【2017年読書感想文特集】『月はぼくらの宇宙港』佐伯和人 作(中学生向け課題図書)

月はぼくらの宇宙港




内容の紹介

今、月は、人類が太陽系へ活動範囲を広げるための「宇宙港」として注目を集めています。この本では、宇宙と月をめぐる最新の研究やこれからの課題が、わかりやすく紹介されています。

読む前の下ごしらえ

考えてほしいこと

読む前に、次のことを考えてみましょう。

あなたは、月を研究することには、どのような意味があると考えますか。月のことがわかることで、私達の暮らしにどんな良いことがあるのでしょう。考えてみましょう。

合わせて知りたい

惑星探査機ボイジャーの「ゴールデンレコード」

1977年に打ち上げられた惑星探査機ボイジャーに積み込まれた「ゴールデンレコード」です。丸い金属の細かな溝に、絵や音の情報として、宇宙人へのメッセージが記録されています。


By NASA – Great Images in NASA Description, パブリック・ドメイン, Link


By NASA/JPL – The Sounds of Earth Record Cover, パブリック・ドメイン, Link

1902年のサイレント映画『月世界旅行』

次の動画は、『月世界旅行』※という1902年に発表されたフランスのモノクロ・サイレント映画です。100年以上前の人々が月にどのような想像をふくらませていたか、見てみましょう。

※(げつせかいりょこう、原題・仏語: Le Voyage dans la Lune, 英語: A Trip to the Moon)ジョルジュ・メリエス 脚本・監督、ジュール・ヴェルヌ、H・G・ウェルズ原作

読む

読む時は、印象に残った場面や不思議に思った場面など、「心が動いたところ」にふせんを貼りながら読みましょう。書く時の材料になります。
また、できれば、家族や友だちと、同じ本を読んでみましょう。自分と違う感想や考え方を知ると、感想文の内容がより深いものになります。

準備する

気持ち

本を読んで感じた気持ちをことばにするのは、なかなか難しいものです。読み終わったら、次の「気持ちについて考えよう」シートを印刷して、感じた気持ちに丸をつけてみましょう。対話のヒントになります。

体験

読書感想文では、本の内容と自分の体験を結びつけることが大切です。自分の体験が思いつかない場合は、このページの「考えるヒント」を参考にして、本のテーマについて誰かに聞いたり、調べたり、新しく何かをしてみたりするとよいでしょう。

考えるヒント

◆月や惑星を探査することにはどのような意味があるのですか? 序章を読んで考えましょう。

◆筆者は、カール・セーガンさんの宇宙人に関する考えの、どのような点が素晴らしいと考えたのですか。

  • あなたは、もしも宇宙人に会ったら、地球人を代表して、どんなあいさつをしますか。

◆この本には、10の〈ミニ実験コーナー〉があります。どれも身近な現象を通して、月について理解するための助けとしています。みなさんも、ぜひ実験に挑戦してみましょう。

  • どの実験をしてみましたか。
    • その実験は、何を理解するためのものですか。
    • その実験の結果はどのようになりましたか。
    • その実験から、どのようなことがわかりましたか。

◆1961年、アメリカの大統領ケネディ氏は、「10年以内に月に行こうと決めた、それは簡単だからではない。むしろ困難な計画だからだ」とアポロ計画を発表しました。

  • あなたは、あえて難しいことを目標とすることについて、どのように思いますか。
  • あなたは困難なことを目標にしたことはありますか。
  • その目標に向かってどのような努力をしましたか。
  • その結果はどうでしたか。結果をどのように受け止めていますか。

◆第三章には、これからの月探査の展望が紹介されています。

  • これからの月探査の課題の中で、あなたが最も興味を持ったものはどんな課題ですか。
    • どうしてその課題に興味を持ったのですか。その課題が明らかになることに、どのような意味がありますか。

◆第四章では、月に基地を作り、生活するために必要なことが、具体的に書かれています。

  • 月での生活をシュミレーションしてみましょう。
    • どんなことで困るでしょうか。新たにどんな物が必要に必要になるでしょうか。

◆終章で、筆者は、宇宙につながる仕事は、実はびっくりするほどたくさんあると述べています。

  • あなたは、将来、どんな仕事に就きたいと考えていますか?
    • もしも、目標とする仕事があれば、その職業の頭に「宇宙」をつけてみましょう。もしなければ、あなたにとって身近な職業に「宇宙」をつけてみてください。
    • その仕事はどんな仕事になりそうですか。想像してみましょう。

保護者の方へ

上記の「考えるヒント」を参考に、対話をしながらアイデアを拡げてください。アイデアのメモをたくさん作り、並べ替えながら、感想文の構成を練りましょう。

読書感想文を通して考えてほしいテーマ

  • 月や惑星を探査することの意味
  • 困難な目標に向き合う
  • 人とのつながり

この本について

本書では、月や惑星を探査することの意味、月について明らかになっていることと、これからの課題、人類が月を探査・開発していくために必要なことなどが、具体的に、わかりやすく紹介されています。また、さまざまな実験を通して、この本の内容を体験的に理解できるとともに、科学的な考え方を学ぶこともできます。

月や宇宙に関わる研究は、さまざまな分野の専門家や技術者、企業、それらを支える社会全体が協力し合うことによって進められます。そうした人のつながりの大切さ、また困難な目標へ向き合うために必要なことをこの本から学ぶことができるとよいでしょう。

筆者は、宇宙に興味を持ち、やがて宇宙に関わる仕事につくことを夢見る子どもたちに、「宇宙にかかわろうとあわてて目標をしぼらないで、いろいろな分野に目をむけることが大切」だとアドバイスしています。なぜなら、宇宙について理解することは、地球について理解することと表裏をなしているからです。もしかしたら、そうと意識していなくても、あなたが選んだ仕事と真剣に向き合う先で、宇宙に関わることがあるかもしれません。


合わせて読みたい

『月へ行きたい』

月まで行くには、どのくらい時間がかかるのでしょう。もしもはしごでのぼったら? 気球なら? 飛行機なら? 月への様々な行き方や、ロケットのつくり、本当に研究されているさまざまな形の宇宙船が紹介されています。

『宇宙少年』

野口聡一さんは、2005年に宇宙飛行士として宇宙で船外活動に取り組み、2009年には国際宇宙ステーションに滞在しました。野口さんは、宇宙飛行士になるまでのさまざまな経験とともに、夢を実現させるための大切なことの一つとして、自らの怖さと向き合うことについて語ります。

構成について

構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。

「誰に、何を伝えたいか」

  • ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
    • 誰に……例)家族、友人、先生
    • 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
  • 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。

文章の構成

  • 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
  • 【はじめ】
    • この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
  • 【なか】
    • 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
    • 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
      • 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
      • 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
      • 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
      • 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
    • 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
  • 【おわり】
    • 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。
読書感想文の書き方・文例について、より詳しくは「テーマを考えてから書こう! ~読書感想文のコツ」をご覧ください。



2017年 その他の課題図書

随時追加していきます。

2017年 夏期講習

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この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: ブックレビュー

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