【2025年読書感想文特集】『たった2℃で…:地球の気温がもたらす環境災害』キム・ファン 文 チョン・ジンギョン 絵 (小学校中学年向け課題図書)

こんな子におすすめ!

  • 環境問題に興味を持ち始めた子
  • 「なぜ?」「どうして?」と科学的な疑問を持つことが好きな子
  • 地球や生き物を大切にしたいと思っている子
  • 身近な数字が持つ意味について考えてみたい子
  • 未来について想像力を働かせるのが好きな子

本の紹介

「たった2℃」という私たちの日常ではほとんど気にならない温度の変化が、地球全体ではどれほど大きな影響をもたらすのか—。この絵本は、2021年のノーベル物理学賞を受賞した眞鍋淑郎さんの「気候モデル」をもとに、地球温暖化がもたらす具体的な影響を、美しいイラストとわかりやすい解説で伝えています。子どもたちが直感的に理解できる構成で、環境問題について考えるきっかけを与えてくれる一冊です。

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本の解説

科学と芸術が融合した美しい環境絵本

この絵本の最大の特徴は、複雑な科学的概念を子どもたちにも理解できるよう、視覚的に表現している点です。チョン・ジンギョンさんの繊細なイラストは、地球温暖化の影響を感情に訴える形で伝えています。

特に印象的なのは、「体温が2℃上がったら体は危険」という身近な例えから始まり、それを地球規模の問題へと広げていく構成です。子どもたちが自分自身の体験と結びつけて考えられるよう工夫されています。

また、科学的な正確さと子どもへの伝わりやすさのバランスが絶妙です。キム・ファンさんは複雑な気候変動のメカニズムを、子どもたちの目線で理解できるように説明しています。

心に残るメッセージ

本書は単なる環境問題の解説書ではありません。読者に「たった2℃の上昇」が意味するものを深く考えさせ、身近な自然環境や生き物たちとの関わりを見つめ直すきっかけを与えてくれます。

特に、地球温暖化が私たちの大切なものを奪っていくかもしれないという不安と、それでも行動することで未来を変えられるという希望のメッセージが、バランスよく描かれています。

読書感想文のヒント

読む前に考えてみよう

  • あなたにとって「2℃の違い」とはどんなものですか?
  • お風呂の温度が2℃変わったら?気温が2℃上がったら?
  • 自分の住んでいる地域の自然や生き物で、大切に思うものはありますか?
  • 地球温暖化について、これまでに知っていることは何ですか?

考えを深めるための質問

  • 本書を読んで最も驚いたことは何ですか?
  • 地球の気温が2℃上昇すると、あなたの身近な環境にどのような変化が起こるかもしれませんか?
  • もし、あなたが大切にしている自然や生き物が気候変動の影響を受けたら、どんな気持ちになりますか?
  • 本書に出てくる科学者たちは、どのようにして地球温暖化の影響を調べていますか?
  • この本から学んだことを、どのように自分の生活に活かせそうですか?

考えてほしいテーマ

  • 相互依存性 – 地球上のさまざまな環境や生態系がどのようにつながっているか
  • 責任 – 現在の環境問題と未来世代への責任
  • 数字の意味 – 小さな数字(2℃)が持つ大きな意味
  • 科学的思考 – 観察と予測に基づいて未来を考える方法
  • 希望と行動 – 問題を知ることと、解決に向けて動くこと

理解を深めるために

気候変動に関する科学的な基礎知識を少し補足しておきましょう。

地球の平均気温は過去100年間で約1℃上昇しました。これは主に人間の活動による二酸化炭素などの温室効果ガスの増加が原因とされています。

2015年に採択されたパリ協定では、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をするという目標が設定されました。この「2℃目標」は、それを超えると取り返しのつかない環境変化が起こる「ティッピングポイント」と考えられているためです。

合わせて知りたい

  • 温室効果ガスとは何か、どのようにして地球を温めるのか
  • 眞鍋淑郎博士の気候モデルとは何か
  • 世界各国の二酸化炭素排出量の現状
  • 私たちの日常生活と二酸化炭素排出の関係

地球温暖化について学べる信頼できる施設・ウェブサイト

施設

  • 日本科学未来館(東京・お台場)
    地球環境に関する展示や科学コミュニケーターによる解説を通して、地球温暖化のメカニズムや対策について学ぶことができます。
    https://www.miraikan.jst.go.jp/
  • 国立環境研究所(茨城県つくば市)
    事前予約制の見学ツアーで、地球温暖化研究棟などの研究施設を見学できます。
    https://www.nies.go.jp/sisetu/kengaku/

おすすめ公的機関のウェブサイト

  • 環境省 こども環境省
    子ども向けに環境問題をわかりやすく解説したサイト。「こども環境白書」も閲覧できます。
    https://www.env.go.jp/kids/
  • 全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)
    環境省が指定する地球温暖化防止活動の全国センター。わかりやすい解説や教材が充実。
    https://www.jccca.org/

学習教材・動画

気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)動画ライブラリ
気候変動に関する学習をサポートする公式動画集。
https://adaptation-platform.nies.go.jp/archive/movie/index.html

読書感想文のヒント

科学絵本の感想文を書くときのポイント

お子さんが科学絵本の感想文を書くときに役立つ、シンプルなポイントをまとめました。

自分の言葉で書こう
本の言葉をそのまま写すのではなく、自分の言葉で伝えることが大切です。

「わかったこと」と「感じたこと」を両方書こう
科学的な事実と、読んで感じた気持ちの両方を書くと、バランスの良い感想文になります。

絵や写真で印象に残ったものを書こう
「〇〇の絵を見て驚いた」「△△の図でよく分かった」など、視覚的に印象に残った部分を伝えましょう。

「へぇ~!」と思ったことを大切に
初めて知ったことや驚いたことを素直に書くと、読んだ人に伝わりやすくなります。

身近なものに例えてみよう
難しい内容も「〇〇みたいだな」と身近なものに例えると、理解が深まります。

⑥「もっと知りたい」という気持ちも書こう
本を読んで湧いた疑問や、もっと調べたくなったことを書くのもおすすめです。

「自分にできること」を考えよう
特に環境問題の本なら、自分たちにできる小さなことを考えてみましょう。

本の良かったところを伝えよう
説明の仕方や写真の使い方など、わかりやすかった工夫を見つけて書きましょう。

素直な気持ちを書こう
不安な気持ちや希望、楽しさなど、本当に感じた気持ちを正直に書きましょう。

自分の経験とつなげよう
本の内容と自分の生活や経験をつなげると、オリジナルの感想文になります。

構成について

構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。

「誰に、何を伝えたいか」

  • ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
    • 誰に……例)家族、友人、先生
    • 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
  • 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。

文章の構成

  • 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
  • 【はじめ】
    • この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
  • 【なか】
    • 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
    • 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
      • 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
      • 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
      • 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
      • 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
    • 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
  • 【おわり】
    • 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。
読書感想文の書き方・文例について、より詳しくは「テーマを考えてから書こう! ~読書感想文のコツ」をご覧ください。

2025年 読書感想文課題図書のページ

随時更新していきます。

読書感想文を書こう!

対話をベースに、世界で一つの読書感想文を書き上げましょう!

書き上げるのが大変な読書感想文。でも、読書とは本来、楽しいもの。読書感想文を素敵な学びの機会に変えてみませんか?

対象学年:小学生・中学生・高校生

対面授業 >
オンライン授業 >

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 読書感想文, ブックレビュー

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