本のおもしろさは一人ひとりの心の中で感じるものです。
「本を楽しもう」と声をかけても、お子様にそのつもりがなければ、効果はありません。
ましてや、無理に押しつけるのは逆効果。
それでは、自然に読書を楽しんでもらうためには、どうすればよいのでしょうか。
読書は環境から
読書は習慣であり、ライフスタイルです。
読書を考えることは、ご家族の時間の過ごし方、すなわちライフスタイルを考えることです。
読書を、教育のためのもの、子どもがするものと切り離さず、ご家族全体で考え、そのモデルを示すことが大切です。
今回は、次の3つのポイントをご紹介します。
- 本を読んでほしいのなら、まずは自分から
- 読書時間を決める
- 図書館を利用する
1. 本を読んでほしいのなら、まずは自分から
家族が誰も本を読んでいないのに、自分だけが読書をしろと言われたら、どう思うでしょう。
誰も本を読んでいないのに、自分だけが本を読まされるのは、バカらしい。
そう思ってしまうのも、無理はありません。
本の楽しさを伝えたいのなら、まずは自分が楽しむことが大切。
ご両親が本を楽しむ姿に勝る説得はありません。
大切なことは、20~30分程度、静かでゆっくりとした「本を読む」時間と空間を作ること。
まずその雰囲気が大切です。
もし本を読む時間がない場合は、その忙しさがお子様を巻き込んでいないか考えてみるのもよいでしょう。
2. 読書時間を決める
時間を決めて生活をしている子は、学習の到達度が高い傾向があります。
逆に、いくら読書時間が長くても、時間を決めずに気が向いた時に読むスタイルの子は、読書が学習に反映されていないことが多いようです。
するべき時にするべきことを意識して実行する習慣は、読書に限らず大切です。
読書時間は、細切れにならないよう注意してください。細切れになると、内容に没入することが難しくなります。20~30分程度は確保しましょう。
また、テレビは消しましょう。音が聞こえる環境では、読書に集中するのは難しくなります。
お子様だけに読ませるのではなく、ぜひ一緒に本を楽しんでください。
本よりも、まず、その場の雰囲気になじみ親しめるようにすることが大切です。
共に本を読んで過ごす人がいるということは、幸せなことです。
3. 図書館を利用する
本にはそれぞれ、心から楽しめる時期というものがあります。
しかし、適切な時期に、適切な本に出会うのは難しいものです。
せっかく読書習慣がついてきたのに、次にどの本を読めばよいのかわからず、いつの間にか読書をしなくなってしまうこともあります。
読書生活には、次の読書を示してくれる人、すなわち「ガイド」が必要です。
そうした人が身近にいない場合は、積極的に、図書館を利用しましょう。
図書館では、スタッフがさまざまな手法で本をディスプレイしています。
児童コーナーでは、次に読む本について相談に乗ってくれるでしょう。
もしそうしたスタッフがいない場合は、棚に並んでいる同じ作者の本や、同じ出版社の本を探してみましょう。
ただ、図書館を利用している子は少ないものです。
図書館を利用する習慣がない場合、まずは保護者のみなさんから、地域の図書館を積極的に利用しましょう。
決して焦らずに
読書を楽しんでもらうためには、まずはご自分が楽しまなければなりません。
子どもは大人の行動を真似るもの。
お子様の読書を考えることは、ご自分の読書と生活を考えることに繋がります。
そして、それは劇的に変わるものではありません。
日々の積み重ねが少しずつ「習慣」となり、生活の「スタイル」となります。
すぐに変化がなくても、焦らずに。
まずは本を楽しみましょう。
次回から、学年に応じた読書について、具体的に見ていきます。
まずは、幼稚園から小学校一年生までの読書についてです(幼稚園から小1の読書(読み聞かせ))。
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