昨年末、2013年最大の天文イベントとして、アイソン彗星の地球接近が注目されました。
11月17日号の朝日中学生ウィークリーで、このアイソン彗星についての特集記事を読んでいたYさんは、12月には肉眼で見えるようになる彗星の到来を心待ちにしていました。そこで取り組むことになったのが、この新聞です。
ところが、11月末、期待とは裏腹に、この彗星を地球から肉眼で観測することはできないだろうという判断がされました。
一体、アイソン彗星はどうなってしまったのでしょうか。Yさんが、消えてしまったアイソン彗星の謎に迫ります。お楽しみに。
作品紹介
アイソン彗星さらばじゃ新聞
『アイソン彗星消滅!?――アイソン彗星、太陽にすいこまれる――』
第一号 発行者 Yさん(小4)
帰ってこーいアイソン彗星
十一月二十九日。アイソン彗星が消滅した。多くの人々が期待した中、大きな引力を持った太陽にくらべて小さな引力しか持たないアイソン彗星は、太陽にすいこまれてしまった。
ところで、なぜアイソン彗星には「尾」があるのだろう。「尾」は何でできているのだろう。そもそも彗星の名前の由来は? 大きさは? いつもはどこにいるのだろう?
私は、アイソン彗星について調べてみた。
彗星って何?
そもそも彗星ってなんだろう? そう思っている人も多いと思う。だから彗星のデータについて紹介しよう。
- 大きさ: 数キロメートル~数十キロメートル。
- 形: 表面からガス、塵などが放出され、ぼんやりとした淡い光につつまれ、「コマ」と呼ばれるものになる。また、放出されたものが、ほうきのように見える尾になる。
- 名前: 発見者がつける(最大三名まで)。さらに同じ人が何個も発見していることもあるため、年号、発見した順番などをもとに、符号がつけられる。〈アイソン彗星の符号= C/2012 SI〉
彗星の仲間
アイソン彗星は、「長周期彗星」で、氷、岩石、塵でできている、オールトの雲からやってくる。オールトの雲は、太陽から数万天文単位を球のように取り囲んでいる氷微惑星の集まりである。ここで氷などが合体したものが太陽の引力につかまって、二百年以上の年月をかけてやってくる。
彗星には、こうした「長周期彗星」のほかに、「短周期彗星」がある。海王星の外側で、惑星の成長途中に取り残されたものがエッジワース・カイパーベルトとよばれる微惑星帯となる。すると、ここでも彗星が生まれ、ここから来たものが、「短周期彗星」と呼ばれる。
※ 一天文単位とは、地球から太陽までのきょりのこと。約一億百五十九万七千八百七十一キロメートル。
尾の正体
彗星の尾は、何なのだろうか? 実は、尾は二つあり、一つは、ガスが作るイオンの尾(プラズマの尾)で、もう一つは、塵が作る、ダストの尾だ。イオンの尾は、太陽風によって流され、太陽とは反対の方向を向く。また、ダストの尾は、太陽風によって、太陽とは反対の方向を向くが、尾のもとである塵の量により、イオンの尾とは多少違う尾になる。
この二つの尾は、太陽から一天文単位ほどはなれた場所から目立ちはじめる。そのころから、尾が大きくなる。
本当は……。
今は消滅してしまったアイソン彗星。けれども、本当どうなるはずだったのだろうか。実は、近日点(太陽に最も近づくポイント)を過ぎたころ、日の出の空へやってくるはずだった。高度は、日に日に高くなり、だんだんと観察しやすくなったいく。さらに、尾の長さも長くなり、十二月二十七日ごろには、地球に最も近づいているはずだった。
このように、順調に地球に近づいていれば、近日点通過直後ほどは明るくはないが、観察できていたのだ。実際には、近日点でかなりとけてしまい、核の崩壊が始まっていた。そして、太陽から遠ざかる際には、光がきわめて淡くなり、消滅してしまった。
アイソン彗星は、とっても面白い。この新聞で、宇宙の星などにきょうみをもってくれたら、とーってもうれしい。
参考にしたウェブサイト
生徒たちからのコメント
- ぼくも新聞づくりをしています。宇宙について調べていて、まだおわっていないので、すごく勉強になりました。(Rくん・小4)
- アイソン彗星が太陽にすいこまれてなくなったなんて、びっくりしました。人ではないけれど、すごくかわいそうだと思いました。彗星の名前は発見者がつけるなんて思ってもいませんでした。それを聞いて、自分も彗星を見つけて、自分がつけた名前を世界中に広げてみたくなりました。(Eさん・小4)
- 題名がとてもおもしろいです。写真・絵もとてもわかりやすくて、「ここ」という場所においてあります。字もていねいできれいです。尾だけでなく、コマ・核・太陽などについて書いてくれたらいいです。よかったら、もう一枚書いてください。(Hさん・小4)