夏休みが終わり、受験も本格化していきます。そんな中、お子様の読解力が伸び悩んでいて、不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
今回は、読解が苦手な子の特徴と、その克服方法について、具体的な事例を交えながらご紹介します。
目次
読解が苦手な子のタイプと原因
読解が苦手な子には、いくつかのタイプが考えられます。
知識・体験の不足
- 語彙力不足
- 普段から読書習慣がなく、新しい言葉に触れる機会が少ないため、文章の意味を正確に把握できない。
- 背景知識の不足
- 歴史や科学など、文章で扱われているテーマに関する知識が不足しており、内容を具体的にイメージできない。
- 体験の不足
- 自分自身の体験が不足しており、描写や表現・感情をうまくイメージできない。
認知・処理能力の不足
- 集中力が続かない
- 長文を読むことに集中できず、途中で意識が違う方向へ向かってしまう。
- 自分の理解度がわからない
- 自分が理解できているかどうかがわからず、効果的な読みができない。
- 情報をまとめるのが苦手
- 部分と全体を同時に意識できず、意味を統合することが難しい。
- 他人の気持ちがわかりにくい
- 他者の視点に立つことが苦手で、登場人物の心情がわからなかったり、設問の意図がとれなかったりする。
- 文字の認識が難しい
- 文字の識別や単語の認識が困難で、文の意味をとることができない。
環境・身体・心理的要因
- 読解に対する苦手意識が強い
- 過去に読解問題でつまずいた経験があり、新しい文章を読むことに抵抗がある。
- 指導法のミスマッチ
- 子どもの発達や個性と、教え方のスタイルがかみ合っていない。
- 学習環境の乱れ
- 学習する場所がない、あるいは落ち着いて学ぶ環境が整っていない。
- 健康状態がよくない
- 体調不良や睡眠不足が原因で、集中できない。
- モチベーションの低下
- 学習意欲が低く、積極的に課題に取り組むことができない。
- 不安やストレス
- テストや読解問題に対する過度のプレッシャーや不安感があり、リラックスして読むことができない。
- 言語環境の違い
- 日本語以外の言語環境で生活している(生活してきた)ため、日本語の語彙や文法などの理解が難しい。
これらの原因は、一つだけでなく、複合的に影響している場合も考えられます。
また、読解力で伸び悩んでいる場合、算数・数学など他教科でも同時に難しさを感じている可能性があります。
読解力をアップするための具体的な方法
読解力を上げるためには、以下の対策が有効です。
知識・体験の不足へのサポート
- 語彙力不足
- 日常的に本や新聞を読む習慣を身につけることが大切です。読んだ内容について話し合える・わからないことばをすぐに聞ける関係をつくりましょう。読書習慣をつけるには、まずは本屋や図書館に行って、好きなテーマの本を手に取ってみましょう。また、漢字の学習は、語彙の習得に欠かすことができません。
- 背景知識の不足
- 歴史や科学など、文章で扱うテーマに関連した動画や図鑑を一緒に見て、ビジュアルで知識を補完しましょう。先行知識があると、理解度がぐんと上がります。これをくり返すことで、知識を広げていくことができます。
- 体験の不足
- 具体的な体験や家事を手伝う機会を増やし、読んだ内容が実生活と関連していることを実感しましょう。また、物語やエピソードを一緒に読み、身近な具体例を挙げることで、文章が現実に基づくことを伝えていきます。
認知・処理能力の不足へのサポート
- 集中力が続かない
- 読む時間を短く区切り、小さな達成感を得られるようにしましょう。タイマーを使って集中する時間を決め、休憩を挟みます。休憩は、15~20分に5分の休憩を取り、集中モードと休憩モードの感覚の違いを覚えましょう。また、重要な部分に線を引くなど、能動的な読みの姿勢を促します。
- 情報をまとめるのが苦手
- 説明文では、文章を段落ごとに区切りながら、簡単な文にまとめていく練習をしましょう。物語文では、人物の気持ちや行動の原因について、話し合いましょう。重要だと思う部分に線を引くと、理解のとっかかりになります。理解できなかった部分については、一緒に確認をしていきましょう。
- 他人の気持ちがわかりにくい
- 登場人物の視点に立つ練習をするために、一緒に文章を読み、物語の登場人物の気持ちや行動の原因を話し合ってみましょう。また、気持ちを知る手がかりとなる描写(情景やしぐさなど)について学んでいきます。
- 文字の認識が難しい
- 文字や単語の認識に困難がある場合、まずは簡単な文章を音読する練習が効果的です。また、フォントを変更したり、電子書籍の読み上げ機能を使ったりするサポートも役立ちます。
環境・身体・心理的要因へのサポート
- 読解に対する苦手意識が強い
- 小さな達成感を得ることで成功体験を積み重ね、自信をつけていきます。読解に関するミスを責めず、ポジティブなフィードバックを重視します。興味のあるテーマの文章からスタートしましょう。
- 指導法のミスマッチ
- 改めて子どもの個性や興味に合わせたアプローチを模索します。読み方や解き方などを観察し、どこで問題が発生しているのかを見ていきます。
- 学習環境の乱れ
- 静かで集中できる学習環境を整えます。可能であれば、学習専用のスペースを用意し、学習時にはスマホやテレビなど、他の刺激を遠ざけます。
- 健康状態がよくない
- 健康的な生活習慣を見直し、十分な睡眠や栄養を取るようにします。体調不良が続く場合は医師に相談します。
- モチベーションの低下
- 読解に興味を持てるように、子どもが好きな話題や趣味に関連した本や課題を取り入れます。受験期においては、改めて本人の受験の意思を確認するとともに、学校見学などを通し、目標を具体的にイメージできるようにします。目標を小さく設定し、達成感を得ることも重要です。
- 不安やストレス
- 読解に対するプレッシャーを減らし、リラックスできる雰囲気で学習するようにします。深呼吸や、リラックスできる音楽を取り入れることも有効です。読んだ後に感想を自由に話し合い、正解・不正解にこだわらずに考えを尊重することも大切です。
- 言語環境の違い
- 日本語以外の言語環境で育った子どもたちには、日本語の語彙や文法を補強するために、段階的な学習教材を使います。日本語と母語で書かれた二言語の絵本や教材を活用し、両方の言語で学ぶのも有効です。また、バイリンガル教育を取り入れている学校や教材を検討します。
まとめ
読解力は、一朝一夕に身につくものではありません。継続的な努力と、適切なサポートが必要です。お子様の個性や苦手とする部分を理解し、根気強く励ましながら、一緒に学習を進めていきましょう。
また、学習塾などの専門家に学習をサポートしてもらうことも考えられます。
学習塾それぞれに、集団指導・個別指導など学習スタイルの違いや、メソッドがありますが、一人ひとりの苦手を正確に見極めることが重要です。集団授業などで「わかったつもり」になっているだけでは、読解力はなかなか伸びないのが実情です。
読解力は、すべての教科の基盤です。読解力を鍛えることは、全体的な成績の底上げにつながるだけでなく、受験後の長期的な成長を支える力を得ることでもあります。
リテラでは、まずはお子様のご様子を注意深く観察し、成長を個別にデザインします。興味のあるかたは、ぜひ体験授業にご参加ください。
お子様の未来のために、今できることを一つ一つ積み重ねていきましょう。