『タイヤの歴史と未来』(新小6 Y・K君)


リテラでは、生徒一人ひとりの興味・関心に基づいた学びの成果を、様々な方と分かち合う場として、年に一度、『生徒作品発表会』を開催しています。

今回は、『タイヤの歴史と未来』(新小6 Y・K君)を掲載致します。

自転車が好きなY君。今回は、タイヤについて調べ、その長い歴史や、先人たちの工夫について知りました。

その他の発表動画は、「2022年 生徒作品発表」をご覧ください。

作品について

本人の振り返り

これはどのような作品ですか?
タイヤの歴史と未来について説明し、自分はタイヤを作った人たちに対して感謝したいというまとめをした。
どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
自転車のタイヤは日々進化しているけれど、自動車のタイヤは、どう進化しているのかということにに興味がわいたからです。
作品づくりで楽しかったことは何ですか?
東京都小平市小川にあるブリヂストンイノベーションギャラリーに行って、タイヤの未来について調べたことです。
作品づくりで難しかったことは何ですか?
タイヤの歴史は、明確な記録がないほど昔からあるので、まとめ方に苦戦しました。
作品作りを通して学んだことは何ですか?
タイヤに限らず今ある便利なものは、多くの人々の努力によって発明されたものであることをまなびました。
次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
研究で、自分で、文章を書いた経験を次に生かそうと思いました。
来年、研究したいことはありますか?
平和を目指した人たちとその成果。
この作品を読んでくれた人に一言
この作品を見て、タイヤがいかにすごいかを気付いてもらえればうれしいなーと思います。

生徒作品

『タイヤの歴史と未来』(新小6 Y・K君)

僕は、自転車が好きです。休みの日、時間があるときは、家族で、自転車に乗って出かけています。自転車は、タイヤの幅が狭いほど、スピードが上がります。
 僕のお母さんは、普通よりも狭いタイヤを使うクロスバイクという自転車に、普通の自転車から変えたとき、坂道が走りやすくなったと言っています。

また、プロの自転車選手は、新しいタイヤが出ると、すぐに今まで使っていたタイヤから、その新しいタイヤに変えています。
ぼくは、乗り物のタイヤは、どのように進化してきたのだろうかと思い、その歴史と未来について調べることにしました。

僕は、「タイヤのおはなし」と「ゴムのはなし」という本で、調べてみました。そもそも、明確な記録がないほど昔、車輪と軸は、分かれていませんでした。人々は、丸太の真ん中を細くして、その上に荷台を乗せていました。そして、次第に車輪と軸が分かれていきました。

最初のタイヤは、木でできた車輪に、鉄の輪をはめたものでした。都市では、石畳の道路でしたが、そのようなタイヤではとても揺れました。それから長い間、1835年にゴムが鉄の輪の代わりに使われはじめるまで、そうしたタイヤが使われました。

コロンブスの第1回の航海で、ハイチのイスパニョーラ島に住む人が、よく弾むボールで遊んでいるのを見て驚いたのが、ヨーロッパの人々の初めてのゴムとの出会いでした。最初は防水性に優れたゴムを雨具に使っていましたが、ゴムは寒いと固くなり、暑いとやわらかくなってしまうため、あまり使われませんでした。

19世紀、チャールズ・グッドイヤーが、金物屋の商売そっちのけで20年、ゴムの研究をしていました。硫黄の粉をまぶしたゴムをストーブの上に落としたところ、より強いゴムができたことから、加硫法という方法が開発され、ゴムの利用が大きく発展することになりました。

ゴムタイヤは、1888年、日本で言うと、明治21年に、イギリスのスコットランドの獣医ジョン・ボイド・ダンロップという人が、10歳の息子の三輪車の乗り心地をよくしてやろうと、日曜大工で作られたのが起源です。ダンロップは、その年に、イギリスで特許を取りました。このダンロップが発明した空気入りゴムタイヤは、翌年の自転車レースで使われ、圧勝しました。

空気入りタイヤは、自動車にも使われるようになりました。1895年のパリ・ボルドー・パリ間の自動車レースで、ミシュラン社の空気入りゴムタイヤをつけたプジョーの車が出場しており、これが空気入り自動車用タイヤの第一号ではないかと言われています。残念ながら、この車のタイヤは、パンクが多発して、22本のタイヤチューブを使い果たし、レースの制限時間をオーバーしリタイアしてしまいました。しかし、空気入りタイヤは、地面との摩擦が少なく速く楽に走れることや、乗り心地がいいことから、現在まで、広く使われるようになりました。

ここは、東京都小平市小川にある、ブリヂストンイノベーションギャラリーです。ぼくは、ここに、タイヤの未来を調べるために、見学に行きました。

これは、ある車のタイヤの写真です。どのような車のタイヤでしょうか?

正解は、レーシングカーです。レーシングカーのタイヤは、表面が、とてもツルツルで、乗用車のタイヤと比べると、違いが一目瞭然です。僕は、こんなつるつるのタイヤで、レースの時に滑らないのかと、心配になりました。

これは、ある探査機のタイヤです。これは何のタイヤでしょう?ヒントは、左側にある「月」です。

正解は、月面探査タイヤです。タイヤに使われているのは、ゴムではなく、スチールウール製のものです。なぜなら、月には空気がないので、通常のタイヤでは、車体を支えられないからです。また、月面は、レゴリスと呼ばれる非常に細かい砂に覆われており、高い接地面圧では、砂に埋まり、動けなくなってしまいます。そのため、2本のタイヤが1本になったダブルタイヤ構造を使って、圧力を、分散しなければならないです。

これは、電気自動車で、実用化を目指しているタイヤです。車は普通、車の内部にあるモーターや、エンジンで走っていますが、この車は、タイヤにモーターがあり、走りながら充電ができる仕組みになっています。タイヤに直接動力を伝えるため、エネルギーのロスを防ぐことができます。

これは、ブリジストンのエアフリーコンセプトという技術を使ったタイヤです。このタイヤは、特殊な形状をしたスポークがかじゅう(荷重)を支えるため、空気がいりません。パンクの心配がなく、手入れがしやすいため、空気圧を気にすることなく、長時間の運転が可能になります。

タイヤは、より性能の良いほうへ、未来へ、進化をし続けています。タイヤは移動手段に欠かせないものです。僕はタイヤの歴史と未来について知り、今普通に使っているタイヤも、昔の人々の努力によって進化してきたことに驚きました。そして、それにたずさわった人に感謝したいと思いました。

これで、発表を終わります。聞いてくださって、ありがとうございました。

参考文献— (書籍へのリンクはAmazonのアフィリエイトリンクです)

  • 渡邉徹郎(2019). タイヤのおはなし 日本規格協会
  • 須之部 淑男(1985). ゴムのはなし さ・え・ら書房
この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

カテゴリー: 生徒作品

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