【生徒作品】文字のない絵本に物語をつけてみよう!

「【プロジェクト】物語を作ろう!」の作品紹介、第四弾です。前回までは、レッスンで書きことばを学び、黙読での読書習慣が身についた3・4年生の作品をご紹介してきました。
今回は、絵本を読み聞かせを楽しむプライマリークラスでの物語作りを紹介します。(プロジェクトのねらいについては「【プロジェクト】物語を作ろう!」をご覧ください)。

授業に打ち込むKさんの様子

授業に打ち込むKさんの様子

絵に物語をつける

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小学1年生のKさんはピーター・シスの描いた『オーシャンワールド』という文字のない絵本に物語をつけてくれました。
『オーシャンワールド』は、町の水族館にいた女の子のくじらが、広い海に帰り、ともだちを探す旅にでるという物語です。

今回の取り組みで大切なことは、絵本のテーマを理解し物語を作っていくという事です。そこで、まずは物語を書き始める前に、絵本を一度最後まで見てもらいテーマについて考えてもらいます。Kさんは「広い海で一人ぼっちの女の子のくじらが、ともだちをさがすお話」と、テーマをまとめてくれました。

それから、絵本を1ページずつ丁寧にゆっくりと見ながら、描かれている景色や、登場人物の表情など気付いたことを話してもらいます。その際さらに、「なぜ、涙をながしているの?」「夕日を見て、どんな気持ちかな?」というような心情を読みとるための問いかけをして、物語の理解を深めていきます。

本物の本を作るような楽しさを味わってもらえるよう、あえてノートには書かず、大きな付箋に一文ずつ書き込んで直接ページに貼り付けてもらいました。

最後にkさんは、ご家族に完成した物語の読み聞かせをしてくれたそうです。
皆様も、Kさんのつくった『オーシャンワールド』の物語を、どうぞお楽しみください。

作品紹介

『オーシャンワールド』
小1・Kさん

このくじらの名まえは、シャルルといいます。シャルルはどんどん大きくなっていきました。

シャルルは、とうとうふねでつるされて海にかえっていきました。
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シャルルは、赤と黒のふねにであいました。
そのふねをともだちだとおもって、しおをふきました。

海の色は、あかるい青です。シャルルは、ともだちをさがしています。

夜になりました。おほしさまと、お月さまが海にうつっています。

はれの日もあれば、雨の日もありました。
かみなりの日もあれば、きれいなゆうやけの日もありました。

シャルルは、きれいな夕日をみたけれど、
「ともだちがいなくてさびしいな。」と、いいました。

シャルルは、海の中をおよいでいます。すると、小さなともだちがいました。
でも、シャルルは、くじらのともだちがほしかったのです。

シャルルは、集まった小さなさかなたちを、くじらだとおもってしまいました。
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シャルルは、どんどんいくと、ひこうせんにあいました。
ひこうきは、くじらにそっくりでした。
シャルルは、くじらが空をとんでいるとおもって、
へんなきもちになりました。

シャルルは、せんすいかんとであいました。
シャルルは、せんすいかんに、「くじらですか?」とききました。
せんすいかんは、「ぼくは、せんすいかんだ」といいました。
シャルルは、そうなんだと、がっかりしました。

シャルルは、海のそこで、かいぞくのふねにであいました。
シャルルは、こんどこそくじらだとおもいましたが、
大きいマストがあったので、やっぱりふねなんだなとがっかりしました。

シャルルは、つかれたので、どこかやすめるところはないかとさがしました。
でも、どこにもありません。もっとさきにいってみると、くじらみたいなものがみえました。
そこへいってみると、小さなしまがありました。
そこで、やすもうとしましたが、小さくてやすめませんでした。もうげんかいです。
その時……

すごい風が、ピューピューとふいてきました。

ごみをはこんでいるふねがとおりかかって、うみがごみだらけになっていました。
シャルルは、ごみの外にでたいとおもいました。出口をさがそうとしました。
でも、ごみにかこまれて、出口がどこにあるのかわかりません。
シャルルは、いやなきもちになりました。
そして、いっしょうけんめい、おっぽでごみをはらいました。すると……

シャルルは、やっと、ごみからぬけだせました。
しかし、シャルルは、なみだがでてきました。
なぜなら、なん日かけてもくじらのともだちができなかったからです。
その時……
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オスのくじらがあらわれました。
そして、「こんにちは」と、こえをかけてきました。
シャルルは、あんしんして、すぐにともだちになりました。

オスのくじらとシャルルは、いつまでもいっしょにくらしました。

おわり

Kさんは、トミー・ウンゲラーやエルザ・ベスコフなど、質・量共に読み応えのある外国の作品の読み聞かせを毎週楽しみにしてくれています。長い物語でも、飽きることなくその世界に入り込んでいけるKさん、20ページにわたる『オーシャンワールド』の物語作りも、1ページずつ最後まで楽しそうに取り組んでくれました。

教室での頑張りをご家庭でも知っていただき、ご家族にたくさん褒めてもらうことで、子どもたちの学習への意欲がより一層高まっていきます。

今回は、作品を御覧頂いたKさんのお母様よりコメントを頂きました。

Kさんのお母様からのコメント

<物語の感想>
場面ごとの説明が、絵がなくても分かるくらい、簡潔によくまとめられています。シャルルになった気持ちで考えたようで、娘の性格がそのままストーリーになっているようでした。本のように仕上げて下さったおかげで、娘は絵本の完成までを理解できましたし、『娘の本』と思えるなんとも素敵な気持ちをいただきました。人に伝える方法を学んだようで、通知表で、担任の先生からお褒めの言葉をいただきました。

<読み聞かせエピソード>
先生が教えて下さった、場面(ページ)ごとの読み聞かせのポイントの付箋、例えば「リズムをつけて」、「声を大きく」、「さわやかに」等を活かしながら、こちらに絵を向けて紙芝居のように読んでくれました。自信があるのでしょうか、いつもより生き生きと、目を輝かせながら読んでくれました。

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子どもたちの励みになります。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 生徒作品

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