【2025年読書感想文特集】『とびたて! みんなのドラゴン 難病ALSの先生と日明小合唱部の冒険』オザワ部長(小学校高学年向け課題図書)

こんな子におすすめ!

  • 自分の弱さや内気な性格を克服したいと思っている子
  • チームで何かを成し遂げる感動を味わいたい子
  • 難病と闘いながらも夢をあきらめない強さを学びたい子
  • 合唱や音楽に興味のある子
  • 実話に基づく感動ストーリーが好きな子
  • 友情や絆の大切さを感じたい子
  • たった一人でも歌うことが好きな子

本の紹介

『とびたて! みんなのドラゴン』は、福岡県北九州市の日明小学校で実際にあった物語です。難病ALSと闘いながらも合唱部の顧問として子どもたちと向き合った竹永先生と、内気で人前で話すことができないマナミを含む個性豊かな合唱部員たちが、それぞれの壁を乗り越えて全国大会金賞を目指す姿を描いています。

合唱未経験の先生と個性豊かな子どもたちが、お互いの弱さを認め合いながら、勇気の象徴である「ドラゴン」を心の中で育て、ステージで羽ばたかせるまでの1年間の冒険。実話をもとにした感動のノンフィクションは、読む人の心に勇気と希望を届けてくれます。

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本の解説

福岡県北九州市にある日明(ひあかり)小学校。この学校の合唱部に、ALSという難病を抱えた竹永亮太先生が顧問として着任します。合唱の経験がまったくない竹永先生。そして、内気で人前で話すことすらできないマナミという小学6年生の女の子。

マナミは自分を変えたいという強い思いから、学校で唯一の部活動である合唱部に入部します。そこで出会ったのが、笑顔が素敵な竹永先生でした。しかし、竹永先生はALSという難病により、徐々に体が動かなくなっていくという厳しい現実と向き合っていました。

物語は、竹永先生が病気と闘いながらも子どもたちと真剣に向き合い、マナミが自分の弱さと向き合いながら成長していく姿を、リアルに描いています。

「もう上手に歌うとか、金賞をとろうとか、考えんでいいけんね。最初から目標にしていたとおり、日本でいちばん明るく、日本でいちばん元気に、日本でいちばんこころをこめて歌おう。日明小にしかできない歌声を観客席に届けよう」

これは、P139に書かれている、ステージに立つ前に竹永先生が子どもたちに伝えた言葉です。技術や結果よりも大切なものがあることを教えてくれます。

この本の特徴は、実際にあった出来事をベースにしていることです。2022年度の1年間、竹永先生と合唱部の子どもたちが全国大会金賞を目指して奮闘した軌跡が、生き生きと描かれています。また、本書の印税の一部は、著者のご厚意により日本ALS協会に寄付されるという社会貢献の側面も持っています。

「ドラゴン」について

P66には、合唱曲『僕のドラゴン』に描かれた物語についての説明があります。

≪僕のドラゴン≫に描かれているのは、こんな物語だ。
主人公の少年の心の中には秘密の泉があり、そこにはドラゴンがひっそりと棲んでいる。少年が悲しみやさびしさ、苦しさをがまんしたとき、誰かにやさしくできたとき、がんばったとき、そのドラゴンは大きく成長する。少年はいつかドラゴンの背中に乗って空に浮かぶ雲を飛び越えることを夢見る__

この言葉には、『僕のドラゴン』という曲が単なる合唱曲ではなく、竹永先生と子どもたちにとっての「勇気の象徴」であることが表現されています。それぞれの心の中にある「ドラゴン」=勇気や希望を育てていくことが、この物語の中心テーマとなっています。難病と闘う先生も、内気な性格と向き合うマナミも、みんながそれぞれの「ドラゴン」を育てながら成長していくのです。

読書感想文のヒント

感想文を書く皆さんへのメッセージ

全国大会に行くような経験がなくても、大丈夫です。運動会や学芸会、合唱コンクールなどの学校行事で頑張ったことや、あこがれの先生・素敵な先生がいたら、その人のことを書いてもいいでしょう。

読む前に考えてみよう

  • あなたは、自分の弱さや苦手なことを、どのように乗り越えようとしていますか?
  • 難病と闘いながらも夢をあきらめない人を見て、どのようなことを感じますか?
  • 「勇気」とは何だと思いますか? あなたにとっての「ドラゴン(勇気の象徴)」は何ですか?
  • 仲間と一緒に何かを成し遂げた経験はありますか? そのときどんな気持ちでしたか?

考えを深めるための質問

  • マナミはなぜ合唱部に入ろうと決めたのでしょうか? また、自分を変えるという決意は、どのようにして生まれたのでしょうか?
  • 竹永先生はALSという難病と闘いながらも、なぜ合唱部の顧問を引き受けたのでしょうか? 竹永先生の原動力は何だったと思いますか?
  • 物語の中で、「ドラゴン」はどのような象徴として描かれていますか? それぞれの登場人物にとって、「ドラゴン」とは何を意味していたのでしょうか?
  • 合唱部のメンバーたちは、どのようにして、個性を活かしながら一つのチームとして成長していったのでしょうか?
  • 竹永先生が子どもたちに「もう上手に歌うとか、金賞をとろうとか、考えんでいいけんね。日本でいちばん明るく、日本でいちばん元気に、日本でいちばんこころをこめて歌おう」と伝えた言葉の意味について、あなたはどう考えますか? 技術や結果と比べて、本当に大切なものは何だと思いますか?

考えてほしいテーマ

  • 勇気と挑戦
  • 困難の乗り越え方
  • 友情と絆
  • 自己成長
  • チームワーク
  • 音楽の力
  • 心の中のドラゴン
  • プロセスの大切さ
  • 多様性の尊重

理解を深めるために

ALS(筋萎縮性側索硬化症)について

ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは、運動ニューロン(運動神経細胞)が徐々に死んでいき、筋肉を動かすことができなくなる難病です。物理学者のスティーヴン・ホーキング博士も同じ病気を患っていました。しかし、知性や感覚は通常影響を受けないため、多くの患者さんは周囲の様子をしっかりと理解しています。

参考

ALSという病気についてより詳しく知ることで、竹永先生の直面していた困難やその勇気をより深く理解できるでしょう。

合唱コンクールについて

合唱コンクールでは、歌の技術だけでなく、心を一つにして表現することが重要です。歌詞の意味や曲の背景を理解し、それを自分たちの言葉として伝えることが、聴く人の心を動かします。『僕のドラゴン』の歌詞にある「心の中のドラゴン」は、困難に立ち向かう勇気や、苦しさをがまんする強さ、誰かにやさしくできる思いやりの心などを象徴しています。竹永先生と子どもたちは、それぞれが自分の中のドラゴンを育てながら、全国大会に挑戦していったのです。

この本を読んだ後、あなたも自分の中の「ドラゴン」を見つけてみませんか? それは勇気かもしれないし、思いやりの心かもしれません。あなたの中にも、きっと素敵な「ドラゴン」が眠っているはずです。

合わせて観たい

実際の日明小学校合唱部の活動や竹永先生についての新聞記事やインタビューなどを探してみると、物語の背景をより深く理解することができます。

メディアで紹介された日明(ひあかり)小合唱カンパニーの活動

竹永先生と日明(ひあかり)小合唱カンパニーの活動は、数々のメディア(朝日新聞、RKB毎日放送、福岡・佐賀KBC NEWSなど)で報道されています。実際の映像を見ることで、本の内容がより深く理解できるでしょう。

RKB毎日放送

竹永先生と合唱部の子どもたちの活動を取材した映像です。

福岡・佐賀KBC NEWS

日明小合唱カンパニーの活動についての貴重な映像記録です。

NHK全国学校音楽コンクール(Nコン)2022

物語の舞台となった実際の日明小学校合唱部が出場した2022年のNコン動画が公開されています。

本書の内容と照らし合わせながら実際の演奏を聴くことで、物語の感動がより深まります。

第75回全日本合唱コンクール全国大会 小学校部門 金賞スペシャル・ダイジェストムービー

物語のクライマックスとなる全国大会での金賞受賞の様子が収められています。本書を読んだ後、心を一つにして歌う子どもたちの姿を見ると、感動が何倍にも膨らみます。

これらの映像を見ることで、物語の背景となった実際の出来事や、竹永先生と子どもたちの姿を知ることができます。本を読む前や読んだ後に、ぜひご覧ください。

構成について

構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。

「誰に、何を伝えたいか」

  • ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
    • 誰に……例)家族、友人、先生
    • 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
  • 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。

文章の構成

  • 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
  • 【はじめ】
    • この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
  • 【なか】
    • 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
    • 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
      • 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
      • 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
      • 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
      • 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
    • 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
  • 【おわり】
    • 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。
読書感想文の書き方・文例について、より詳しくは「テーマを考えてから書こう! ~読書感想文のコツ」をご覧ください。

2025年 読書感想文課題図書のページ

随時更新していきます。

大人も書いてみよう、読書感想文!

2025年青少年読書感想文コンクールの課題図書『とびたて! みんなのドラゴン 難病ALSの先生と日明小合唱部の冒険』(オザワ部長)を読んで、講師自身が感想文を書いてみました。

読書感想文を書こう!

対話をベースに、世界で一つの読書感想文を書き上げましょう!

書き上げるのが大変な読書感想文。でも、読書とは本来、楽しいもの。読書感想文を素敵な学びの機会に変えてみませんか?

対象学年:小学生・中学生・高校生

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この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 読書感想文, ブックレビュー

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