【2025年読書感想文特集】『ライオンのくにのネズミ』さかとく み雪(小学校低学年向け課題図書)

こんな子におすすめ!

  • 引っ越しや転校で新しい環境に不安を感じている子
  • 外国から来たクラスメートがいる子
  • 言葉や文化の違いに戸惑っている子
  • サッカーが好きな子
  • 友達を守る勇気を出したいと思っている子
  • 自分と違う人を怖いと感じてしまう子
  • 得意なことで自信をつけたい子

本の紹介

『ライオンのくにのネズミ』は、お父さんの仕事で異国のライオンの国に引っ越してきたネズミの男の子の物語です。言葉も習慣も体の大きさも違うライオンたちに囲まれて最初は怖くて仕方なかった主人公。でも、リスの友達がライオンに笑われた時、勇気を振り絞って「リスをわらうな!」と立ち向かいます。言葉は通じなくても、思いは伝わりました。そして、サッカーを通じて本当の自分の力を発揮し、お弁当交換で友情を深める、勇気と友情の物語です。

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本の解説

異国での新しい生活と不安

主人公のネズミくんにとって、ライオンの国はすべてが巨大で、雄叫びのような言葉が飛び交う未知の世界。この設定は、実際に海外に引っ越した子どもたちが感じる不安や恐怖を見事に表現しています。異文化の中で小さな存在として生きることの大変さが、体の大きさの違いという分かりやすい形で描かれています。

友達を守る勇気

物語の転機は、リスの女の子がサッカーが上手でないことをライオンたちに笑われた場面。ここで主人公は恐怖を乗り越え、「リスをわらうな!」とライオンたちに立ち向かいます。ネズミ語での叫びでしたが、その思いは確かに伝わりました。友達を守るために発揮された勇気が、言葉の壁を越えて心を動かす瞬間です。

サッカーで見せた本当の力

勇気を出して立ち向かった後、ネズミくんは自分の得意なサッカーで本当の実力を発揮します。体は小さくても、技術と情熱は誰にも負けない。この場面は、偏見や見た目を越えて、本当の自分を見てもらうことの大切さを教えてくれます。

お弁当交換が生む友情

クライマックスでは、ネズミのサッカーボール型おにぎりとライオンの野菜サンドイッチの交換が描かれます。対立から理解へ、そして友情へ。食文化の違いを越えて、お互いの文化を認め合い、分かち合う瞬間が美しく描かれています。

読書感想文のヒント

読む前に考えてみよう

  • 友達が困っているとき、助ける勇気を出せたことはありますか?
  • 言葉が通じない人に、気持ちを伝えたいと思ったことはありますか?
  • 自分の得意なことで、誰かに認めてもらった経験はありますか?

考えを深めるための質問

  • ネズミくんが「リスをわらうな!」と叫んだとき、どんな気持ちだったでしょう?
  • なぜ言葉が通じなくても、ライオンたちに思いが伝わったのでしょう?
  • サッカーが上手なことを見せたとき、ネズミくんの何が変わったと思いますか?
  • お弁当を交換することで、お互いにどんな気持ちになったでしょう?
  • 実はライオンも仲良くなりたかったと知って、どう思いましたか?

考えてほしいテーマ

  • 友情と勇気
  • 言葉を越えたコミュニケーション
  • 偏見と理解
  • 得意なことが生む自信
  • 異文化理解とスポーツ
  • 守るべきものがある時の強さ
  • 食文化の交流

理解を深めるために

言葉が通じなくても伝わる思い

コミュニケーションは言葉だけではありません。表情、声の調子、身振り手振り、そして何より行動が、思いを伝える大切な手段です。ネズミくんの「リスをわらうな!」という叫びは、友達を守りたいという強い思いが込められていたからこそ、言葉の壁を越えて伝わったのです。

サッカーが持つ普遍的な力

サッカーは世界で最も人気のあるスポーツの一つです。ルールが簡単で、ボール一つあれば楽しめるため、言葉や文化の違いを越えて愛されています。プレーを通じて、技術や情熱、スポーツマンシップが伝わり、相互理解が深まります。

食文化の交流が持つ意味

食べ物を分かち合うことは、世界中で友情や信頼の証とされています。お弁当交換は、単に食べ物を交換するだけでなく、相手の文化を受け入れ、自分の文化を分かち合う行為。これが異文化理解の第一歩となります。

合わせて知りたい

世界のサッカー文化と友情

  • FIFAワールドカップでは、試合後に敵味方なく選手同士がユニフォーム交換をする伝統があります
  • 言葉が通じなくても、パスやプレーで意思疎通ができるのがサッカーの魅力です
  • 多くの国際親善試合が、国と国の友好関係を深める役割を果たしています

勇気ある行動が生む変化

  • 一人の勇気ある行動が、周りの人の心を動かすことがあります
  • 正しいと思うことを貫く勇気は、言葉の壁を越えて人々に伝わります
  • 小さな勇気が、大きな変化をもたらすきっかけになることがあります

合わせて読みたい

『となりのせきのますだくん』(武田美穂)

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小学校の教室で、となりの席の「ますだくん」が怖くて仕方ない女の子の物語。大きくて乱暴そうに見えるますだくんとの関係に悩む主人公が、少しずつ相手の優しさに気づいていきます。

おすすめの理由:『ライオンのくにのネズミ』と同じように、見た目や第一印象による恐怖心と、それを越えた先にある友情を描いています。学校という身近な舞台で、相手を理解することの大切さを学べます。

『せかいのひとびと』(ピーター・スピアー)

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世界中の人々の暮らしや文化の違いを、美しいイラストで紹介する絵本。肌の色、言葉、服装、食べ物など、様々な違いがあることを教えてくれます。

おすすめの理由:異文化理解の入門書として最適。ネズミくんが経験した文化の違いを、より広い視点で理解できます。

合わせて観たい

映画『ズートピア』(ディズニー)

肉食動物と草食動物が共存する大都市ズートピアを舞台に、ウサギとして初めて警察官になったジュディと、キツネの詐欺師ニックがコンビを組んで行方不明事件を解決する物語。小さなウサギが大型動物たちの偏見と戦いながら、真実を追求していきます。

おすすめの理由:『ライオンのくにのネズミ』と同じく、体の大きさや種族の違いから生まれる偏見を扱っています。ジュディもネズミくんも、小さな体で大きな動物たちの世界で奮闘する姿が重なります。異なる種族が理解し合い、友情を育む過程が感動的に描かれています。

構成について

構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。

「誰に、何を伝えたいか」

  • ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
    • 誰に……例)家族、友人、先生
    • 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
  • 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。

文章の構成

  • 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
  • 【はじめ】
    • この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
  • 【なか】
    • 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
    • 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
      • 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
      • 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
      • 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
      • 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
    • 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
  • 【おわり】
    • 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。
読書感想文の書き方・文例について、より詳しくは「テーマを考えてから書こう! ~読書感想文のコツ」をご覧ください。

2025年 読書感想文課題図書のページ

随時更新していきます。

大人も書いてみよう、読書感想文!

2025年青少年読書感想文コンクールの課題図書『ライオンのくにのネズミ』(さかとく み雪)を読んで、講師自身が感想文を書いてみました。

読書感想文を書こう!

対話をベースに、世界で一つの読書感想文を書き上げましょう!

書き上げるのが大変な読書感想文。でも、読書とは本来、楽しいもの。読書感想文を素敵な学びの機会に変えてみませんか?

対象学年:小学生・中学生・高校生

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この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 読書感想文, ブックレビュー

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