なぜ低学年から準備が必要なの?
中学受験では、考える力そのものを問う問題が増えています。単に知識をつめこむだけでは乗りこえることができません。試験では、思考力や表現力、そして持続力も求められます。その基礎を築くのに適した時期が、小学校低学年なのです。
特に、作文は、これらの力を総合的に測ることができます。書くことには、問題解決能力や論理的思考力、表現力やメタ認知など、さまざまな力が求められます。低学年のうちから、これらの力を育てることで、確かな学力の基盤ができあがります。
なお、受験をしようかどうかまだわからない、受験をしない、というご家庭も多いかと思います。しかし、ここで挙げた力は、受験をするかどうかにかかわらず、今後の成長の礎となります。長期的な視野のもと、ぜひ低学年のうちから取り組んでみてください。
低学年のうちからはじめたい3つの習慣
小学校低学年は、ことばの発達にとって、とても大切な時期です。この時期に豊かなことばの環境をつくることで、子どもたちは自然に言葉の使い方や表現のしかたを身につけます。
そのために、「読書をする習慣」「文章を書く習慣」「具体的な体験をする習慣」という3つのことを心がけましょう。
① 読書をする習慣
絵本や児童書、そして少し長い物語まで、幅広く本にふれることで、語彙力や表現力が身につきます。
特に、低学年のうちは、読み聞かせが欠かせません。物語を聞くことで、子どもたちはことばの使い方や物語の構成を学びます。また、読み聞かせは、子どものこころの発達をうながし、想像の世界を広げる力もあります。低学年の子どもたちは、まだ抽象的な概念を理解するのがむずかしいのですが、物語を通じて、さまざまな視点や考え方を学ぶことができます。
読み聞かせでは、いろいろなジャンルの本を読みましょう。絵本や童話だけでなく、自然科学の本など、さまざまな本にふれることで、幅広い知識と語彙が身につきます。また、読み終えた後に、キャラクターについて、あるいは結末について、おたがいの感想を話し合ってみましょう。物語を通じた思考力が深まります。
② 文章を書く習慣
作文で育まれるのは、単に書く「技術」だけではありません。考える力や表現力を身につける機会として、作文はとても重要です。自分の考えを文章にすることは、物事をとらえる力の発達をうながし、問題解決能力を高めます。
ただ、小学校低学年では、むずかしい文章構成にこだわる必要はありません。また、一人で書くことにこだわる必要もありません。家族のサポートのもと、自分の思ったことを自由に表現することからはじめましょう。
宿題として日記や作文を書かなければならないことも増えてきます。大切なのは、書く前の準備です。どんなことがあったか、どんなことを感じたか、まずは話し合ってみましょう。質問をしたり、新しいことばを教えてあげたりすることで、書くことが具体的になっていきます。特に、印象に残ったことを中心にするとよいでしょう。書く時は、できるだけ自由に、のびのび書きましょう。細かな添削をするのではなく、表現を楽しんであげることが大切です。
③ 具体的な体験をする習慣
この時期の子どもたちは、好奇心のかたまりです。自分の目と足で、どんどん世界を広げようとします。
ぜひ、五感を活かした体験を大切にしましょう。低学年の子どもたちは、具体的な世界を通して、考える力の基盤をつくっていきます。手ざわりやにおいなど、質感をともなった体験を通して、知識やことばが具体的で実感的なものとなります。また、興味や好奇心が引き出され、学びへの意欲が高まる効果もあります。
自然の中や博物館・美術館に行く機会をつくるだけでなく、料理や音楽など、日常の1コマを楽しむ時間をつくりましょう。
質感をともなう体験をするには、必ずしも自然の中に行かなければならないわけではありません。雨の音、透き通った傘の色。日々の暮らしの中、大きな音ではなく消えゆく音に、激しい動きではなくゆっくりとした動きに、目立つ色ではなく小さなささやかなものの中に、生きて感じるこの世界の「質感」はあふれています。机の上の学習だけでなく、そうした質感を五感で味わう時間が、子どもたちには必要なのです。
まずは耳を澄ませて、目を凝らして、手を伸ばしてみるところから、表現を始めてみましょう。
楽しんで学ぶことが何より大切
小学校低学年の子どもたちにとって、楽しみながら学ぶことが何よりも重要です。学習の楽しさや好奇心を引き出すことが、長期的な学力の向上につながります。
特に作文やことばに関しては、強制的にやらせるのではなく、遊び感覚で行える環境と関係をつくることがポイントです。作品そのものだけでなく、どんな風にがんばったか、どんな風にくふうしたか、過程を大いにほめてあげましょう。小さなことでも、具体的にほめることで、子どものやる気を引き出すことができます。
学びの専門家のいる作文教室に通うという選択肢も
作文の指導は、その子個人の考えていることと向き合うことでもあります。そのため、恥ずかしさや、甘えから、むしろご両親の前ではうまく書けないこともあります。
その子の心の成長を促すという意味で、作文教室に通うという選択もあります。書くということは、今・ここ・わたしでない人、家族以外の他者と向き合うことでもあります。その出会いが、幸せなものである必要があります。リテラでは、一人ひとりの個性や目標・状況に寄り添いながら、受験だけでなく、さらに未来につながる力を育んでいきます。また、体験型のワークショップや面談など、豊かな体験と、きめ細かなサポートを進めていきます。
興味のあるかたは、ぜひ体験授業におこしください。