特に公立中高一貫受検では、教科横断型の思考力・論理力・表現力が求められます。このページでは、公立中高一貫適性検査で求められる具体的な力と、言語技術の関係についてご説明します。
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適性検査には、暗記や計算だけでは対応できない
公立中高一貫校では、入学に際して、各学校がその特色に応じた工夫ある適性検査を実施しています。
適性検査は、小学校で習う範囲内の内容を基本として作成されています。そのほとんどが「新しい問題を解決していく力」を試すものであり、暗記や計算だけができても、意味がありません。
結果よりも解決の過程が重視される
設問の形式は、単純な計算や知識を問うものよりも、「どのように考えるのか」「どうやって解決するのか」「なぜ、そのように考えるのか」といったものが主になります。
つまり、「結果」より「過程」に大きな比重が置かれているのがこの試験の特徴です。そのため、解決への「過程を組み立てる力」や「過程を説明する力」が非常に重要になります。
「分析的な読解力」と「論理的な記述力」
これらを言語技術の文脈に当てはめると、「分析的な読解力」と「論理的な記述力」になります。
分析的な読解ができるということは、次のような視点で読めるということです。
- 変化や差異を読み取る
- 因果関係を理解する
- 意味づけをする
論理的な記述力とは、次のような書き方ができるということです。
- 情報を整理して、筋道立てて考えていく(数式も含む)
- 説得的な説明の仕方で、正しい書き言葉で記述する
それでは、中高一貫校の適性検査で出される次の四つのタイプの問題から具体的に見てきましょう。
1. グラフ・資料の読み取り
この分野は、主に社会をテーマにした内容が題材とされます。問題は会話文によって構成されますので、文章読解の力はもちろんのこと、資料やグラフで示される項目や数値の「特徴」や「変化」を読み取る力が試されます。またここに、小数点や割合の計算を用い、データの価値を正しく読み取ることができることなども含まれます。そして、それにどのような意味があり、あるいは、なぜそのような変化があるのか理由を考えさせたり、受検者にどのような意見を持つかを問います。
ここで求められるのは、「数値を読み解く力」と言ってもよいでしょう。
2. 規則性・条件整理などの数的処理
この分野は、基本的には算数の問題ですから、解釈の余地がない・答えが決まっているという点で、国語とは思考の質が異なるといえるでしょう。
しかし、計算が得意なだけでは、この分野の問題は解けません。まず、課題文を読んで、問われていることを理解しなければなりません。その上で、解決に至る論理の筋道をイメージし、そこから数式という言語を組み立てていきます。
こうした問題解決のための一連の流れに、言語技術で支えられる読解力と論理力は欠かすことができません。
3. 実験・観察
主に理科の分野における自然観察や統計データ、実験を元にした検査です。グラフ・資料の読み取りと共通する要素が多く見られますが、特に、実験の方法・その理由、実験結果に対する考察などを問う問題が多く出題されます。
そのため、暗記だけができても意味がありません。「因果関係」についての理解と、その記述が必須です。「なぜ」・「どのように」を、正しい書き言葉で述べなければいけません。
4. 文章読解と、テーマ作文
主に国語の分野になりますが、与えられた文章の内容理解と、テーマと自分の体験を絡めた400~600字程度の意見文の作成が多く出題されます。
出題されている文章や題材からテーマを導き出す力、それに合わせた実体験の要約、実体験がどのように自分の意見を支えているのかを示す論理性といった、総合的な文章技術が求められます。
言語技術=問題解決のための力
以上のように、公立中高一貫校の検査は、暗記や計算だけでは通用しません。与えられた知識や条件をどのように活かし、問題解決を図るのか、そうした考える力そのものが問われています。
そして、読み解く・考える・表現するための「ことばの力」、すなわち言語技術がなければ、とうてい太刀打ちできないのです。
結果のその先へ
こうしてつちかわれた力は、もちろん、受検のためだけではありません。その後も、その子の一生を支えるものです。
しかし、受検が終わってしまえば、これまでの学習の習慣が失われてしまう子がほとんどです。リテラでは、受検を、長い学習の中でのひとつの課題として捉えています。受検を越え、さらにその先へ進んでいくための、長期的な成長を見すえた眼差しが必要なのです。