【ブックプロジェクト】「灰色の本」×「命の大切さ」(小5 M・Sさん)

本の紹介

お墓の前に忘れられていた一冊の本。『灰色の本』と題されたその本を手にとったときから、彼女は怪談の世界にまきこまれていく―。「この世」と「あの世」のはざまにとどまっている人は、灰色の存在になるらしい。ほら、あなたのそばにも灰色の人が…!
「BOOK」データベースより

ブックプロジェクトのテーマ

この作品は、リテラの「ブックプロジェクト」で制作されたものです。ブックプロジェクトのコンセプトは、「つながる読書」。本・人・体験と自分をつなげながら、作品づくりに取り組んできました。詳しくは「ブックプロジェクトが始まりました」をご覧ください。

小学5年生のM・Sさんは、発表会で「生き物の寿命」について調べました。どんな生き物もそれぞれの限りある命を持っていることから、今回のブックプロジェクトは、「命の大切さ」というテーマに決まりました。亡くなったお父さんに会いたいという夏美の思い受け止めながら、かけがえのない命との別れについて考えました。

作品の紹介

「命の大切さ」
小5 M・Sさん

みなさんは、死に向き合ったことはありますか。私は、緑川誠司さんの『灰色の本』を読んで、命の大切さについて考えました。

物語の主人公の夏美は、夏休み、祖父の寺で過ごすことになりました。お寺のそうじ中、あるお墓の前で、灰色の本を見つけます。本には、町にまつわるこわい話がたくさんのっていました。その中に、亡くなった人に会える方法も書かれていました。死んでしまったお父さんに会いたい夏美は、本の通りにしますが、おそろしい目にあってしまいます。

私が印象に残ったシーンは、夏祭りで、夏美がお父さんに会えたところです。本を頼りにして、死者の世界に引きずりこまれそうになっていた夏美でしたが、本を手放し、生きることが大切だと気づきました。そうすることで、本当に死に向き合うことができたため、お父さんに会えたのだと思います。

私にも、死に向かい合った体験があります。一年生の冬、母、姉と一緒にペットショップに行き、ハムスターを二匹買いました。ハムスターが入った細長い箱を、家に帰って開けてみると、つめあとだらけでボロボロになっていました。二匹を同じ箱に入れていたので、一匹がけがをしていました。箱から出そうとした時、指をかんできました。あわてて手を引っこめましたが、そのままぶらさがっていました。次の日、ケージ、おふろ、エサ入れ、トイレを買ってきました。ひまわりの種をあげたら、口につめこんでいて、かわいかったです。

しかし、その数日後、ケージが開いていました。かみついてきたハムスターが、いなくなってしまいました。部屋中を探しましたが、見つかりません。二日後、リビングのたなで、ハムスターが見つかりました。たなのすみで、ほこりまみれになっていました。ほこりを取り、ケースに入れたら、すぐにトイレで丸まってしまいました。私は、よほど眠かったのかなと思いました。次の日の朝、いつも通りごはんを食べ、水も飲んでいたので、もう大丈夫だと思いました。けれど、食べたらまたすぐに丸まってしまいました。ごはんをそばに置いても、口に水をたらしても、まったく動きません。明日の朝まで様子を見ようと母に言われたので、その日はねました。次の朝、ハムスターは、昨日の夜と同じように丸まっていました。母を呼んだら、死んでしまったことがわかりました。家に来てから二十日しかたっていなかったので、あっけなく感じました。学校に行く前に、庭に穴をほり、うめました。わかりやすくするために、周りに木のぼうをさしました。

私は、生き物はいつか死んでしまうこと、だからこそ、命は大切なのだと感じました。いつもは、身の回りで死を感じることが少ないので、それを忘れてしまうかもしれません。しかし、私は、ハムスターが死んでしまった日の日付を、ずっと覚えていようと思います。

キーワード: 生と死 幽霊 怪談 
この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: ブックレビュー

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