2025年読書感想文課題図書『ともだち』リテラの先生の読書感想文

【講師コラム】大人も書いてみよう、読書感想文

こんにちは、リテラ「考える」国語の教室の講師、黒木里美です。

2025年青少年読書感想文コンクールの課題図書『ともだち』(リンダ・サラ作)を読んで、わたし自身が感想文を書いてみました。

本を読んだときに湧き上がってきた思いを形にしたくて書いたものです。 これは決して子どもたちの「見本」になるようなものではありません。

むしろ、一人の大人として本と向き合い、自分自身の経験と重ね合わせて書いた素直な感想です。 でも、この感想文を読んでくださった方々が、「読書感想文ってこんな風に書いてもいいんだ」と感じていただけたら嬉しいです。大人の本音の感想が、子どもたちが自分の言葉で書くためのヒントになれば、という願いを込めています。

ぜひ、保護者の皆さん、読書感想文を指導される先生方も、一度子どもたちと同じ本を読んで感想文を書いてみませんか?子どもたちと一緒に「書く」体験をすることで、新たな発見があるかもしれません。 それでは、わたしの読書感想文をご覧ください。

「一人の友達から、分かち合う心へ ― 「ともだち」を読んで」

小学生になったばかりの頃、私は不安でいっぱいでした。幼稚園からの仲良しは別のクラスになってしまい、知っている子がほとんどいませんでした。友達ができるかなとドキドキしながら学校に通っていました。

そんな時、水疱瘡になって長い間学校を休むことになりました。布団の中で一人泣きながら、みんな私のこと忘れちゃうかもと思っていました。「ともだち」の絵本の中で、エトとシューが仲良くしているのを見て寂しくなる主人公のような気持ちでした。

ある日、担任の先生がお見舞いに来てくれました。年配の女性の先生で、とても優しい人でした。手には、クラスのみんなからのお見舞いの手紙がありました。まだ顔と名前も覚えられていない子もいたのに、みんなが私のために手紙を書いてくれたのです。先生がクラスの時間を使って、みんなに手紙を書く時間を作ってくれたのだと思います。

うれしくて、私もお礼の手紙を書いて、同級生に持って行ってもらいました。連絡帳を見ると、先生が私の手紙を朝の会で読んでくれたと書いてありました。早く学校に行きたいなと思いました。

学校に戻った日、校門で先生に会って「おはようございます」と言うと、先生は私を抱きしめてくれました。私が抱きしめてもらっているのを見たクラスメイトも先生に抱き着いて、先生もみんなを抱きしめてくれました。先生は笑顔で、みんなも笑顔で、先生のことも、クラスのこともみんなのことが好きになりました。最初はひとりでもいいから仲のいい友達がほしいなと思っていたのに、気がつくとクラスみんなが友達になっていました。

「ともだち」の中で、主人公は最初、エトとの二人だけの関係を大事にしていました。それが新しい子のシューが来て、気持ちが複雑になります。私も同じで、特別な友達を一人だけほしいと思っていました。でも、絵本の主人公が最後に三人で大きな段ボールの車を作るように、私も「一人の特別な友達」という考えから、クラスみんなとのつながりを感じるようになりました。それは、あの優しい先生が私たちをつないでくれたからだと思います。

友達って何だろう。最初は「一番仲良しの人」という狭い考えだった私の「友達」という言葉の意味は、あの経験で広がりました。「ともだち」の絵本は、友情は独り占めするものではなく、分け合うことで広がって、もっといいものになることを教えてくれました。

絵本の中で、三人が力を合わせて作った大きな段ボールの車は、私にとってはクラスみんなで作る「学級」のようなものでした。先生はその箱をしっかり支えてくれる存在でした。一人一人は違う個性があっても、みんなで一つのものを作る楽しさを知りました。

友情は形を変えて、広がっていくもの。「ともだち」という絵本は、その中で感じる不安や寂しさ、そして受け入れることで生まれる新しい喜びを、子どもの目線で描いています。

小学生だった私が経験した「ひとりぼっちからみんなの友達へ」という変化は、今でも私の人間関係の基になっています。その変化を支えてくれたのは、あの優しい担任の先生でした。新しい出会いがあっても、心を開く勇気。人と人とのつながりのあたたかさ。そのつながりを作るきっかけをくれる人の大切さ。この絵本を読んで、そんなことを思い出しました。

読書感想文を書こう!

対話をベースに、世界で一つの読書感想文を書き上げましょう!

書き上げるのが大変な読書感想文。でも、読書とは本来、楽しいもの。読書感想文を素敵な学びの機会に変えてみませんか?

対象学年:小学生・中学生・高校生

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この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 教育コラム

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