
こんな子におすすめ!
- お友達との関係で悩んでいる子
- 新しい友達ができた時に戸惑いを感じる子
- グループ遊びの中で自分の居場所を探している子
- 想像力豊かな遊びが好きな子
- 感情表現が苦手な子
本の紹介
エトとぼくは大の仲良し。特に、段ボールを丘の上にひっぱっていって箱の中で遊ぶのが最高におもしろい。王様になったり、空を飛んだり、海賊になって荒れくるう海をつきすすんだり。ところがある日、知らない男の子がやってきた。その子の名前はシュー。「なかまに いれてくれる?」と言われた時、ぼくの気持ちはモヤモヤと複雑に。友情の形が変わることへの戸惑いと、新しい関係への一歩を描いた心温まる絵本です。
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本の解説
『ともだち』は、友情関係の変化と新しい仲間を受け入れるまでの気持ちを丁寧に描いた絵本です。主人公とエトの二人だけの関係から、シューという新しい友達が加わることで生まれる感情の揺れ動きを、子どもの目線で表現しています。
子どもたちは「仲良し」という関係性にとても敏感です。特に親しい友達との関係が変わることへの不安や戸惑いは、大人も共感できる普遍的なテーマです。本作では、「仲間はずれ」という感情を抱いた主人公が、どのように新しい関係性を築いていくかが描かれています。
段ボール箱を使った創造的な遊びを通して、子どもたちが自然と心を通わせていく様子は、見ていて温かい気持ちになります。特に、最後に3人で作った「巨大な段ボールの車」は、新しい友情の象徴として印象的です。
作者のリンダ・サラと絵を担当したベンジー・デイヴィスは、子どもの感情を繊細に捉え、美しい絵でそれを表現することに成功しています。ページをめくるたびに、子どもたちの表情や体の動きからも感情が伝わってきます。
読書感想文のヒント
読む前に考えてみよう
- 友達と遊んでいて、新しい子が「いれて」と言ってきたとき、どんな気持ちになりますか?
- あなたが大切にしている友達がいますか?どんなところが好きですか?
- 友達と一緒に遊ぶとき、何が一番楽しいですか?
考えを深めるための質問
- 主人公はエトとシューが仲良くなって、どんな気持ちになりましたか?それはなぜですか?
- エトとシューが主人公を誘いに来たとき、どうして主人公の気持ちは変わったのでしょう? もし主人公の立場だったら、あなたならどうしますか?
- 3人で遊ぶことと2人で遊ぶことは、どう違うと思いますか?
- それぞれの箱から、箱をつなげて大きな車やロボットをつくるところは、何を表現していると思いますか?
- エトが「いいよ」といってシューを仲間に入れた時、ハヤブサが雲を引き裂いて、雲が厚くなって、雨が降りだしました。その時のぼくの気持ちはどんな気持ちだったでしょう?
- 段ボールをこわして、自分の家に閉じこもるぼくを見てどう思いましたか?
- ぼくがエトと二人で遊んでいた頃を懐かしむように、「昔はよかったな」と思うことはありますか?それはどんな時ですか?
考えてほしいテーマ
- 友情
- 嫉妬
- 受け入れること
- 分かち合うこと
- 想像力と遊び
理解を深めるために
友情の発達と変化

友情は子どもの成長にとって大切な要素です。1対1の関係から、グループでの関係へと発展していくことは、社会性を身につける上で重要な経験となります。
幼児期から児童期にかけて、友情関係は大きく変化します。最初は「一緒に遊ぶ人」という単純な関係から、互いの気持ちを理解し、時には衝突しながらも関係を修復していく深い関係へと発展していきます。本書の主人公も、エトとシューが仲良くなることで感じた「仲間はずれ」という感情を経験し、それを乗り越えて3人の新しい関係を築いていきます。
創造的な遊びと想像力

子どもは遊びを通して多くのことを学びます。本書の中で描かれる「段ボール遊び」は、子どもの想像力を育む遊びの典型です。限られた道具でも、想像力があれば様々な世界を作り出すことができるのです。特に、最後に3人で作った「大きな段ボールの車」は、個々の力を合わせることで生まれる創造性を象徴しています。
感情表現と調整

また、感情をうまく表現できない子どもも多くいます。本書は、主人公の複雑な感情を、「雨が降り出す」という自然現象や、「段ボールを壊して家に閉じこもる」という行動を通して表現しています。子どもたちはこのように、時に言葉ではなく行動や表情で感情を表します。そして、感情を適切に表現し、調整する力は、友情関係を維持するために必要なスキルなのです。
社会的・情緒的発達

子どもの発達心理学の観点から見ると、本書で描かれる「嫉妬」や「受容」といった感情体験は、子どもの社会的・情緒的発達において重要なステップです。新しい友達を受け入れる過程で感じる葛藤を乗り越えることで、より柔軟な人間関係を築く力が育まれていきます。
合わせて読みたい

『ともだち』 谷川俊太郎 作、和田誠 絵、玉川大学出版部
あらすじ: 「ともだちって かぜがうつっても へいきだって いってくれるひと」「ともだちって いっしょに かえりたくなるひと」など、友達とはどんな存在かを優しい言葉と温かい絵で表現した絵本です。たった数行の短い詩が絵とともに語りかけ、友達の大切さを教えてくれます。
おすすめの理由: この本は友情の本質を、シンプルでありながら深い言葉で表現しています。『ともだち』は『ともだち』とは何かを直接的に問いかけることで、本書『ともだち』の主人公が感じる複雑な感情と向き合う助けになります。子どもが自分と友達との関係を考えるきっかけになる、心温まる作品です。

『ともだちや』 内田麟太郎 作、降矢なな 絵、偕成社
あらすじ: 寂しがりやのキツネが「ともだちや」という商売を思いつきます。1時間100円で友達になるというサービスを始めたキツネは、ある日オオカミと出会います。一緒にトランプで遊んだ後、キツネがお金を請求するとオオカミは驚き、「ともだちから かねを とるのか」と問いかけます。本当の友達とは何かを考えさせる物語です。
おすすめの理由: 友情をお金で買えるのかという問いかけが、子どもたちに友達の本当の価値を考えさせてくれます。『ともだち』同様、友情の形が変わることへの戸惑いや新しい関係の作り方が描かれており、『ともだち』のテーマと響き合うところがあります。子どもたちが友達との関係に悩んだときに、共感と希望を与えてくれる絵本です。
構成について
構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。「誰に、何を伝えたいか」
- ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
- 誰に……例)家族、友人、先生
- 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
- 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。
文章の構成
- 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
- 【はじめ】
- この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
- 【なか】
- 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
- 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
- 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
- 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
- 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
- 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
- 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
- 【おわり】
- 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。
2025年 読書感想文課題図書のページ
随時更新していきます。
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[…] 【2025年読書感想文特集】『ともだち』リンダ・サラ 作 ベンジー・デイヴィス 絵 しらい すみこ 訳(小学校低学年向け課題図書) […]