大人も書いてみよう、読書感想文
こんにちは、リテラ「考える」国語の教室の長谷川尚哉です。
2025年青少年読書感想文コンクールの課題図書『鳥居きみ子 家族とフィールドワークを進めた人類学者』(竹内紘子)を読んで、感想文を書いてみました。

本を読んだときに湧き上がってきた思いを形にしたくて書いたものです。 これは決して子どもたちの「見本」になるようなものではありません。
むしろ、一人の大人として本と向き合い、自分自身の経験と重ね合わせて書いた素直な感想です。 でも、この感想文を読んでくださった方々が、「読書感想文ってこんな風に書いてもいいんだ」と感じていただけたら嬉しいです。大人の本音の感想が、子どもたちが自分の言葉で書くためのヒントになれば、という願いを込めています。
ぜひ、保護者の皆さん、読書感想文を指導される先生方も、一度子どもたちと同じ本を読んで感想文を書いてみませんか? 子どもたちと一緒に「書く」体験をすることで、新たな発見があるかもしれません。 それでは、読書感想文をご覧ください。
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この本の冒頭部分で何度も繰り返される「男だったら」という言葉は、当時の社会において女性がどのように見られ、扱われていたかを端的に表しています。勘定に入れられていなかったのです。例えば現代でも、多くの人は子どもの言うことを真剣に取り合いません。当時の社会では、女性は大人であってもそのような扱いを受けました。もちろんこのような扱いは不当なことです。しかし、そのように軽視され記録に残されることのなかった人々は、多くの場合忘れ去られてしまい、後世に再評価を受けることも、不当な扱いに対する批判の声が上がることもありません。知らない人間のことを評価することはできないからです。
この本の主役であるきみ子さんの活動や著作も、今まではあまり一般に知られることはありませんでした。私達の社会に大きな貢献をしたにも関わらず、今なお知られていない人たちも多くいらっしゃるはずです。この本を読んで鳥居きみ子さんの生き方から何かを学ぶのであれば、それはもちろん素晴らしいことです。しかし、彼女の活動や生涯について知るだけでも、今まであまり知られてこなかったひとりの人類学者の業績を知る人が増えるという、大きな意義があります。
この本は、挑戦の心や家族の絆、実際に自分の目で見てみることの大切さを感じることのできる一冊であるとともに、本来当然であるべき、「結果を出せば評価される」ということが、実際には当たり前のことではないということについて考えてみるきっかけにもなると思います。
読書感想文を書こう!
対話をベースに、世界で一つの読書感想文を書き上げましょう!