【生徒作品】物語『やったーとりかえしたぜっ』(小3・Iさん)

やったーとりかえしたぜっ

「【プロジェクト】物語を作ろう!」の作品紹介、第二弾です。小学3年生のIさんは動物たちが大活躍する物語を書いてくれました(プロジェクトのねらいについては「【プロジェクト】物語を作ろう!」をご覧ください)。

「動物が活躍して、ドキドキハラハラする探偵のお話を書きたい!」

そんな思いからこのプロジェクトをスタートさせたIさん。どんな物語にしようかと話し合っているうちに、次々に面白いアイディアを思いつきました。

キャラクターは、登場する動物たちの性格や得意なこと、苦手なことを考えながら作りました。探偵の動物達はもちろん、敵役のどろぼうたちも、ついつい応援したくなってしまうような素敵キャラクターです。

ドキドキハラハラするような事件を書いている時のIさんは、まるで動物たちと一緒にいるような、生き生きとした表情を見せてくれていました。

そして、物語の書き出しや、場面の展開など、書くことに悩んだときには、お気に入りの『ぼくはめいたんてい』シリーズ(作・マージョリー・W・シャーマット)をお手本に、自分の力で書き進めることができました。

どろぼうが盗み出そうとした映画館の大切なものとはなにか!? 動物たちはどんな活躍を見せてくれるのか!? Iさんの力作をどうぞ、お楽しみ下さい。

Iさんの書いた原稿用紙

Iさんの書いた原稿用紙

やったーとりかえしたぜっ
小3・Iさん

                          

ぼくたちは、五ひきの動物です。映画館のとても大事な仕事をたのまれています。その仕事は、映画館を見守ることです。

今、どろぼうがきそうなけはいを感じている動物が三びきいます。その動物は、カンガルー、ウサギ、ネコです。カンガルーは、まほう使いだから、ちょっと遠い物でも見ることができます。ちょっと先の道に、どろぼうが二人見えました。ウサギは、遠くの音が聞こえるので、耳をすませていたら、どろぼうのような声の二人が話しているのが聞こえてきました。そのどろぼうたちは、こんな話しをしていました。

「おれ、映画見るのが大好き。映画を見るきかいがほしい。昔のアニメの映画、今、はやっているでしょ。それを家でも見られるようにしたい。おねがい。いいでしょ。」

と、ソンはいのるようにいいました。シツは、「それ良い考えだね。それがあると、家でみられるのもいいね。そのかわりにきかいは、一回見たらかしあいっこして、いっぱい見ようぜ。まちがえて友だちにみせてしまったら、映画館の人が友だちで、きかいが二台あるから『あげる』といってくれたんだ、といってごまかせばいいじゃん。」と、いいました。

さっそくソンは、まほうのふくろを取りに行きました。まほうのふくろの色は、水色で、赤むらさきと、ピンクと、やまぶき色の水玉もようがついています。大きさは、小さい女の子が入るぐらいです。家にはいろいろふくろがありますが、その中で一番大きくて、古くて、大切なので、そのふくろにしました。もようがちがうのもありましたが、それは、少しちいさかったのでやめました。もう一人のどろぼうにもえらんでもらいました。

「ぜったいこれにしてね。こっちもいいけど、少し小さいからやめた方がいいんじゃない。」

と、いっていました。そして、急いで映画館に行きました。どろぼうたちは、映画に間に合わないと話していました。でも、動物たちは、その話には、だまされませんでした。どろぼうが映画館に入って行くと、いろいろな人が一生けん命、映画をみていました。けれども、すぐ音に気が付く女の子が一番後ろの席にすわっていました。その子がお母さんに言いました。

「見てママー、どろぼうがきかいをふくろの中にいれているよー。」

そして、映画館の人に伝えました。でも、その前に動物たちは、気がついていました。本当は、どろぼうたちが映画館に入ろうとした時につかまえたかったけれど、どろぼうがはしるのが速すぎて、つかまえることができませんでした。

動物たちは、急いで映画館の中に入って行きました。とても急いでどろぼうをさがしました。さらに、どこにいるのかわからなかったので外にでました。

たて物の中をのぞくために、二階にある大きなまどの下に、イヌ、ウサギ、ネコ、ヘビ、カンガルーのじゅんばんで、下からつみかさなりました。ウサギは、耳をたてて、ネコはその上に乗りました。カンガルーは飛びました。

すると見えました。どろぼうは、今、有名な映画を映す、大きな大きなきかいをぬすんでいました。動物たちは、入り口へとんで行き、ろうかをどんどん走って行きました。映画を見る場所は、二階だったので、階段も上りました。また、どんどん走って行きました。やっとつきました。

ネコのコネと、ウサギのリクの二ひき同時に小さな声で、「ここからはぜったいに、しずかにしてね。しずかにしないと映画を見ている人に、しつれいだし、きかいをいれているどろぼう二人にバレちゃうから、ぜったいにしずかにしてね。」と、いったので、みんなはいっせいにしずかになりました。

みんなは、ドアノブにてがとどかなかったので、「いっせいのーせー」と、小さな声でいいました。しかし、みんなで力を合わせても、ドアは開きません。

みんなは、なるべく高くジャンプできるものと、一生けん命おすものを決めようということにしました。高くジャンプするのは、ジャンプの上手な動物にまかせて、他の動物たちは、一生けん命ドアをおしました。高くジャンプできるカンガルーは、ドアノブを下にさげました。そして、ネコとウサギがキックしました。ドアはやっと開きました。

動物全員は心の中で、「ぬき足、さし足、しのび足。」と、思いながら歩いて行きました。少し歩いたら、大きなまほうの袋をもったどろぼうが二人いました。まず、動物全員でどろぼうのソンの手をつかみました。どろぼうは、ものすごくあばれています。どろぼうのシツは、それを助けようとしました。けれど、怖がりで、できないと思ったことは、あきらめてしまうせいかくなので、家ににげ帰ってしまいました。

動物たちもつかれてしまったので、シツをつかまえるのをあきらめてしまいました。さらに、ソンもにがしてしまいました。しかたがないので、また、来た道をたどって帰りました。下までついたら、ソンをつかまえるさくせんを考えました。ネコが、

「見わたして、だれもいない野原をカンガルーがじゃりにしちゃえばいいんじゃない。」

と、いいました。それはいい考えと思っていたので、「いいよ」と、カンガルーは言いました。そして、じゅもんをとなえました。

「カーンカンカンカンカンカーンカンカンカンカン、わーたしはー、カーンーガールーのルーだよーん」と、いいました。

すると、映画館の前の野原が、ジャリになりました。その時、ソンがたて物の中から出てきそうになったので、みんなはジャリの中にかくれました。少しして、どろぼうが来ると、ジャリにつまずいて転んでしまいました。

そこへ、ネコがとびかかって、どろぼうをひっかいて、へびは、まきつきました。その間に、カンガルーとイヌとウサギは、どろぼうの手からまほうのふくろを取りました。どろぼうは、すぐににげていなくなり、動物たちは、きかいがぶじかかくにんしました。きかいは、ぶじでした。きかいは、映画館の人にかえして、どろぼうにとられないように、かぎをつけました。ふくろは、映画館の人にプレゼントしました。この事件は、ぶじにかいけつしました。  

おわり

あとがき

この物語は、どうでしたか? どろぼうが映画館の中に入ってきかいを取るなんて、お客さんがみることができなくなってこまりますよね。

この物語を書いている時にたいへんだったことは、物語の出来事を考えることでした。とくに、どんな動物がやくに立つかを考えるのが大へんでした。次に大へんだったことは、清書をする時に、字をまちがえないようにすることでした。

私が次に作品を書くとしたら、この話の第二かんを書きたいです。第二かんをおたのしみにー。

最後までお読みいただきありがとうございました。
Iちゃんのお気に入りの場面は、どろぼうたちが映写機を盗もう相談をしているところだそうです。
クラスで発表してもらった際には、そのセリフ回しの面白さと、Iちゃんの演技に大笑いでした。
教室では、読み書きを通した交流も重視しております。
また、子どもたちは作品を装丁して他の友だちにも読んでもらい、コメントをし合います。

子どもたちのコメント

  • この本の面白いところは、どろぼうの魔法のふくろを映画館の人にプレゼントしてしまうところです。表紙の動物たちに、どろぼうへの怒りマークがついているところもだよ。(Yさん・小3)
  • 映写機をどろぼうたちから無事に取り返せてよかったですね。動物たちは力を合わせて、ドアを開けたり、作戦を考えたり、とても仲良しですね。表紙の絵も、怒っているけれど、かわいい!(Rさん・小4)

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子どもたちの励みになります。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 生徒作品

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