんな面を知りましたか。
- あなたは、どうしてリアルがアルトたちに言い返さなかったのだと思いますか。
◆リアルは、みんなが不公平であることが世の中の真理であり、そんな中で今、生きていることを「奇跡」だといいます。(P.174)
- あなたは、人の死について、だれかと話し合ったり、特別に考えさせられる出来事を経験したことはありますか。(思い出すことが苦しければ、無理に思い出す必要はありません。)
- あなたは、今生きていることを当たり前ではないと感じたことがありますか。
- あなたは、もしもあと一か月しか生きられないとしたら、どのように人と関わり、毎日を過ごしますか。
保護者の方へ
上記の「考えるヒント」を参考に、対話をしながらアイデアを拡げてください。アイデアのメモをたくさん作り、並べ替えながら、感想文の構成を練りましょう。
読書感想文を通して考えてほしいテーマ
- あこがれと反発
- 友情
- 個性
- 死
この本について
思春期の入り口に立つみなさんは、人の気持ちや人間関係の複雑さに気がつき、同時に自分自身への理想と現実との葛藤になやむことがあるかもしれません。
なんでもできて、誰からも好かれるリアルに、渡は、あこがれていました。しかし、同時にリアルのようになれない自分に劣等感を感じ、リアルとの間に距離が生まれます。そんな時にやってきた転校生サジは、リアルと渡が改めて、自分自身と、そして友だちと真正面から向き合うきっかけを作ります。
この本を読むみなさんも、自分の身の回りの友人関係を振り返ってみましょう。人の心は複雑です。友だちの今まで気が付かなかった一面に、また自分自身の新しい一面に気がつくことができたら、すばらしいですね。そして、それぞれの違いを個性として認め合うことができたなら、今までよりも深い友情を育むきっかけとなるはずです。
また、この物語の背景には、身近な人の「死」というテーマもあります。人はだれでも死を迎えます。そのことを頭ではわかっていても、自分も身近な人も安全で健康な生活をしていると、意識しにくいものです。渡が、それまで避けていた「死」について考えたように、あなたもあなたの身近な人や出来事、さまざまなメディアを参考にしながら、「死ぬということ」と「生きるということ」について考えてみましょう。
合わせて読みたい
『ようこそおまけの時間に』
十二時きっかりのサイレンを合図に、賢は、ふしぎな夢を見ます。教室中がいばらでおおわれ、クラスメートがいばらにからみつかれて、身動きできずにじっとねむっているのです。賢は、クラスメートをいばらから助けて、ふしぎな「おまけの時間」を過ごしながら、ふだん気がつかなかった自分や、友だちの新しい一面を知ることになります。
『悲しい本』
愛する息子を失った一人の男の悲しみを描く絵本です。どうしようもない悲しみを抱えながら、それまでとは全く変わってしまった人生と男は向き合い続けます。
構成について
構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。「誰に、何を伝えたいか」
- ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
- 誰に……例)家族、友人、先生
- 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
- 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。
文章の構成
- 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
- 【はじめ】
- この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
- 【なか】
- 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
- 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
- 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
- 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
- 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
- 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
- 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
- 【おわり】
- 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。
2017年 その他の課題図書
随時追加していきます。
2017年 夏期講習
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