
こんな子におすすめ!
- 動物(特に猫)が好きな子
- 友達との関係に悩みを持っている子
- 「正しいこと」と「したいこと」の間で迷っている子
- 優しい気持ちと葛藤について考えたい子
- ペットとの絆について考えたい子
本の紹介
学校の帰り道、白い家の近くで見つけた縞模様の猫。のら猫なのか、それとも捨て猫なのか。ぼくが近づいても逃げない猫を、雨が降ってきたので家に連れて帰ります。「捨て猫なら飼ってもいい」というお母さんの言葉に喜び、「ポー」と名付けてかわいがることに。でも、クラスに転校してきた森あつし君の話を聞くうちに、ぼくは大きな葛藤に直面します。「ポー」は森君が探している猫なのかもしれない…。本当のことを言うべきか迷いながら、少年の心が揺れ動く姿を繊細に描いた感動の物語です。
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本の解説
『ぼくのねこポー』は、一人の少年が抱える心の葛藤を丁寧に描いた作品です。主人公は自分が見つけて「ポー」と名付けた猫を大切に思う一方で、それが転校生の森くんの失くした猫かもしれないという不安を抱えます。
松成真理子さんが描く「ポー」の姿はとても愛らしく、毛並みがすべすべで柔らかそうな猫の魅力が伝わってきます。特に、主人公をまっすぐに見つめる「ポー」の目は印象的で、そのまなざしの中に物語の重要なメッセージが込められているようです。
作者の岩瀬成子さんは、自分の気持ちと向き合いながら成長していく少年の姿を細やかな感情描写で表現しています。「正しいこと」を選ぶことの難しさ、自分の欲求と他者への思いやりの間で揺れ動く気持ち、そしてその葛藤を乗り越えて成長する過程が、読者の心に深く響きます。
読書感想文のヒント
読む前に考えてみよう
- もし自分が道で猫を見つけたらどうしますか?
- 家に連れて帰りたいと思いますか?
- また、もしその猫が誰かの大切なペットだとわかったら、あなたはどんな気持ちになるでしょうか?
- 自分が大切に思うものを失うのと、誰かの大切なものを返すのは、どちらが正しいと思いますか?
考えを深めるための質問
- 主人公はなぜ森くんに「ポー」のことを言い出せなかったのでしょうか?
- 「ポー」をかわいがる主人公の気持ちと、猫を失くして悲しむ森くんの気持ち、どちらも大切です。あなたが主人公の立場だったら、どうしますか?
- また、主人公がとった行動について、あなたはどう思いますか
印象に残る場面から考える
森くんとの会話の場面(P33)
「どんな ねこ?とは きかなかった。どんな ねこか、知りたくなかった。」
この場面でぼくはすでに、ポーが森くんのねこかもしれないという可能性に気づき始めています。でも、あえて確かめる質問をしませんでした。
・ぼくのこの時の気持ちを想像してみましょう。
・なぜぼくは「どんなねこ?」と聞かなかったのでしょうか?
・「知りたくなかった」という気持ちの裏には、どんな思いがあったでしょうか?
・あなたも「知りたくないこと」があったことはありますか?
決断の瞬間(P66)
「ぼくは やさしく ポーのせなかをなでた。なでながら、「ポー」と、なんども よんだ。そしたら、なみだが つるつる 出てきた。「トム」ちいさな声で よんでみた。」
この場面の見開きのページには、涙を流すぼくとまっすぐにぼくを見つめるポーの姿が描かれています。ぼくが「ポー」と呼んだあと、「トム」と呼んでみる瞬間は、とても重要な場面です。
・ぼくの涙にはどんな気持ちが込められているでしょうか?
・ポー(トム)のまっすぐな目線には何が表れていると思いますか?
・あなたも大切なものを手放す決断をしたことがありますか?
考えてほしいテーマ
- 友情
- 誠実さ
- 葛藤
- 成長
- 動物との絆
- 思いやり
- 正直であること
理解を深めるために
大切な存在との絆について
『ぼくのねこポー』の中で、主人公とポーの間に生まれた絆はとても深いものです。ほんの短い間でも、生き物同士が心を通わせると、強い結びつきが生まれます。このような絆は、人間と動物の間でも特別なものです。
ぼくがポーを見つけた時、単なる「かわいい猫」ではなく、「大切な存在」として心を開いていったことに注目してみましょう。ぼくがポーを手放す決断をするまでの葛藤は、その絆の深さを物語っています。
「正しさ」と「やさしさ」のバランス

物語の中で、ぼくは「ポーを自分のものにしたい気持ち」と「本当の飼い主に返すべきだという気持ち」の間で揺れ動きます。正しいことをするのは、時として自分の気持ちを押し殺すことでもあります。
大人になっても、自分の欲求と他者への思いやりのバランスを取ることは難しいものです。ぼくが最終的に選んだ行動は、彼の優しさと勇気を示しています。あなたなら、この状況でどのような選択をしますか?
合わせて知りたい
- 動物との心の交流
- 友情と勇気
- 別れの心理
- 子どもの心の成長
- ペットセラピー
動物と人間の絆について
ペットとの絆はなぜこんなにも深いものになるのでしょうか。言葉を交わせなくても、お互いの気持ちが通じ合うのはなぜでしょう。動物と人間の心の繋がりについて調べてみると、この物語をより深く理解することができます。
「正しいこと」を選ぶ勇気
自分の気持ちよりも「正しいこと」を選ぶのは、大人でも難しいことです。主人公が最終的に下した決断は、彼の成長を表しています。子どもが道徳的な判断をするプロセスについて知ると、物語の深い意味が見えてきます。
ペットセラピーの不思議な力

動物と触れ合うことで、人の心が癒され、元気になる「アニマルセラピー」や「ペットセラピー」について調べてみましょう。猫や犬などの動物と接することで、ストレスホルモンが減少し、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが増加することがわかっています。
『ぼくのねこポー』の中でも、ぼくがポーをなでたり、一緒に遊んだりする場面では、心が穏やかになっている様子が描かれています。なぜ動物は人の心を癒す力を持っているのでしょうか。病院や高齢者施設、学校などで行われているアニマルセラピーの事例や効果について調べてみると、物語の中のぼくとポーの関係をより深く理解できるでしょう。
特に子どもと動物の関係は、責任感や思いやりを育む大切な経験になります。ぼくがポー(トム)のために最終的に取った行動は、動物との深い絆があったからこそ生まれた優しさと言えるかもしれません。
合わせて読みたい

『100万回生きた猫』
佐野洋子/作・絵
あらすじ:100万回も死んで、100万回も生き返るねこの物語。多くの飼い主に愛されてきたねこですが、ねこは誰のことも愛さず、一度も泣きませんでした。ところがある日、白い美しいねこと出会い、初めて心から愛する存在ができたことで、ねこの生き方は大きく変わります。
おすすめの理由:「誰かを愛する」ということの意味を深く考えさせてくれる作品です。『ぼくのねこポー』で描かれる「大切なものを失う悲しみ」というテーマと通じるものがあり、愛情や絆について違った角度から考えるきっかけになります。美しい絵と深い物語が心に残る名作です。

『ねこと友だち』
伊東 寛(作)
あらすじ:ねこがおさかなと友だちになりましたが、ある日、おさかなを助けようとして匂いをかいでしまったねこは、急に食べたくてたまらなくなります。友だちを食べるわけにはいかないと悩んだねこは、さかなのいない国へ旅に出ることにしました。
おすすめの理由:友情と本能の間で葛藤するねこの姿がユーモラスかつ感動的に描かれています。『ぼくのねこポー』の主人公と同じように、「したいこと」と「すべきこと」の間で揺れ動く気持ちを考えるのにぴったりです。友情の尊さと難しさを教えてくれる素敵な物語です。

『くろねこのどん』
岡野かおる子/作
上路ナオ子/絵
あらすじ:えみちゃんが一人で留守番をしているとき、遊びに来る黒猫のどん。一匹で来たり、仲間を連れて来たり、雨や雪が降ると来たり…自由気ままなどんとえみちゃんの関係を描いた連作童話です。
おすすめの理由:猫と人間の関係を爽やかに描いたこの物語は、『ぼくのねこポー』で描かれる少年と猫の絆と共通するものがあります。自由な生き物である猫との関わり方や、お互いを尊重する関係について考えさせてくれます。猫好きの作家ならではの説得力ある作品です。
構成について
構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。「誰に、何を伝えたいか」
- ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
- 誰に……例)家族、友人、先生
- 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
- 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。
文章の構成
- 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
- 【はじめ】
- この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
- 【なか】
- 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
- 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
- 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
- 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
- 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
- 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
- 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
- 【おわり】
- 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。
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