リテラでは、生徒一人ひとりの興味・関心に基づいた学びの成果を、様々な方と分かち合う場として、年に一度、『生徒作品発表会』を開催しています。生徒たちは、発表会に向けた様々な準備を通して、実践的な発表の仕方を学んでいきます。
今回は、2019年3月に行われた「リテラ 生徒作品発表会」より、新小4 M・Hさん『自然へのあこがれ ~平和をつくる学びの大切さ~』を掲載致します。
数学や科学へのあこがれから、平和な世界を築くために大切なことを考えました。
作品について
講師からのコメント
本人の振り返り
- これはどのような作品ですか?
- 数学を分かち合う事ができれば争いが減り、平和になることを伝える作品です。
- どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
- 数学は、平和につながる事を伝えたかったからです。
- 作品づくりで楽しかったことは何ですか?
- 先生と、素数を考えている時が楽しかったです。
- 作品づくりで難しかったことは何ですか?
- 一生懸命考えた課題を、発表時間の問題で、削るなければならず、悩んだ時です。
- 作品作りを通して学んだことは何ですか?
- この世界の争いを、少しでも無くす方法を学べました。
- 次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
- これからも平和な世界を築くために役立つ、数学に関する研究を続けていきたいです。
- 来年、研究したいことはありますか?
- 素数です。なぜなら、今回、時間の関係で削らなければならなかったからです。
- この作品を読んでくれた人に一言
- 私の発表を聞いてくださり、ありがとうございました。今回、私が発表したのは、数学の法則のほんの一部です。これから、もっとたくさん調べていきたいと思います。皆さんも、調べてみて下さい。
生徒作品
新小4 M・Hさん 『自然へのあこがれ ~平和をつくる学びの大切さ~』
みなさんは、算数や数学は好きですか? 図形や、計算問題を苦手だと思う人はいませんか? なぜ、算数や数学を学ばなければならないのかと、疑問に思う人も、いるかもしれません。私も、小さい時計算問題に苦労しました。でも、今は、数や図形の勉強が、大好きです。なぜなら、数や図形は、自然の中から生まれたものだと、知ったからです。そして、自然の中にある「美」を見つけて、私たちに分け与えてくれた学者や研究者に、憧れています。
みなさんは、自然界の美の法則を見つけたイタリアの数学者、レオナルド・フィボナッチを、ごぞんじですか? フィボナッチが発見した、フィボナッチ数列は、「前の2つの数を加えると次の数になる」という数列です。花びらの枚数、植物の枝分かれ、まつぼっくりのまつかさ、ひまわりのたねの配列は、フィボナッチ数列で表すことができます。つまり、フィボナッチ数列は、生物が調和を保って成長するための、設計図のようなものです。そして、自然界のあらゆるものに、みることができます。自然界の設計図は、私たちの生活の中でも、美しく丈夫な物を作る時に、役立っています。古代ギリシャ時代に建設されたパルテノン神殿は、フィボナッチ数列を応用した黄金比で作られていて、美しさ、丈夫さを、かねそなえています。また、フィボナッチ数列に関連して、フラクタル図形というものがあります。フラクタルとは、「どの部分をとってみても自分にそうじな部分から成り立っている」という、形状のものです。海岸線のひび割れの形、じゅもくの枝分かれなどに見られる複雑な図形を、数学的に理論化したものです。このフラクタルは、実は、血管や腸の形、遺伝子情報のかいせきに、役立っています。法則がわかると少しの情報で、そのものの全体を、知ることができるのです。
そして、私も、これらの自然界の美の法則を使った作品作りに、挑戦しました。こちらは、「糸掛け曼荼羅」です。決まったかんかくで、32本のクギに糸をかけていくと、美しい図形が浮かび上がります。私は、糸掛け曼荼羅づくりで、数と形の面白さを学びました。もう一つは「トルコランプ作り」です。三角形・四角形・六角形などの単純な図形を組み合わせて、幾何学模様をつくりました。自然から学んだ法則が、「美」を与えてくれること、そして、数は美しいものだと知り、私はますます、数や図形が好きになり、人のために役立てていきたいと思いました。
しかし、疑問が浮かんできました。「数」は本当に、いいものなのでしょうか? 私たちの社会は、自然から学んだ「科学」や「数」の力で、どんどん豊かになっています。でも、「科学」や「数」が悪用されれば、争いがおきます。私は、人権や教育の大切さをうったえ、ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんや、ジャーナリストとしてテレビで人類のかかえる問題を報道している池上彰さんから、戦争が起こるのは世界に富める国と貧しい国があるからだと学びました。争いのもととなる「富」とは、何でしょうか? 物が十分にあること。そして、富める国とは、土地や、石油、天然ガスなどのエネルギー源、鉱物資源などがあることだそうです。そして、それらは、お金という「数」で、表すことができます。「数」が多ければ豊かであるというのは、本当でしょうか? そして、「数」で表せる豊かさを独り占めして、本当に幸せでしょうか? 私は、そうは思いません。私は、自然から学んだ数学や科学で作り出した「富」を、みんなで分かち合うことができれば、もっと平和で、豊かな世界になると思います。
そこで、どうすればよいのか、考えてみました。本当に大切なものは、「物」ではなく、「家族の愛」や、「他者を思いやる気持ち」「平和」「健康」だと、私は思います。そのことを世界中のみんなが知ることができれば、私たちは、目に見えるものも、見えないものも、分かち合うことができると思います。豊かな世の中をつくるのに、一番大切なことは、学び続けること。そして、学者や研究者がしてくれたように、学び、発見したことを、分かち合うことだと思います。
最後に、みなさんに、ギリシャの哲学者ソクラテスがとなえ、プラトンが受け継ぎ、書にしるした言葉を紹介します。それは、「真善美」という、人々にとって、いつの時代もかわらない価値である、3つのがいねんです。真とは、真理を学び続けて、人々の暮らしに役立てること。善とは、みんなが安心して暮らせるように、手を取り合うこと。そして、美とは、自然や芸術から感じる「憧れ」の心です。私は、プラトンの真善美を受け継ぎ、数学や科学、自然、社会、そして哲学など、あらゆることを学んでいきたいです。そして、すべてを平和な世界をつくるために役立てていきたいです。みなさんは、何を学びたいですか? そして、どう役立てていきたいですか? ぜひ、考えてみてください。
これで、私の発表を終わります。最後まで聞いてくださり、ありがとうございました。