内容の紹介
犬のサスケは、サチコさんといっしょにくらしています。サスケは、サチコさんといっしょにいるのがだいすきです。でもある日のこと、ゆうがたになっても、サチコさんがかえってきません。すてられたとおもったサスケは、サチコさんをさがすため、いっぴきだけで家を出ます。
読む前の下ごしらえ
考えてほしいこと
読む前に、次のことを考えてみましょう。
- あなたの家や身のまわりに、どうぶつはいますか?
- そのどうぶつは、どんなどうぶつですか? どんなところがかわいいですか?
- あなたは、そのどうぶつと、はなしをしてみたいですか?
- もし、そのどうぶつがしゃべれたら、あなたにどんなことを言うと思いますか?
- あなたは、そのどうぶつと、どんなはなしがしたいですか? また、きいてみたいことはありますか?
読む
1~2年生、また、本によっては3年生も、読み聞かせをしましょう。ゆっくり、一緒に楽しんでください。読みながら、また、読み終わった後、内容について話し合い、出てきたことばを付せんに書いていきましょう。
準備する
気持ち
本を読んで感じた気持ちをことばにするのは、なかなか難しいものです。読み終わったら、次の「気持ちについて考えよう」シートを印刷して、感じた気持ちに丸をつけてみましょう。対話のヒントになります。
体験
読書感想文では、本の内容と自分の体験を結びつけることが大切です。自分の体験が思いつかない場合は、このページの「考えるヒント」を参考にして、本のテーマについて誰かに聞いたり、調べたり、新しく何かをしてみたりするとよいでしょう。
考えるヒント
◆サスケは、家にかえってこないサチコさんをさがすため、はじめてひとりだけで、家の外に出ていきます。
- あなたにも、ひとりぼっちでさみしかったことがありますか?
- ひとりで、まだともだちになっていない人や、知らない人に話しかけたことはありますか?
- そのとき、どんなきもちでしたか?
- 話しかけたあと、どうなりましたか?
◆いっぴきのねこが、おなかをすかせたサスケに、きゅうりをくれます。
- さいしょは、いやだ・こわい・きらいだと思っていたけれど、本当はやさしかった人はいますか?
- ひとりだけで参加した行事やイベントはありますか? あれば、できごとや気持ちを、くわしくかいてみましょう。
◆サスケは、「ことばがつうじなくても、きもちはつうじるらしい」と思います。
- サスケがそう思えるようになったのは、どうしてだとおもいますか?
- だれかに言われてうれしかったことばはありますか?
- だれかに言われていやだったことばはありますか?
- かぞくやともだちに、じぶんのきもちがうまく伝えられなかったことはありますか?
- ことばがなくても、ともだちの気持ちが分かったことはありますか?
- ことばがなくても、じぶんの気持ちがだれかにつうじたことはありますか?
- あなたは、誰が大切ですか? その人に、どんなことばを伝えたいですか? てがみを書いてみましょう。
保護者の方へ
上記の「考えるヒント」を参考に、対話をしながらアイデアを拡げてください。アイデアのメモをたくさん作り、並べ替えながら、感想文の構成を練りましょう。
読書感想文を通して考えてほしいテーマ
- 人間と動物
- 家族と友達
- 言葉と気持ち
- 広い世界
- 誰かを大切だと思う気持ち
この本について
人と動物は言葉を交わすことはできません。でも、動物と一緒に暮らしている方なら、彼らの考えていることが何となくわかるのではないでしょうか。
この本の主人公、犬のサスケとサチコさんも、強い絆で結ばれています。サスケにとって、二人だけの世界がすべて。「サチコさんとしか なかよくしない」サスケにとって、庭を横切る猫も、他の犬も、邪魔者でしかありません。しかし、ある日のこと、いつまで待っても、サチコさんが帰ってきません。庭から飛び出したサスケは、一人ぼっちのさびしさ、そして、サチコさん以外の人や動物たちの優しさを知ることになります。
人の子どもたちも、両親から離れ、学校や習い事・イベントなどで、少しずつ、自分の世界を広げていきます。そこで出会う人たちと不安の中で言葉を交わし、遊び、同じ体験をしながら、心を通い合わせていきます。子どもたちが自信を持って広い世界に出て行くためには、「自分は一人でも大丈夫」という気持ちが必要です。そしてそれは、ご両親や家族に、十分に愛されているという感覚から生まれます。サスケが「サチコさんがオレをのこしてどこかにいってしまうわけがない」と信じることができたように、何があっても家族とつながっているという安心感が、他者を認める心の広さになっていきます。
この本を通し、ぜひ、お子様が一人でがんばったことや、さびしかったこと、うれしかったことなどを聞いてみてください。きっと、ご両親と一緒にいる時とは違う、新しい一面を知ることができると思います。
合わせて読みたい
『ずーっと ずっと だいすきだよ』
「ぼく」と犬のエルフィーは、いっしょに おおきくなりました。「ぼく」は だいすき。まいにちいっしょに あそびました。しかし、ときがたち、エルフィーはとしをとって、だんだんとよわっていきます。「ぼく」は、ねるまえにかならず「エリフィー、ずーっと、だいすきだよ」と こえをかけます。
大好きなエルフィーとのわかれをうけとめる男の子の物語です。
『犬とたのしくさんぽする方法』
いえのまえで、たいくつしている犬に、女の子のともだちができます。犬のきもちや、犬となかよくなる方法、犬とたのしくさんぽする方法などが、たくさんのかわいいイラストとともに しょうかいされています。
構成について
構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。「誰に、何を伝えたいか」
- ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
- 誰に……例)家族、友人、先生
- 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
- 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。
文章の構成
- 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
- 【はじめ】
- この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
- 【なか】
- 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
- 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
- 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
- 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
- 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
- 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
- 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
- 【おわり】
- 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。
2017年 その他の課題図書
随時追加していきます。
2017年 夏期講習
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