【2015読書感想文特集】『ぼくの、ひかり色の絵の具』(高学年向け課題図書)

ぼくの、ひかり色の絵の具 (ノベルズ・エクスプレス)

それぞれの課題図書の紹介と考えるポイント、声がけのヒントなど、読書感想文に役立つ情報を、順次公開しています。

内容の紹介

しゃべることの苦手なユクは、絵を描くことが大好きな男の子です。ある日、自分の思いを伝えられないばかりに、自分の絵を自分でダメにしてしまいます。自分の描いた絵を破いたユクは、素直で明るい女の子・ハネズと関わりながら、思いを伝えることや表現することについて、考えていきます。

読む前の下ごしらえ

考えてほしいこと

読む前に、次のことを考えてみましょう。

  • 物語に出てくる「はねず色」(唐棣色)とは、こんな色です。

読んだ後に

読み終わったら、次のことを考え、書いてみましょう。

考えるヒント

  • あなたは、自分の思いをうまく伝えられなかったり、誰かに誤解されたことはありますか? その時のことを、自分の気持ちも含めて、詳しく書いてみましょう。
  • ユクは、目で見えるものだけではなく、植物の名前や個性、自分の感情を絵に込めて表現することの大切さを知ります。これを参考にして、あなたが人に何かを伝える時や、相手と分かり合う時に、大切だと思うことを書いてみましょう。
  • 人に何かを伝えることや、分かり合うことは、あなたが生きていく上でなぜ大切なのでしょうか。考えてみましょう。

保護者の方へ

上記の「考えるヒント」を参考に、対話をしながらアイデアを拡げてください。アイデアのメモをたくさん作り、並べ替えながら、感想文の構成を練りましょう。

口下手で、思ったことを言葉にできない少年・ユクと、明るく素直な女の子・ハネズの物語です。ユクは、話すことが苦手です。ユクにとって、絵は大切な表現手段ですが、ある先生からの指示に言い返せないばかりに、最も大切な「絵を描く」という行為を、自分で汚すことになってしまいます。真っ直ぐな性格のハネズや心配する家族に思いを伝えることができない焦り、誤解されることのつらさを通し、ユクは、人に向き合うには何が必要なのかを考えます。そうして、色や形だけでなく、目に見えないものを知ること、そして、自分だけの感性や思いを表現することの大切さを学んでいきます。

人との関わりの中で、すべてをわかってもらうことはできません。しかし、自分の思いが伝わった時、人とのつながりが生まれ、それは自分の世界を拡げていきます。お父さんに買ってもらった、クラスメイトのものとは違う『ひかり色の絵の具』は、誰とも違うユクの心そのものです。

読書感想文を通して考えてほしいテーマ

  • コミュニケーション
  • 「私」と他者・「私」と世界

声がけのヒント

表面の出来事だけを読んでいると、なかなかテーマに迫りにくいと思います。様々な出来事の中で、ユクが何を学んでいくのかを、丁寧に読み取りましょう。急いで読まず、気になるセリフや大切だと思うページに付箋を貼っていきましょう。

構成について

構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。

「誰に、何を伝えたいか」

  • ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
    • 誰に……例)家族、友人、先生
    • 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
  • 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。

文章の構成

  • 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
  • 【はじめ】
    • この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
  • 【なか】
    • 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
    • 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
      • 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
      • 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
      • 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
      • 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
    • 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
  • 【おわり】
    • 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。
読書感想文の書き方・文例について、より詳しくは「テーマを考えてから書こう! ~読書感想文のコツ」をご覧ください。
この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: ブックレビュー

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