国語が好きではないという子どもたちの多くが、学校のテストをはじめとした読解問題に、苦手意識を持っています。今回は、日々の学習だけでなく、受験にも必要不可欠な「読解問題」について、考えていきます。
ご家庭の指導の際の参考にしていただければと思います。
本文を読み解く – 「つながり」と「まとまり」
読解問題の題材となる文章のジャンルとしては、物語文と説明文がよく見られます。いずれも、本文を読む際、ぜひ意識していただきたいポイントがあります。
それは、「つながり」と、「まとまり」です。
「つながり」を読み取る
物語文では「できごとと感情」を、説明文では「論理」を意識し、線としてつなげることが大切です。
物語文:できごとと感情のつながり
物語文では、できごとと感情が、たがいに影響し合いながら展開していきます。できごとは人物の気持ちと行動を変化させますし、人物はできごとに働きかけます。
感情の表現には、次のようなタイプがあります。わかりやすいものもあれば、かすかなものもありますが、読み落とすことなく拾い上げ、つなげていくことが大切です。
- 感情や思考を直接表現したもの
- こみ上げてきたイメージを表したもの
- 他のものに例えて表現したもの
- 行動やセリフで表したもの
- 風景に重ねて表現されたもの
説明文:論理のつながり
説明文には、説明したいことや、主張したいことがあります。筆者の思考は、論理のつながりで表現されます。文章の中で使われる接続詞は、つながりの流れを変える働きがあります。
- 流れのまま発展させる接続:「したがって、」「このため、」「また、」など
- 流れを変える接続:「しかし、」「だが、」など
- 違う流れに移る接続:「一方、」「ところで、」など
こうした言葉に注意しながら、筆者の思考をつなげていきましょう。
「まとまり」を読み取る
物語文では「変化」を、説明文では「具体例と意味づけ」を、ひとつの「まとまり」として意識することも大切です。
物語文:変化をとらえるためのまとまり
多くの物語文では、登場人物の変化や成長が描かれます。それを通して、全体のテーマが浮かび上がってきます。
こうした変化をとらえるには、次のようなまとまりを意識するとよいでしょう。
- 最初の状態:登場人物の最初の状態です。特に、内面の状態がどうであったかが大切です。
- できごと:登場人物の内面が、できごと中でどのように変化していくかに気をつけて読み進めます。
- クライマックス:できごとの中でも、内面の葛藤が高まり、それが解決する場面を、「クライマックス」と呼びます。
- 最後の状態:できごとのおわり、最初の状態がどのように変化しているか・なぜそのように変化したのかを考えてみましょう。
説明文:論理をとらえるためのまとまり
多くの説明文では、よりわかりやすく伝えるため、具体例と意味づけが交互に並びます。具体例と意味づけの対応を、まとまりとして意識することで、論理の展開を追いやすくなります。
段落の構成がしっかりしている文章の場合は、段落の最初の一文と最後の一文を重点的に読むと、論理的なまとまりが見えやすくなるでしょう。
さいごに
ここまで、本文を読む際の意識についてお話ししてきましたが、残念ながら、すぐに読解力が上がるという方法はありません。
文章を読むということは、私たちの中にあることばのつながりの上に、新しいことばを重ねていくようなものです。土台となることばがなければ、理解することも難しくなります。また、文章について考える時には、その文章をより客観的・分析的に読む視点も必要です。
これらは、読書経験によって、少しずつ身についていきます。日々の読書を、大切に進めていきましょう。