2025年読書感想文課題図書『たった2℃で…:地球の気温がもたらす環境災害』リテラの先生の読書感想文

【講師コラム】大人も書いてみよう、読書感想文

こんにちは、リテラ「考える」国語の教室の講師、黒木里美です。

2025年青少年読書感想文コンクールの課題図書『たった2℃で…:地球の気温がもたらす環境災害』(キム・ファン)を読んで、わたし自身が感想文を書いてみました。

本を読んだときに湧き上がってきた思いを形にしたくて書いたものです。 これは決して子どもたちの「見本」になるようなものではありません。

むしろ、一人の大人として本と向き合い、自分自身の経験と重ね合わせて書いた素直な感想です。 でも、この感想文を読んでくださった方々が、「読書感想文ってこんな風に書いてもいいんだ」と感じていただけたら嬉しいです。大人の本音の感想が、子どもたちが自分の言葉で書くためのヒントになれば、という願いを込めています。

ぜひ、保護者の皆さん、読書感想文を指導される先生方も、一度子どもたちと同じ本を読んで感想文を書いてみませんか?子どもたちと一緒に「書く」体験をすることで、新たな発見があるかもしれません。 それでは、わたしの読書感想文をご覧ください。

小さな習慣が育む未来への希望

「たった2℃の違い」—この数字がどれほど大きな意味を持つのか、私はこの本を手に取るまで本当の意味では理解していなかったと思います。

子どもの頃、「エコロジー」や「エコ」という言葉が流行し始め、学校でも環境問題が話題になっていました。牛乳パックの回収ボックスが教室に置かれ、使用済みの紙をみんなで集める活動。家では「もったいない」という言葉とともに、電気をこまめに消すよう親から言われていました。

特に印象に残っているのは、小学5年生の夏休みに「レジ袋を減らそう」というテーマで自由研究をしたことです。家にあった色とりどりの端切れを集めて縫い合わせ、初めてのエコバッグを手作りしました。不器用な私の作品は縫い目がところどころ歪で、母に「これで本当に買い物に行くの?」と笑われましたが、その後も家族で買い物に行くときには必ず持参しました。

授業で地球温暖化や自然の破壊について教わり、「このままでは地球がなくなる」「自然が壊され、多くの命が絶える」という危機感を持っていました。そして、その原因が私たち人間にあることも、幼い心に刻まれていました。

チョン・ジンギョンさんの繊細な絵で描かれる、気温上昇によって変わりゆく地球の姿は、私の中に眠っていた子ども時代の切実な気持ちを再び呼び覚ましました。特に印象的だったのは、私たちの体温が2℃上がれば危険な状態になるという身近な例えから、地球全体の問題へと視点を広げていく構成です。体験と結びつけて考えることで、「たった2℃」の持つ意味の重さを感覚的に理解できる工夫に感銘を受けました。

大人になった今、私の日常はどうでしょうか。毎日の忙しさの中で、ゴミの分別や水の節約、電気をこまめに消すといった行動は、すっかり「習慣」になっています。子どもの頃に感じていた切実さは薄れ、代わりに「これが正しいこと」という漠然とした思いだけが残っているように感じます。

しかし、この本を読んで気づいたのは、そうした小さな習慣の積み重ねこそが、未来を守る確かな一歩だということです。キム・ファンさんの分かりやすい解説を通して、地球温暖化の仕組みと私たちの生活とのつながりを再認識し、これまで当たり前のように続けてきた環境への配慮が決して無駄ではなかったと感じました。

本書の中で特に心に残ったのは、科学的な事実と未来への希望のバランスです。眞鍋淑郎さんの気候モデルという科学的な根拠に基づきながらも、「私たちにはまだ時間がある」というメッセージが込められていることに、大きな救いを感じました。

地球規模の問題を前に無力感を抱くこともありますが、この本は私に気づかせてくれました。大切なのは、大きな変革を一度に成し遂げることではなく、一人ひとりが日々の生活の中で「たった2℃」を意識した選択を続けることなのだと。

私は今、この本を通して蘇った環境への思いを大切にしながら、子どもたちに伝えていきたいと思います。世界は広く、たくさんの命が共に暮らしていること。そして、未来は私たち自身の小さな選択の積み重ねによって形作られるという希望を。

「たった2℃」という小さな数字が持つ大きな意味を知ることで、私の日常の「習慣」は再び「使命」へと変わりました。そして、次の世代へとこの思いをつないでいくことが、今の私にできる最も大切な環境活動なのかもしれません。

読書感想文を書こう!

対話をベースに、世界で一つの読書感想文を書き上げましょう!

書き上げるのが大変な読書感想文。でも、読書とは本来、楽しいもの。読書感想文を素敵な学びの機会に変えてみませんか?

対象学年:小学生・中学生・高校生

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この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 教育コラム

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