【生徒作品】「私、ベルになれた!」(小6 M・Mさん)

6年生最後の学芸会に向けて、オーディションを受けたM・Mさん。
オーディションに臨む緊張と不安、合格発表を聞いた喜びをいきいきと書いてくれました。
M・Mさんの六年間で一番うれしかった出来事を、どうぞお読みください。

生徒作品

※一部をアルファベット・伏せ字にしてあります。また、Webの表示に合わせて、改行をしています。

「私、ベルになれた!」
小6 M・M

 私は、十月の二十三日にオーディションを受けました。みなさんは、何のオーディションだと思いますか。それは、十一月の学芸会のげきで演じる「美女と野獣」のオーディションです。
 私は、主人公のベル役に立候補しました。ベル役は、七人います。私が立候補したところは、ベルがドレスを着て野獣と踊る場面です。そのために、私は台本を暗記したり動作を考えたりするなど、自分一人でできることを準備しました。すると、その様子を見ていた母が、
「応援するから、がんばって。」
と言ってくれました。頑張る力が湧いてきました。
 いよいよ、オーディションの日になりました。体育館で、各クラス一人ひとりが、舞台の上に立って、どきどきする思いを落ち着かせながら、台本を読みます。先生は、
「見ている一人ひとりが監督です。」
と言っていました。その意味は、見ている人が演じている人を、良いか悪いか評価するということです。
 ポット夫人が、ベルをおむかえしているところを友達のOさんが手話を使って演じていました。それは、すごく上手でした。私は、舞台に立ったときに、これをやってみたいと思いました。
 ところが、舞台に立ってみると、みんなからの視線がとてもこわかったです。Oさんがやっていた手話は、とてもできそうにありません。なぜ、私ができなかったかというと、人のまねをしても受からないかもしれないという不安があったからです。
 しかも、オーディションでは、家で練習したところは出ませんでした。全然練習していなかったところなので、私は、ショックを受けました。
 それでも、私は、あきらめずに、希望を持って台本を読みました。目の前にいるO先生に向かって「絶対受かりたい」という気持ちを込めて演じました。
 オーディションが終わったときに、友達が
「M、とっても上手だったよ。絶対受かるよ。」
といって、はげましてくれました。私は、こんなことを言ってくれる友達がいて、うれしかったです。
 次の月曜日に、オーディションの結果発表が行われました。
「第八場面のベル役は、Mさんにお願いします。」
と先生が言いました。私は、うれしさのあまり、ガッツポーズでさけんでしまいました。
 実は、この場面に立候補した人は、一人でした。それでも、他の人がベルになることもあったので、私は、不安で一杯でした。だから、私は、ベル役になれて、安心しました。
 この出来事は、六年間で一番うれしい出来事でした。
 再来週は、学芸会の本番です。私は、第八場面の最初に、一人で踊ることになっています。その踊りを絶対に成功させたいです。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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