内容の紹介
ある雨の日、小学校一年生のえみちゃんが出会ったくろねこ「どん」。雨の日や風の日、ひとりぼっちでいる時、ふいに、えみちゃんの部屋にやってくるようになります。ねこらしく、自由な生活を楽しむどんと、えみちゃんは、いっしょに、いろいろなあそびを楽しみます。
読む前の下ごしらえ
考えてほしいこと
読む前に、次のことを考えてみましょう。
- もしあなたが他の動物としゃべれるとしたら、どの動物と話してみたいですか?
- その動物と、どんな話をしてみたいですか?
- もしあなたが他の動物になれるとしたら、どの動物になりますか?
- それはなぜですか?
読む
読む時は、印象に残った場面や不思議に思った場面など、「心が動いたところ」にふせんを貼りながら読みましょう。書く時の材料になります。
また、できれば、家族や友だちと、同じ本を読んでみましょう。自分と違う感想や考え方を知ると、感想文の内容がより深いものになります。
準備する
気持ち
本を読んで感じた気持ちをことばにするのは、なかなか難しいものです。読み終わったら、次の「気持ちについて考えよう」シートを印刷して、感じた気持ちに丸をつけてみましょう。対話のヒントになります。
体験
読書感想文では、本の内容と自分の体験を結びつけることが大切です。自分の体験が思いつかない場合は、このページの「考えるヒント」を参考にして、本のテーマについて誰かに聞いたり、調べたり、新しく何かをしてみたりするとよいでしょう。
考えるヒント
◆「どん」は、えみちゃんの家でくらさず、一人で生きています。
- 「どん」が、えみちゃんの家でくらさなかったのは、どうしてだと思いますか?
- もしあなたがねこなら、どんなふうにくらしたいですか?
◆さびしい時、こわい時、「どん」はよくえみちゃんのへやにあそびにきてくれます。
- あなたには、さびしい時、こわい時、いっしょにいてくれる人はいますか?
- さびしい時、こわい時、あなたがいっしょにいてあげたい人はだれですか?
◆えみちゃんと「どん」は、いっしょにいろいろなあそびをします。
- あなたと「どん」がともだちになったら、どんなあそびをしてみたいですか?
- あなたには、いっしょにあそぶ、なかのよい友達がいますか?
- その友達は、どんなひとですか?
- どんなふうに友達になりましたか?
- その友達と、どんなあそびをするのが楽しいですか?
◆「どん」は、たまに、えみちゃんの言うことを聞かなかったり、にげだしたり、あばれたりします。
- あなたは、そんな「どん」のことを、どう思いますか?
- あなたは、だれかとけんかして、腹が立ったり、さびしくなったりしたことはありますか?
- そんな時、あなたはどうしますか?
- もし、なんでも言うことをきく「どん」と、自由な「どん」がいたら、あなたはどちらと友達になりたいですか?
- それはなぜですか?
- もし、あなたになんでも命令する人がいたら、あなたはその人と友達になりたいですか?
- 友達とは、どんな人のことだと思いますか?
保護者の方へ
上記の「考えるヒント」を参考に、対話をしながらアイデアを拡げてください。アイデアのメモをたくさん作り、並べ替えながら、感想文の構成を練りましょう。
読書感想文を通して考えてほしいテーマ
- 人間と動物
- 友達
- 想像力
この本について
この本で何と言っても印象的なのが、ねこたちの生き生きとした描写です。かわいらしさだけではなく、気ままさ・野性味・神秘性など、決して人の思い通りにならない、魅力的なねこたちの姿が描き出されています。
子どもたちは、そうしたねこたちの姿をかわいいと思う反面、いやだ・怖いといった、ネガティブな感情も持つはずです(主人公のえみちゃんも、たまに、同じような戸惑いを感じているようです)。ねこがなぜそのように振る舞うのかといえば、それは、ねこだから。ねこは、人の期待や思いとは関係なく生きています。
多くの場合、物語のキャラクターには、それぞれの一貫した役割や性格があります。子どもたちの読んできた本でも、優しいキャラクターは優しく、こわいキャラクターはこわく、途中でふいに性格が変わってしまうことは基本的にありません。けれど、この本に出てくる「どん」は違います。一緒にいたのに突然外に出ていってしまったり、仲良く遊んだ次の日に出会ってもこちらを無視したりします。
こうした、これまでの物語の「約束事」を破る「どん」の振る舞いについて、戸惑う子も多いと思います。けれど、人の常識にとらわれない自由さこそが「どん」をはじめとするねこたちの魅力です。無理に理解しようとするのではなく、その戸惑いを、そのまま素直に言葉にしてみることをお勧めします。もしかすると、友達や家族との関係で戸惑ったことを思い出すかもしれません。
本書は、1982~1983年に刊行された4冊を1冊にまとめ、加筆したものです。物語の展開よりも、それぞれの章で描き出される自然の風景や音、ねこたちのしぐさ、えみちゃんのうれしさやとまどいなどを、ゆっくりと味わってください。読み聞かせをする場合は、一気に読もうとすると長いので、各章ずつ、時間をとって読んでみてください。また、その際は、読み手の心に浮かんできた感情やお子様の気持ちなどを共有しながら読み進めることをお勧めします。
合わせて読みたい
『ノラネコの研究』
町のノラネコがどんなふうに生活をしているのか、ノラネコ「ナオスケ」の丸一日を追った記録です。ねばり強く観察することで見えてくるネコの世界のルール。ネコの社会の面白さとともに、ネコ科動物のくらしを研究する筆者のがまん強さやまなざしを知ることができます。
『猫 かわいいネコには謎(なぞ)がある』
身近だけれど、謎(なぞ)にみちたネコのくらし。その一生や進化の歴史、人間の文化とのかかわりなど、さまざまな視点からネコの謎を明らかにしていきます。ネコについて、新しい発見が必ずあるはずです。
構成について
構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。「誰に、何を伝えたいか」
- ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
- 誰に……例)家族、友人、先生
- 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
- 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。
文章の構成
- 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
- 【はじめ】
- この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
- 【なか】
- 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
- 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
- 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
- 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
- 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
- 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
- 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
- 【おわり】
- 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。
2017年 その他の課題図書
随時追加していきます。
2017年 夏期講習
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