【生徒作品】『捏造写真の真相』(新小6 Y・Tくん)


リテラでは、生徒一人ひとりの興味・関心に基づいた学びの成果を、様々な方と分かち合う場として、年に一度、『生徒作品発表会』を開催しています。生徒たちは、発表会に向けた様々な準備を通して、実践的な発表の仕方を学んでいきます。

今回は、2019年3月に行われた「リテラ 生徒作品発表会」より、新小6 Y・Tくん『捏造写真の真相』を掲載致します。

心霊動画を見るのが好きなYくんは、それが本当なのか疑問を抱き、捏造写真について研究しました。

その他の発表動画は、「2019年3月 生徒作品発表会 発表動画一覧」をご覧ください。

作品について

講師からのコメント

写真づくり、難しいところもあったけれど、おもしろいものができましたね。幽霊やUFOは、わくわくするけれど、自分で考える姿勢がないと、危険でもあります。疑いながら楽しむというバランスは、情報があふれる現代、とても大切になりますね。

本人の振り返り

これはどのような作品ですか?
捏造写真の事件と、捏造写真のつくりかたを紹介した作品です。
どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
よく心霊写真を見るうちに、本物なのか知りたくなったからです。
作品づくりで楽しかったことは何ですか?
捏造写真をつくるのが面白かったです。
作品づくりで難しかったことは何ですか?
本の内容をまとめる文章を考えることです。
作品作りを通して学んだことは何ですか?
かんたんに写真を捏造できるから、あやしい写真は信じすぎず、楽しむくらいが、ちょうどいいということです。
次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
発表に向けて、できるだけ文章を覚えることです。
来年、研究したいことはありますか?
考え中です。
この作品を読んでくれた人に一言
あやしい写真にだまされないでください。

生徒作品

新小6 Y・Tくん 『捏造写真の真相』

ぼくは、ひまな時、心れい動画をパソコンで見ています。わざとらしい動画もあれば、びっくりする動画もあります。しかし、こうした動画は、本物なのでしょうか。ねつ造ではないのでしょうか。今回、怪奇現象の真相について、研究してみることにしました。

研究は、科学の迷信と、超常現象について書かれた本を読んで、進めました。また、パソコンで、自分でも、捏造写真を作ってみました。

最初の事件は、19世紀半ば、ウィリアム・マムラーの作った心霊写真です。当時、アメリカでは、降霊術が盛んにおこなわれていました。マムラーの写真は、魂が、まだこの世とつながっていることの証拠のように見えました。マムラーは、ある日、自分をうつした写真に、少女のおぼろげな影が写っているのに、気づきました。当時の写真は、ガラス板でネガを作っていましたが、おそらく、少女の姿が消えていなかった板を使ったのでしょう。友人がそれを信じ込んでしまったことがきっかけで、マムラーは、心霊写真を作って、売るようになりました。


これらは、マムラーが作った、心霊写真です。左の写真は、リンカーン大統領の奥さんです。夫の霊とともに映っています。マムラーは、本当の心霊写真であると信じたい、お客さんの心理のおかげで、心霊写真家として、みるみる成功していきました。しかし、ある日、生身の人間が亡霊を演じていることが、ばれてしまいました。また、二重露出と、細工したレンズで、同じような写真が撮れることが、わかってしまいました。1896年、マムラーは、詐欺で告発されます。しかし、証拠不十分で、釈放されました。マムラーは、死ぬ前にネガを処分したため、彼がとった写真は、ほとんど残っていません。


これは、ぼくがつくった、心霊写真です。つくりかたを、紹介します。まず、背景の写真を撮ります。これは、リテラの廊下です。次に、幽霊にしたい人の写真を撮ります。画像ソフトを使って、その人を背景から切り取り、フィルターをかけ、幽霊のようにします。それを、背景の写真にかさね、透き通るようにし、全体の色を変えます。これで、できあがりです。自分の写真を切り抜くのに、苦労しました。


次の事件は、1917年、イギリスのティングリー渓谷の、妖精写真です。当時16歳のエルシー・ライトが撮った写真に、踊る妖精が、はっきりとうつっていました。複数の写真家が、本物だと断定しました。また、「シャーロックホームズ」の作者として有名な、アーサー・コナン・ドイルも、この写真を信じ、『妖精の訪問』という本をかきました。しかし、1982年、写真を撮った2人が、写真はインチキだったと告白しました。ある夏の日、小川で遊んでいた幼いフランセスは、「妖精を見た」と家族に伝えました。しかし、大人たちは笑って、その話を信じませんでした。そこで、フランセスは、エルシーと相談して、大人たちをやりこめてやろうと計画しました。トリックは、とても単純でした。エルシーは、フランセスに借りた『メアリー王女のギフトブック』という本のイラストから、少女たちの絵を厚紙に書いて、羽を書き加え、妖精にしました。そして、その絵を切り抜き、帽子の長いピンを使って地面にさし、撮影したのです。


ぼくも、妖精写真を作ってみました。作り方を紹介します。まず、妖精の画像を用意します。これは、インターネットのフリー素材です。それを、背景の写真と重ね、足元に影をつくります。これで、できあがりです。影の濃さに苦労しました。


最後の事件は、イギリスのプロデューサー、レイ・サンティリとゲイリー・シューフィールドによる、宇宙人の解剖フィルムです。この映像がテレビで公開されると、人々から、「捏造だ」と声が上がりました。二人は、本物であると主張しましたが、2006年、その主張を修正しました。宇宙人は、つくりものの体に、精肉市場で買った、ヒツジやニワトリの内臓をつめたものでした。二人は、本当の宇宙人が映っているオリジナル・フィルムがあるが、劣化がひどく、映像を判別できるのはごく一部だったため、自分たちで、真似をして再現したと、言い張っています。しかし、その説明を信じている人は、もうほとんどいないようです。


これは、僕が作ったUFOの写真です。作り方を説明します。これが、UFOのもとになった、リテラにあったカリンバという楽器です。まず、このカリンバを、横から撮ります。そして、背景から、使う部分だけを写真を撮ります。これは、リテラのベランダから撮ったものです。この背景に、切り抜いたカリンバを重ねて、完成です。

この研究を通して、写真を捏造するのが、思ったよりも簡単にできることを知りました。だから、もしも、テレビやインターネットであやしい写真が紹介されていても、信じすぎず、楽しむくらいがちょうどいいのかもしれません。みなさんも、もし、そういう写真や動画があったら、信じすぎず、楽しんでみてください。

これで発表を終わります。聞いてくださって、ありがとうございました。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 生徒作品

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