リテラでは、生徒一人ひとりの興味・関心に基づいた学びの成果を、様々な方と分かち合う場として、年に一度、『生徒作品発表会』を開催しています。生徒たちは、発表会に向けた様々な準備を通して、実践的な発表の仕方を学んでいきます。
今回は、2019年3月に行われた「リテラ 生徒作品発表会」より、新小6 M・Sさん『まなぶ細胞』を掲載致します。
マンガ『はたらく細胞』(清水茜/講談社)を読み、細胞について興味を持ったMさん。聞いている人が健康になるようにという思いから、目に見えない小さな世界で起こっていることや、メディアによる表現について考えました。
作品について
講師からのコメント
本人の振り返り
- これはどのような作品ですか?
- 漫画や、アニメーションといったメディアを使って、細胞のことをわかりやすく、楽しく伝えようとしている人を紹介しました。また、そこから細胞に興味持ってもらえたら良いなという思いをこめて作りました。
- どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
- 清水茜さんの『はたらく細胞』を読んで、皆さんの体の中の細胞が、私たちにとってどんなに大切なものなのかを知ってほしいと思ったからです。
- 作品づくりで楽しかったことは何ですか?
- 花粉は、人間にとって大変辛いことですが、細胞にとっては、もっと大変です。そのことを知ってもらうために、清水茜さんが、花粉を災害のように表現していたことに驚き、その面白さに感心しました。
- 作品づくりで難しかったことは何ですか?
- どんな形で細胞を紹介すればわかりやすいか考えたうえで発表することが、一番の難関でした。
- 作品作りを通して学んだことは何ですか?
- 細胞のことを知ったうえで、生活に気をつけると、自分のためにも、細胞のためにもなることを学びました。また、清水茜さん以外にも、様々な人が細胞の研究をしていることを知り、私ももっと知識を深めていきたいと思いました。
- 次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
- 細胞のことや、体の中についての知識を学び、健康に気をつけて生活したいです。
- 来年、研究したいことはありますか?
- 今は決まってないけれど、科学的なことか、生物のことを調べたいです。 あとは、私の好きなマンガ作家、手塚治虫について調べたいです。もしくは、葛飾北斎も興味があります。
- この作品を読んでくれた人に一言
- 細胞のことを知って、もっと興味を持って欲しいです。
生徒作品
新小6 M・Sさん 『まなぶ細胞』
皆さんは、体の中のことや、細胞に、興味を持ったことはありますか? 私は、清水茜さんの『はたらく細胞』という漫画を読んで、自分たちの体の中では、どんなことが起きていたのかを、初めて知りました。そして、体の中で恐ろしいことが起きている!? と驚き、少し不安になりました。しかし、漫画を読むにつれて、細胞のことをもっと詳しく知りたい! と思うようになりました。皆さんにも、細胞ことや体の中のことを知ってほしいと思い、研究テーマに選びましたので、どうぞお聞きください。
突然ですが、皆さん、これは何か、わかりますか? これは、血液中の細胞です。血液は、主に、3つの細胞で成り立っています。漫画の擬人化された細胞と、本物の細胞を、合わせてご紹介します。これは、『はたらく細胞』の主人公、赤血球です。赤血球の仕事は、酸素を、体中に運ぶことです。漫画では、本物の細胞にそっくりな赤い帽子をかぶり、酸素を配達しています。元気で、おっちょこちょいな性格です。こちらの細胞は、白血球です。漫画では、体の中に入ってきたウイルスや細菌を倒す、ヒーローです。戦っているときはこわいですが、細胞思いの優しい性格です。こちらは、血小板という細胞です。血小板は、けがをしたところに、かさぶたなどを作る役割を持っています。小さな細胞なので、漫画では幼稚園生という設定で描かれています。
次にこの季節、困っている人も多い、花粉についてご紹介します。私は、アレルギー症状があり、原因を調べてみると「花粉」でした。その中でもスギが酷く、春になると、よく、くしゃみが止ならなくなります。ある時は、学校に行けないほど目がかゆくなったり、鼻づまりがひどかったりと、辛い経験もしました。
毎年毎年、同じ時期に、ピンポイントで、なぜ、こんなに辛い症状に苦しまなければいけないのか! 漫画で、わかりやすく説明します。これは、スギのおばなと、花粉です。これは、スギ花粉の拡大写真です。漫画では、スギ花粉が体内に入ってく様子を、いん石のように描いています。そして、バキバキとカラが割れると・・・・・、中から、まるでお化けのような、スギ花粉のアレルゲンが出てきました。体の中では、B細胞が「アイジーイー抗体」で、次々にアレルゲンを倒します。しかし、体内の「アイジーイー抗体」値が高くなると、「アイジーイー抗体」の量に応じ、大量のヒスタミンが出てしまいます。ヒスタミンは、血管内皮細胞の、かんかくを広げ、白血球たちが、自由に動けるようにしてくれます。しかし、ヒスタミンが出すぎてしまうと、くしゃみ、鼻水、涙と、アレルギー反応が起きてしまいます! 漫画では、くしゃみはミサイル、鼻づまりはちかく変動、涙は大洪水で表現されています。自分の体の症状が、実は細胞にとっては災害のようなことだと知り、辛いのも納得できました。
清水さんは、インタビューで、『はたらく細胞』を、細胞の一つになった気持ちで観てほしいと、言っていました。体の中で、起こっていることは、自分の体のことなんだと思うと、健康にも気をつかえるようになります。また、中学生や高校生くらいの人たちが、免疫の勉強をするときに、楽しく勉強してほしいという願いも込めたそうです。『はたらく細胞』の漫画を初めて読んだときは、体の中で起こっていることが、少し怖かったけれど、改めて、インタビューを見ると、清水さんの思いを感じながら読めるといいな、と思いました。また、自分の体の中で起こっていることを理解して、これからも健康に気をつけ生活していきたいと思いました。
もう一人、細胞のことを分かりやすく伝えようとしている人を、ご紹介します。医学アニメーターのデバイス・ボリスキーさんです。ボリスキーさんは、今の医学生は一生懸命学んでいるにもかかわらず、覚えなければならないことが多すぎて、学業からドロップアウトしてしまうことを、残念に思っていたそうです。ボリスキーさんは、このままではだめだ! 医学教育を変えていこうと、決意したそうです。そして、目に見えない体内の様子をイメージできるように、生き生きと細胞が動いているアニメーションを作ることにしました。みなさん、映像をご覧ください。細胞の本当の姿を知って、医学を学ぶ楽しさ、体の美しさを知ってもらいたい。命がどのように動いているか、想像力を生かして、新しい発見へつないでほしい。そして、健康や、寿命、生命誕生の謎を解き明かすことに役立ててほしいと、嬉しそうに語っていました。
私は、今回の研究で、メディアを使った新しい学びの方法を知りました。もしも、細胞のことを教科書だけで学んでいたら、このように調べてみよう! なんて、思いませんでした。漫画やアニメーションは、見えないものを知るきっかけとなります。皆さんも、ぜひ、今回の発表から、細胞に興味を持ってもらえたら、うれしいです。
これで、発表を終わります。ありがとうございました。