2012年 夏休み 教室からのおすすめ図書(中高生向け)

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今回は、教室から中学生・高校生のみなさんに向けたおすすめ図書をご紹介します。 前回と同じく、「内容紹介・読んでもらいたい人・考えるポイント」の3つと共にご案内します。 いずれも選書のプロが選んだ良書です。ぜひ手に取ってみてください。

中学生

『温室デイズ』


内容紹介

中三になったにも関わらず、日に日に教室の様子は荒れていくばかり。学校中のガラスが割られ、クラス担任も体を壊して休職。せめて自分のクラスだけでもまともにしたいとクラスに呼びかけたみちるは、次の日からいじめの標的になります。登校拒否の優子、自らパシリを引き受ける斉藤君、不良のリーダーの瞬。彼らは、自分たちを取り巻く「温室」とどう向き合っていくのでしょうか……。

読んでもらいたい人

  • 「いじめ」や「友だち」をテーマに考えたい人
  • 中学校生活を舞台にした物語を読みたい人

考えてみよう

  • 「いじめ」とは、どういう行為を指すのでしょうか。あなたなりにいいかえてみてください。
  • いじめに関するニュースや、あなたの今までの経験とこの本の内容を比べて、どんなことを考えますか。

『キップをなくして』


内容紹介

「キップをなくしたら、駅からでられない。キミはこれからわたしたちと一緒に駅で暮らすのよ、ずっと。」少年が、恵比寿駅から山手線に乗り、有楽町にコレクションの切手を買い行く。ところが、改札を出ようと切符を探すが見つからない。焦る少年に声をかけてきたぶっきらぼうな少女は、彼に駅で暮らす「駅の子」になるのだと告げる・・・・・・。

読んでもらいたい人

  • 鉄道が好きな人。ファンタジーが好きな人
  • 子どもだけの駅での暮らしが気になる人

考えてみよう

もしも、自分が駅の子になったらと考えずにはいられない作品です。「駅の子」として子どもだけで暮らす中で、主人公はたくさんのことを学びます。あなたにも、忘れられない鉄道エピソードはありませんか。初めて一人で電車に乗ったときのこと、キップをなくしてしまったときのこと・・・その時のことを思い出しながら『子どもたちの成長』について考えてみましょう。

『幸せを届けるボランティア 不幸を招くボランティア』


内容紹介

ボランティアって実際のところどうなのでしょうか。どこからどこまでがボランティアで、どこからがそうではないのでしょうか。ボランティアは何のためにするのでしょうか。ボランティアにはどんな活動の種類があるのでしょうか。人に幸福を届けるボランティアとはどんなものでしょうか。反対に、人に不幸を招くボランティアとは・・・・・・。

読んでもらいたい人

  • ボランティアに興味がある人
  • ボランティアに疑問を持っている人

考えてみよう

  • この本を読んで、あなたなりにボランティアとは何かを定義してみましょう。そして、そのボランティアとあなた自身の生活との関わりについて考えてみましょう。
  • もしも自分がボランティア活動に参加するとしたとき、どんな取り組みをしますか。また、どんなことに気をつけて参加しますか。

高校生

『ギヴァ― 記憶を注ぐ者』


内容紹介

人類のユートピアとは?苦痛や苦悩ばすべて取り払われた理想の社会は誰しも夢見るでしょう。主人公ジョーナスが暮らすコミュニティーは、だれもが思い描くユートピアのはずでした。ところが、12歳のジョーナスはコミュニティーでもっとも重要な役割<記憶を受け継ぐ者>に選ばれ、これまで知らなかった理想社会の隠された姿を目の当たりにします。

読んでもらいたい人

幸せとはなにか、社会とはどうあるべきかなど悩んだり、不安を感じたことがある人。

考えてみよう

この物語には結末の回答は用意されていません。あなたは、どんな結末を思い描きますか。10年後、100年後、ジョーナスやコミュニティーがどのようなっているか想像してみてください。是非、ご家族や友人と一緒に読んで語り合ってください。

『風に舞い上がるビニールシート』


内容紹介

パティシエとしての優れた才能と、人を惹きつけて振り回さずにはいられない魅力を持つオーナーを支える弥生。傷つき捨てられた犬たちを保護するボランティア活動のために水商売に励む恵利子。国連職員として紛争地域の人々や難民のために現地を駆けまわるエドと家庭を持つことになった里佳・・・・・・。人生におけるそれぞれの選択を描いた6つの短篇作品集。

読んでもらいたい人

幸せとはなにか。働くとはどういうことか。人生について考えてみたい人。

考えてみよう

  • P57「犬は私にとっての牛丼なんです」とありますが、この時の恵利子のいう「牛丼」とはどういう意味でしょうか。その意味を考えた時、あなたにとって「牛丼」にあたるものはありますか。
  • 6つの短編作品を読んだ時、この本全体のテーマを考えるとしたら、どのようなテーマを考えますか。また、そのテーマについてあなたはどんなことを考えますか。

『武装解除―紛争屋が見た世界』


内容紹介

大学時代は建築家を目指していた筆者・伊勢崎賢治さんですが、インド留学中にスラム住民の居住権獲得運動に携わったことをきっかけに国際NGO(国際協力に携わる民間組織)に参加。やがてインドネシアの東チモール、アフリカのシエラレオネ、アフガニスタンなどの紛争処理を指揮することになります。人々の死が日常にあり、経済的にもない過酷な状況で、紛争状態にある人々の武装解除のためにどのように行動したのでしょうか。

もしもこの本では少し難しそうだという人は、『さよなら紛争』(14歳の世渡り術シリーズ/河出書房新社)がおすすめです。少し読みやすくなっています。


読んでもらいたい人

  • 国際社会の問題について知りたい人
  • 戦争と平和・紛争と和平について考えたい人

考えてみよう

  • P100 「平和の代償」という小見出しの内容について、「もしあなたがシエラレオネの一青年だとしたら」と考えてみてください。和平の中にある矛盾について、あなたはどのようなことを考えますか。
  • 今も紛争状態にある国や地域は無数に存在します。そうした地域について、インターネットや書籍を利用して調べてみましょう。

次回は『読書感想文特集~対話を通して楽しく書き上げる読書感想文の書き方』をお送りします。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 読書感想文

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