【ブックレビュー】『神の道化師』(トミー・デ・パオラ)

神の道化師

内容紹介

イタリアのソレントという町に、ジョバンニというみなしごがいました。ジョバンニは、なんでも空中になげあげ、お手玉のようにくるくるまわすことができました。このすばらしいわざのおかげで、ジョバンニは、大道芸人の仲間になり、人気を得て公爵や王子の前で芸をするほど有名になります。しかし、やがて年老いたジョバンニの芸はあきられ、ジョバンニは芸をすっぱりとあきらめます。ふるさとに帰ったジョバンニは、イエスさまの像に、自分の芸をささげものとしておくります。

ブックトークのヒント

読む前に話し合いたいこと

  • イタリアという国の場所を確認してみましょう。
  • マリアさまやイエスさまとは、どんな人か知っていますか? もし知らなかったら、家の人や大人にきいてみましょう。『クリスマスのおはなし』(ジェーン・レイ)には、幼いイエスさまを抱いたマリアさまが登場します。読んでみてください。

読んだ後に話し合いたいこと

  • 最後の場面で、どうしてイエスさまはわらったのだと思いますか。話し合ってみましょう

この本について

キーワード:生き方 宗教 

絵本の読み聞かせに慣れてきたころに、子どもに必ず読んでもらいたい一冊です。

絵本の楽しみは、おもしろおかしさを感じるだけではありません。命のはかなさや尊さ、知的探究心、人生の深みについて思いを馳せるような体験。絵本を通して、こうした体験をした子どもは、読書と自身との関わりをより深めていきます。

貧しい人々にも富める人々にも変わることのなく、ジャグリングの芸に生涯をささげたジョバンニの態度は、本人の自覚の有無にかかわらず、神を信仰することと同じように尊い行いであったといえるのかもしれません。

絵本を読み終わった後に、たっぷりとした間をとって、沈黙の中に、ジョバンニの生涯に思いを馳せる余情を感じてもらいたいと思います。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

カテゴリー: ブックレビュー

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