小学二年生のK・Kさんは、字のない絵本『オーシャンワールド』(ピーターシス)を読み、オリジナルの文をつけました。絵本全体から、物語の文脈を読み取り、クジラの女の子の気持ちによりそって書き上げました。
字のない絵本を使った物語づくりについての解説は、【生徒作品】文字のない絵本に物語をつけてみよう!をごらんください。
「オーシャンワールド」
小二 K・K
ある日、くじらのふっちゃんが、水ぞくかんにやってきました。オレンジいろで、ハートのもようのビニールプールに入るくらいの大きさでした。ビニールプールにはいったふっちゃんは、たのしそうです。
しばらくすると、大きいプールにうつりました。でもまだ、ほにゅうびんでミルクをのんでいます。やがて、エサのりょうもふえ、大きいプールよりも自分の方が大きくなってしまいました。
「せまくて、でたいよー」
そして、ふっちゃんは、うみにかえされることになりました。
「バイバイ」
と、ふっちゃんは、小さな声で言いました。かなしそうに、水ぞくかんのしいくいんさんも言いました。
しょうぼうていは、水をふんしゃして見おくりました。ふっちゃんもしおをふいておれいを言いました。
ふっちゃんは、きれいなうみにきたけれど、「ひとりぼっちでさみしいな」とおもいました。
やがて、よるになり、くらくなりました。お月さまは、出ていたけれど、ふっちゃんは、「くらいな、こわいな」と思いました。
にじがかかっている日もあれば、あらしの日もあるし、夕やけの日もありました。
ある日、赤くて小さなさかなにあいました。
「友だちになろう」
と、ふっちゃんは言いました。
「わたしじゃ、小さすぎるわよ」
と、赤い小さなさかなが言いました。
つぎに白いさかなのむれにあいました。
「友だちになろう」
と、またふっちゃんが言いました。
白いさかなのむれは、
「ほんとは小さいよ。ただむれになっているから大きくみえるだけだよ」
と言いました。
つぎの日、ひこうせんがとんでいました。ふっちゃんが、ひこうせんにむかって
「友だちになってー」
とさけびました。でも、ひこうせんは、なにも答えませんでした。
ふっちゃんが、うみのふかいところにもぐると、せんすいかんがいました。
「友だちになってくれる?」
と、またふっちゃんは言いました。せんすいかんは、もっとふかくへ行ってしまいました。
ついていってみると、かいぞくせんがありました。ふっちゃんが話しても、かいぞくせんは、ただだまっているだけです。
つぎに、ふっちゃんは青空の下をおよいでいました。「こんどは友だちになってくれるかな?」と思っておよいでいると、くじらみたいなしまがみえてきました。やしの木がしおみたいだったから、声をかけてみました。
「友だちになろう」
と、ふっちゃんが言いました。でも、へんじはありません。
くろいくもがたくさんでてきて、うみもまっくらになってしまいました。
「くらいな、こわいな」
と、ふっちゃんは、かなしそうに言いました。でも、ふっちゃんのしおはにじいろでした。
ごみをすてているふねのそばをおよいでいると、ふっちゃんは、カンやてつくずにかこまれてしまいました。
「友だちじゃなかった」と、ふっちゃんはなきながら言いました。
ふっちゃんがないていると、とおくにくじらのしっぽがみえました。ふっちゃんは、「友だちになってくれないよ」と思いました。なぜなら、ずっとだれも友だちになってくれなかったからです。でも、くじらは、ふっちゃんの方へやってきました。
ふっちゃんも水の中にもぐって「友だちになろう」といいました。
すると、「いいよ」と、やさしくへんじをしてくれました。
ハートのくもの下で、二ひきは、「いっしょにたびをしようね」と言いました。