【2017年読書感想文特集】『なにがあってもずっといっしょ』くさの たき 作/つじむら あゆこ 絵(低学年向け課題図書)

なにがあっても ずっといっしょ



内容の紹介

犬のサスケは、サチコさんといっしょにくらしています。サスケは、サチコさんといっしょにいるのがだいすきです。でもある日のこと、ゆうがたになっても、サチコさんがかえってきません。すてられたとおもったサスケは、サチコさんをさがすため、いっぴきだけで家を出ます。

読む前の下ごしらえ

考えてほしいこと

読む前に、次のことを考えてみましょう。

  • あなたの家や身のまわりに、どうぶつはいますか?
    • そのどうぶつは、どんなどうぶつですか? どんなところがかわいいですか?
    • あなたは、そのどうぶつと、はなしをしてみたいですか?
    • もし、そのどうぶつがしゃべれたら、あなたにどんなことを言うと思いますか?
    • あなたは、そのどうぶつと、どんなはなしがしたいですか? また、きいてみたいことはありますか?

読む

1~2年生、また、本によっては3年生も、読み聞かせをしましょう。ゆっくり、一緒に楽しんでください。読みながら、また、読み終わった後、内容について話し合い、出てきたことばを付せんに書いていきましょう。

準備する

気持ち

本を読んで感じた気持ちをことばにするのは、なかなか難しいものです。読み終わったら、次の「気持ちについて考えよう」シートを印刷して、感じた気持ちに丸をつけてみましょう。対話のヒントになります。

体験

読書感想文では、本の内容と自分の体験を結びつけることが大切です。自分の体験が思いつかない場合は、このページの「考えるヒント」を参考にして、本のテーマについて誰かに聞いたり、調べたり、新しく何かをしてみたりするとよいでしょう。

考えるヒント

◆サスケは、家にかえってこないサチコさんをさがすため、はじめてひとりだけで、家の外に出ていきます。

  • あなたにも、ひとりぼっちでさみしかったことがありますか?
  • ひとりで、まだともだちになっていない人や、知らない人に話しかけたことはありますか?
    • そのとき、どんなきもちでしたか?
    • 話しかけたあと、どうなりましたか?

◆いっぴきのねこが、おなかをすかせたサスケに、きゅうりをくれます。

  • さいしょは、いやだ・こわい・きらいだと思っていたけれど、本当はやさしかった人はいますか?
  • ひとりだけで参加した行事やイベントはありますか? あれば、できごとや気持ちを、くわしくかいてみましょう。

◆サスケは、「ことばがつうじなくても、きもちはつうじるらしい」と思います。

  • サスケがそう思えるようになったのは、どうしてだとおもいますか?
  • だれかに言われてうれしかったことばはありますか?
  • だれかに言われていやだったことばはありますか?
  • かぞくやともだちに、じぶんのきもちがうまく伝えられなかったことはありますか?
  • ことばがなくても、ともだちの気持ちが分かったことはありますか?
  • ことばがなくても、じぶんの気持ちがだれかにつうじたことはありますか?
  • あなたは、誰が大切ですか? その人に、どんなことばを伝えたいですか? てがみを書いてみましょう。

保護者の方へ

上記の「考えるヒント」を参考に、対話をしながらアイデアを拡げてください。アイデアのメモをたくさん作り、並べ替えながら、感想文の構成を練りましょう。

読書感想文を通して考えてほしいテーマ

  • 人間と動物
  • 家族と友達
  • 言葉と気持ち
  • 広い世界
  • 誰かを大切だと思う気持ち

この本について

人と動物は言葉を交わすことはできません。でも、動物と一緒に暮らしている方なら、彼らの考えていることが何となくわかるのではないでしょうか。

この本の主人公、犬のサスケとサチコさんも、強い絆で結ばれています。サスケにとって、二人だけの世界がすべて。「サチコさんとしか なかよくしない」サスケにとって、庭を横切る猫も、他の犬も、邪魔者でしかありません。しかし、ある日のこと、いつまで待っても、サチコさんが帰ってきません。庭から飛び出したサスケは、一人ぼっちのさびしさ、そして、サチコさん以外の人や動物たちの優しさを知ることになります。

人の子どもたちも、両親から離れ、学校や習い事・イベントなどで、少しずつ、自分の世界を広げていきます。そこで出会う人たちと不安の中で言葉を交わし、遊び、同じ体験をしながら、心を通い合わせていきます。子どもたちが自信を持って広い世界に出て行くためには、「自分は一人でも大丈夫」という気持ちが必要です。そしてそれは、ご両親や家族に、十分に愛されているという感覚から生まれます。サスケが「サチコさんがオレをのこしてどこかにいってしまうわけがない」と信じることができたように、何があっても家族とつながっているという安心感が、他者を認める心の広さになっていきます。

この本を通し、ぜひ、お子様が一人でがんばったことや、さびしかったこと、うれしかったことなどを聞いてみてください。きっと、ご両親と一緒にいる時とは違う、新しい一面を知ることができると思います。


合わせて読みたい

『ずーっと ずっと だいすきだよ』

「ぼく」と犬のエルフィーは、いっしょに おおきくなりました。「ぼく」は だいすき。まいにちいっしょに あそびました。しかし、ときがたち、エルフィーはとしをとって、だんだんとよわっていきます。「ぼく」は、ねるまえにかならず「エリフィー、ずーっと、だいすきだよ」と こえをかけます。

大好きなエルフィーとのわかれをうけとめる男の子の物語です。

『犬とたのしくさんぽする方法』

いえのまえで、たいくつしている犬に、女の子のともだちができます。犬のきもちや、犬となかよくなる方法、犬とたのしくさんぽする方法などが、たくさんのかわいいイラストとともに しょうかいされています。

構成について

構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。

「誰に、何を伝えたいか」

  • ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
    • 誰に……例)家族、友人、先生
    • 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
  • 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。

文章の構成

  • 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
  • 【はじめ】
    • この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
  • 【なか】
    • 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
    • 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
      • 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
      • 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
      • 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
      • 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
    • 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
  • 【おわり】
    • 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。
読書感想文の書き方・文例について、より詳しくは「テーマを考えてから書こう! ~読書感想文のコツ」をご覧ください。


2017年 その他の課題図書

随時追加していきます。

2017年 夏期講習

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この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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