2025年読書感想文課題図書『ワレワレはアマガエル』リテラの先生の読書感想文

【講師コラム】大人も書いてみよう、読書感想文

こんにちは、リテラ「考える」国語の教室の講師、黒木里美です。

2025年青少年読書感想文コンクールの課題図書『ワレワレはアマガエル』(松橋利光著)を読んで、わたし自身が感想文を書いてみました。

本を読んだときに湧き上がってきた思いを形にしたくて書いたものです。 これは決して子どもたちの「見本」になるようなものではありません。

むしろ、一人の大人として本と向き合い、自分自身の経験と重ね合わせて書いた素直な感想です。 でも、この感想文を読んでくださった方々が、「読書感想文ってこんな風に書いてもいいんだ」と感じていただけたら嬉しいです。大人の本音の感想が、子どもたちが自分の言葉で書くためのヒントになれば、という願いを込めています。

ぜひ、保護者の皆さん、読書感想文を指導される先生方も、一度子どもたちと同じ本を読んで感想文を書いてみませんか?子どもたちと一緒に「書く」体験をすることで、新たな発見があるかもしれません。 それでは、わたしの読書感想文をご覧ください。

瞳の向こうの世界 〜アマガエルとの小さな出会い〜

私はカエルが大好きです。特にあの大きな目が好きです。カエルの目を見ていると、なんだか話しかけたくなります。おしゃべりな私は、じっと聞いてくれそうなカエルに親しみを感じます。

でも実際のカエルに会える機会はあまりありません。真夏の田んぼでは、カエルの大合唱が聞こえるのに、姿はなかなか見つけられません。見つけても、ぴょんと跳ねて逃げてしまいます。

一度だけ、アマガエルと仲良くなったことがあります。友達と海水浴に行ったとき、宿に戻ってシャワーを浴びていたら、小さなアマガエルが現れました。驚いたことに、全然逃げません。むしろ私のことをじっと見つめています。手のひらに乗せてみると、指をよじ登り始めました。もう友達みたいで、「東京に連れて帰りたいな」と思ったほどです。

でも、その子を本当に連れて帰るなんてできませんでした。生まれ育った場所から離すのは、かわいそうだと思ったからです。お別れするとき、そっと葉っぱの上に置きました。しばらくそこにいましたが、あとで見たらもういませんでした。短い出会いでしたが、その一匹のアマガエルのおかげで、私はもっとカエルが好きになりました。

松橋利光さんの『ワレワレはアマガエル』という本を読んだのは、そんな思い出があったからかもしれません。ページをめくると、そこには驚くほど美しいアマガエルの世界が広がっていました。

この本で一番おもしろいのは、「ワレワレはアマガエル」という言い方です。「ぼく」でも「わたし」でもなく、アマガエルたちが集まって「ワレワレ」と言っている感じがします。一匹一匹の物語ではなく、アマガエルという生き物全体の物語なんだなと思いました。

松橋さんが撮った写真はとてもきれいです。アマガエルの表情がよく分かります。「この子、今何を考えているんだろう?」と想像してしまいます。私が出会ったアマガエルも、きっと何か考えていたんだろうなと思います。あの時も「ワレワレはアマガエル」と話しかけられていたのかもしれません。

松橋さんは「写真で見るだけじゃなく、実際にアマガエルに会いに行ってほしい」と言っています。その気持ちがよく分かります。写真は素晴らしいけれど、本物に出会う感動はやっぱり特別です。あの旅行先での出会いのように、たった一度の経験でも、人の心は大きく動くのだと思います。これからも、ひょっこりと現れるカエルたちとの出会いを大切に、その瞳に映る世界をそっと覗いてみたいと思います。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

カテゴリー: 教育コラム

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