中学受験とその先へ 中学年(小3~小4)で心がけたい、学習の基礎と学びの姿勢を育むポイント

なぜ中学年(小3~小4)から本格的な準備が必要なの?

小学校中学年は、授業で扱う内容の抽象度が上がり、理解に差がつきはじめる時期です。中学受験を視野に入れる場合、この頃から本格的な準備を始めましょう。もちろん、受験をするかどうかわからない、受験をしないという場合でも、適切なサポートのもと、学習を充実させていくべき時期です。

この時期に特に力を入れてほしいのは、「基礎学力の定着」と、「学びに向かう姿勢」を育てることです。これは、中学受験だけでなく、これからの学習の土台となります。

基礎学力は、ことばの力とイメージの力

小学校中学年は、ことばの力が急速に成長する時期です。それにともない、学習する内容も、具体的な事柄から、小数や分数、体積など、抽象的なことがらに移っていきます。抽象的な概念を理解するには、ことばとイメージの力が必要。国語の文章理解だけでなく、算数の問題文や理科・社会の説明文の理解にも影響します。

ことばとイメージの力を豊かにする家庭での取り組み

読書習慣をつくる

読書に熱中する生徒さん
読書に熱中する生徒さん

読書は、ことばの力の基礎です。特に小3~小4で、手当たり次第に本を読む「多読」の経験があると、語彙力や豊かなイメージ能力が身につきます。できれば、親子で同じ本を読み、内容について話し合う機会があるとよいでしょう。「読む」とは、単に書かれていることを理解するだけでなく、文章にこめられた意図や背景を理解することです。同じ本について話し合うことで、「テーマ」や「登場人物の心情」など、文章の奥にある抽象的なイメージを捉える視点が養われます。
自分の好きなジャンルにとどまらず、本格的なファンタジーや古典文学、科学的な本など、幅広い本にふれ、語彙や知識を広げましょう。

読解問題に苦戦しているときは、一緒に問題を解いてみましょう。読解が苦手な要因とその克服方法については、次の記事をご覧ください。

読解が苦手な子の特徴と、その克服方法について、具体的な事例を交えながらご紹介します。

読解力アップで受験を有利に進めるために

作文を書く機会を増やす

作文に集中する生徒さん
作文に集中する生徒さん

作文は、単に文章を書く力だけでなく、思考やイメージを言語化し、他者にわかりやすく伝えるためのスキルです。文章を書く際に求められるイメージ能力や集中力、語彙力は、学習の土台に直結する要素であり、作文を通してそうした力を育むことができます。

また、中高一貫校をはじめとした中学受験の作文問題では、論理的な構成力と、自分の意見をわかりやすく表現する能力が問われます。小学校中学年のうちに、この土台を作っておくことが大切です。

作文へのアプローチ

小4くらいから、「今・ここ・わたし」以外の他者に物事を伝えるための「書きことば」の習得が目標となります。特に、「接続詞」を使いこなせることが大切になります。書きたいことが整理されていなかったり、できごとの意味合いがわかっていなかったりすると、接続詞を使うことはできません。「すると、」「そのため、」「しかし、」「なぜなら、」などの接続詞は、前と後の情報を、論理や時間でつなげていきます。逆に言うと、接続詞の練習をすることで、情報の整理や論理的なつながりに慣れていくことができます。

文章を書くのが得意かどうかは、個人差が大きく、また、書けない要因もさまざまです。要因別のサポートは、次の記事をご覧ください。

作文が苦手な子は決して少なくありません。この記事では、作文が苦手な子のタイプと原因、そして作文力を伸ばすための具体的な方法についてご紹介します。

作文が苦手なお子さんへ:原因と克服方法をわかりやすく解説

自己効力感を育てる:失敗を恐れない学びの姿勢

小学校中学年の子どもたちは、自分の能力に対する「自己効力感」を育む重要な時期です。自己効力感とは、「自分にはできる」という感覚であり、これが高い子どもは、課題に積極的に取り組む姿勢を持つ傾向があります。

自己効力感を育むためのサポート

ほめ方を変える

小3~小4の子どもたちは、物事の因果関係がわかってきます。そのため、「結果」だけを褒めていると、「うまくできないと褒められない」というメッセージになってしまうことがあります。学習の取り組みの姿勢をよく観察し、どのようにがんばったか、どう工夫したかといった、結果につながる「過程」を認め、褒めてあげることが、達成感につながり、学びへの意欲を高めます。失敗をしても、どこが良くて、どこを改善すればよいかを一緒に考え、励ましてあげる姿勢が重要です。失敗を糧にして前に進む力を育むことが、受験やその後の人生においても大切なスキルとなります。

検定とお手伝いのススメ

因果関係がわかってくるこの時期、漢字検定や数学検定などの「検定」にチャレンジしてみることをおすすめします。毎日少しずつ取り組む姿勢が、よい結果につながるということを、学んでいきましょう。また、失敗しても、検定であれば、何度でも挑戦できます。

また、因果関係を学ぶために、家事に参加してもらうのもよい経験となります。買い物をするとしたら、どの順序で店を回ればよいか。7時に夕飯を食べるとしたら、それまでに何をするべきか。あるいは、汚れた服は、どのようなプロセスでまた着られるようになるのか。身近な生活から学ぶことは、机の上で学ぶことよりもたくさんあります。

高学年の飛躍につながる学びの基礎を固める

観察課題に取り組む生徒さん
観察課題に取り組む生徒さん

小学校中学年は、受験に向けた具体的な準備が本格的に始まる前の大切な時期です。この時期に焦って知識をつめ込むのではなく、言語能力と学びに対する前向きな姿勢を育てることが、高学年の大きなジャンプにつながります。子どもたちが自分の力で考え、表現する楽しさを知り、未来の受験に向けた基盤を築いていけるよう、サポートしていきましょう。

専門家のいる作文教室などに通うという選択肢も

小3~小4は、一人ひとりの個性の違いが生まれてくる時期でもあり、得意なこと・不得意なことも、一人ひとり異なります。文章表現には、その違いが大きく反映します。よりきめ細やかなサポートのために、あるいは自信を持って自分を表現するために、学びの専門家のいる作文教室などに通うという選択肢もあります。

リテラでは、一人ひとりをよく観察し、その子にあった最適な学習をデザインします。また、体験型のワークショップや面談など、豊かな体験と、きめ細かなサポートを進めていきます。興味のおありの方は、ぜひ体験授業におこしください

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 教育コラム

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