【授業報告】絵で理解する四字熟語 (高2・T君)

carta

特別支援高校に通うT君は、絵が大好きです。驚くほどスピードのある筆づかいで、個性的な絵を瞬く間に描き上げてしまいます。
そんなT君も、四字熟語は苦手です。ことばと意味が、なかなかつながりません。特に熟語は抽象的な概念を含みますので、なかなか理解しにくいものです。
そこで、T君が得意な絵を利用して四字熟語のイメージをとらえ、ゲームをしながら意味を確認し、その反復の中で記憶に定着させていくための「四字熟語カルタ」を作ることにしました。

目標は、100の四字熟語をカルタにすることです。T君は、毎週、家で5枚ずつカルタを描いてきてくれました。T君の粘り強い取り組みと、絵を描く楽しさに支えられ、ついに100枚の四字熟語カルタが完成しました。

今回は、その中から10枚ご紹介致します。

作品紹介

seikoudoku

晴耕雨読

田んぼに差しこむ光と舞い飛ぶツバメ、縁側に腰掛けスイカを食べる人。「晴れたら耕し、雨なら本を読む」という晴耕雨読ののどかなイメージがこめられています。

senkyakubanrai

千客万来

お寿司屋さんにお客さんが詰めかけ、板前さんが嬉しそうにたくさんのお寿司をばらまいています。多くのお客さんがひっきりなしに訪れる、何とも賑やかな風景です。

zengohukaku

前後不覚

酔っ払ったサラリーマンが、飲み屋街を上機嫌でふらついています。ネクタイ鉢巻や手土産といった酔っぱらいを表すアイコンは、T君がマンガやドラマで培ったものなのでしょう。

ichizitsusensyu

一日千秋

窓際で腕を組み、じっと何かを物思う人物。とても静かな絵です。一日が千年にも感じられるという意味を、詩的な絵で表現しました。

issinhuran

一心不乱

きりっとした表情で課題に取り組んでいる生徒の絵です。頭の上には「集中、集中」と書かれています。絵を描いている時のT君は、まさにこの絵の人物のようです。

issinittai

一進一退

格闘ゲームのシーンでしょうか。剣の使い手とカンフーの使い手が、体力を削り合い、まさに一進一退の闘いを繰り広げています。

jiboujiki

自暴自棄

太った男の人が、大きな口を開けて巨大なハンバーガーを食べています。画像が小さくてわかりにくいのですが、奥には、逃げていくガールフレンドがいます。T君いわく、それで「自暴自棄」になったとのことです。

kidoairaku

喜怒哀楽

人の感情を仮面で表現しました。「喜」と「楽」の微妙な表情の違い、見ているとかわいそうになるような「哀」の表情など、どれもことばにならない豊かな感情が込められています。

kuuzenzetsugo

空前絶後

ひょっとこの仮面が、口から水を噴き上げながら川を下っていくのを、川岸の人々が見ています。まさに、後にも先にも起こりえないような、「空前絶後」の光景です。

rounyakunyannyo

老若男女

バイオリンを弾く男性や、入れ歯の老人など、様々な年格好の人物が描かれています。どれも、どことなくユーモアをたたえた姿です。

豊かに広がるイメージ

自分の気持ちを表現するのはあまり得意ではないT君ですが、胸の中には、豊かなイメージの世界が広がっています。人の能力や認識をはかる尺度はひと通りではありません。自分の得意なことや興味のあることを積極的に活かせば、よりよい学習につなげることができます。

もちろん、カルタを作っただけで終わりではありません。これから、何度もゲームを繰り返し、自分のイメージとことばを結びつけていきます。

最近、ミステリアスな雰囲気に惹きつけられ、『怪人二十面相』シリーズにはまったT君。オリジナル「怪人二十面相」物語を作り始めました。こちらも、完成が楽しみです。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 授業報告

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