【生徒作品】『力と運動』(新中1 S・Yくん)


リテラでは、生徒一人ひとりの興味・関心に基づいた学びの成果を、様々な方と分かち合う場として、年に一度、『生徒作品発表会』を開催しています。
2020年は新型コロナウィルスの影響により、教室での発表となりましたが、生徒たちは、発表会に向けた様々な準備を進めてまいりました。

今回は、新中1 S・Yくん『力と運動』を掲載致します。

「新しいことを知る楽しさを伝えたい」という動機から、S君は、「力と運動」をテーマに選びました。調べ学習に加えて、ホバークラフトを作りや自由落下の実験を通して、私達の身近なものに働く「力」について学びました。

その他の発表動画は、「2020年 生徒作品発表 発表動画一覧」をご覧ください。

作品について

本人の振り返り

これはどのような作品ですか?
自分の興味があることを、調べてまとめてみることで「なんとなく知ってる」ではなく「しっかり知ってる」になります。そして、その「調べてまとめる楽しさ」を伝えるために、例として、僕の興味があることを調べてみたという作品です。
どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
研究のテーマを考える時、やってみたいテーマが多かったので、そのたくさんのテーマについて考えることの楽しさを知ってほしいと思ったからです。
作品づくりで楽しかったことは何ですか?
日常でほとんど見られない慣性の法則を調べることです。
作品づくりで難しかったことは何ですか?
資料の活用と、話題を振る順番です。
作品作りを通して学んだことは何ですか?
何も知らない人にもしっかりと言いたいことを伝えるためには、はじめから複雑なことを伝えようとすると、かえってわかりにくくなってしまうので、自分の理解したものをシンプルに伝えたほうが、伝わりやすいということです。
次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
伝えたいことを、小さく、一つひとつに分けて伝えるということです。
来年、研究したいことはありますか?
経済について研究したいです。
この作品を読んでくれた人に一言
どこかで必ず自分の興味があることについて発表することがあると思います。その時には、自分が知らないことを一つでも調べてみると、おもしろいですよ。

生徒作品

新中1 S・Yくん『力と運動』

ぼくが、この発表で伝えたいことは、身近なことについて調べてみることの楽しさです。その例として、最近、身近な物の動きやそれに関わる力について興味があるので、調べることにしました。

この研究は、『ニュートンライト 物理のきほん』を使って調べました。また、物体の落ちる速度を調べる実験や、摩擦力をなくした時の物体の動きを調べる実験をしました。

ぼくは、2階のベランダから、土の入ったカプセルを落としてみました。これは、その連続した写真を一枚にしたものです。この動きに関わる力は、どのようなものがあるのでしょうか。まず、一番身近な重力について紹介します。重力は、ものが落ちるときに、その物を地球に引きつける力です。しかし、地球が引きつけるだけではありません。落ちている物体も、地球を引きつけているのです。質量のある物同士が引き合う力を「万有引力」といいます。

次に、空気抵抗について紹介します。空気抵抗とは、物体が動いている時や、止まっている物体に動いている空気が触れることで起きます。空気抵抗は物体が動いている方向と逆向きに働きます。そして、速ければ速いほど、空気抵抗は大きくなります。物体が落下している時、重力と空気抵抗が働きます。始めは重力の方が大きいため加速しますが、やがて重力と空気抵抗がつり合います。その後は一定の速度で落下します。

改めて、はじめに見た写真について考えたいと思います。カプセルは、重力によって落下しています。空気抵抗よりも重力のほうが大きいため、上のほうでは加速します。そのため、徐々に間隔が広がっているのがわかります。しかし、画面の下の方では、重力と空気抵抗が釣り合い、一定の間隔で落ち始めているように見えます。

では、私たちが物に力を働きかけるときは、どのような力が関わっているのでしょうか。外部から力を加えることを『作用』といいます。力を加えた時に跳ね返ってくる力を『反作用』といいます。作用と反作用はほとんどの場合つり合います。しかし、反作用には限界あり、それ以上の力を加えると、物の形を変化させたり、移動させたりすることができます。たとえば、本棚に力を加えた時、反作用が限界になると、本棚は、横にずれたり、バタンと倒れたり、もしかしたら、壊れてしまうかもしれません。

反作用は、『摩擦力』ということもできます。摩擦力というのは、物と物がこすれた時などに、どちらにも働くカです。たとえば、何か物を動かす時、止っている物には『静止摩擦力』と言う力がはたらいています。その静止摩擦力には限界があり、その限界より強い力で押すと物体は動きます。摩擦力には『動摩擦力』という力もあり、動摩擦力は静止摩擦力に比べて小さく、物を押し始めれば小さい力でも動かすことができます。では、摩擦力をなくすと物体はどのような動きをするのでしょうか。それを知るために、ホバークラフトを作って実験を行いました。ホバークラフトは、風船から少しずつ空気が出ることで、少しだけ浮いて摩擦力を減らすことができます。摩擦力がないと、ホバークラフトは、押すとすべるように動き、どこかにあたっても跳ね返って、あまり減速せずに動き続けました。

このように、僕たちが普段生活しているときの動きは、今まで紹介した万有引力や摩擦力、空気抵抗など、さまざまな力によって制限されているのがわかります。しかし、このような外部からの力がなくなると、物体はある法則にしたがって動きます。それは『慣性の法則』です。慣性の法則とは、「一度動き出すとその方向に動きつづける。止まっているときは、力を加えないかぎり、止まり続ける」という法則です。慣性の法則にしたがって物体が動く様子が見られるのは、たとえば、宇宙空間です。

ぼくは、この研究を通して、普段、ぼくたちが見ている物体の運動は、慣性の法則が、万有引力や空気抵抗や摩擦力によって、影響を受けた結果なのだとわかりました。ぼくは、この研究が楽しかったです。よく知っていると思っていることでも、調べてみると、その複雑さや、他のものとの関わりに気がつくことができて、視野が広がります。みなさんも、当たり前だと思うものにも、一度立ち止まって目を向けて調べてみませんか。

これでぼくの発表を終わります。聞いてくださって、ありがとうございました。

参考文献— (リンクはAmazonのアフィリエイトリンクです)
Newtonライト『物理のきほん 力学編』 (ニュートンプレス)

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 生徒作品

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